【映画】夜の来訪者 - An Inspector Calls (2015年版 BBC)
今を去ること、数十年前、大学の演劇部に所属していた私スピンは、この「夜の来訪者」、イギリスの劇作家 J・B・プリーストリー(1894年‐1984年)による著名な舞台劇を演じたことがあります。
AmazonのPrimeVideoにてこの作品を見つけた時、息もつかせぬ展開と最後に仕掛けられた大どんでん返しの舞台風景が、鮮やかに蘇り、とても懐かしく思い出されました。
何度も上演され、映画化された、イギリスの劇作家プリーストリーの代表作で、ご紹介する本編は、2015年に英国BBCにより制作されたものです。
以下にご案内するのはごく大雑把なアラスジです。
なお、私スピンは『ネタバレ』という最近の俗語を好みません。
が、2011年、カリフォルニア州立大学心理学部が学生30人を対象に行った
実験で、これから読む推理小説の結末を知らされずに読んだ読者よりも、
結末に関する情報を知らされていた読者の方が、作品を楽しめたという評価が高くなるという結果が得られたこと。
及び研究者達がこの実験結果をあらかじめ結末を知ることによって、作品のプロットや散りばめられた伏線に対する理解が深まり、その結果として自分が理解しやすい内容を好ましく感じる脳の作用が反映された結果だと推測していること、には大いに賛同しております。
では、”エヴァ・スミスを破滅へと追いやった5人の悔恨の顛末”をお楽しみ下さいませ。*****ここから、
1912年のある夜。
バーリング家では長女シーラと、バーリング家とライバル関係にあるクロフト家の息子ジェラルドの婚約を祝う食事会が行なわれていた。
地方出身だが事業で成功した父アーサー、上流階級出身で特権意識の強い母シビル、そして酒飲みで頼りない弟エリックも2人の婚約を祝福していた。
その祝宴中、唐突に、グール警部と名乗る人物が訪れ、服毒自殺したエヴァ・スミスという若き女性に関することを聴取に来たことを告げる。
グールという警部は、若き女性の自殺にバーリング家の皆が関係していると暗示する。
主人アーサーは、彼女の写真を見せられ、彼の工場で二年前におきたストライキの際、他の従業員を扇動したという理由で有無を言わせず解雇した女工であることを思い出したが、その後、エヴァがどのような苦しい生き方を強いられたかについては無罪だと言い募る。
次に写真を見せられた娘シェイラは、ある洋品店で自分がドレスを見立てているとき、一人の女店員がクスリと笑ったのを咎め、主人を呼びつけて大袈裟に騒ぎ立てたため、その女店員が解雇されたことを思い出した。
警部の次の質問はジェラルドに向けられた。
彼には、ある酒場で品性を欠く男に言い寄られて困っている女性の危機を救ったことがきっかけとなって彼女と関係を結んだ記憶があった。それがエヴァだった。
次に質問された母シビルも、町の慈善協会幹事として、二週間ほど前、妊娠した女が救いを求めに来たのをすげなく追い返したことを指摘され、警部が見せた写真を見て彼女がエヴァであることを知った。
そのときシビルは、彼女をそんな境遇に落としいれた男に責任を被せるべきだと主張したが、その男がまさか、自分の息子エリックだとは知らなかった。
警部の前で、既に自分の罪に苛まれていたエリックは、エヴァと関係を持ったこと全てを白状した。
エヴァに対する一同の非道と罪を暴いた後、グール警部は全員に対し悔い
改めるよう求め、以下のように断罪して、バーリング家を去っていった。
残されたバーリング家では、グール警部に不信を抱いた父親とジェラルドが警察の知り合いに電話をしてみたところ、新しい刑事もグールという名前の警部も、所轄には居ないことが判った。
又、病院に問合せてみてもその夜は自殺者はいないとのことだった。
では、あの男は一体誰であったのか、自殺したという女の話は何の謎かけ
だったのか?
一同は、一杯喰わされたと憤慨するも、もしかしたら、彼らがそれぞれ関わったエヴァという女性が同一人物ではないのではないか・・・写真は夫々が個別に見せられたことからして、自分達の責任によってエヴァという女性が死んだのではないのかもしれないと安堵し、そのような女性はいないのだとばかり、先ほどまでの罪悪感も忘れて、笑いくつろぎ始めるのであった。
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しかし、その時、エヴァは未だ生きていた。命を絶つ前の最後の想いを綴っていた。
そして、グール警部がバーリング家を去って暫く経った頃、エヴァは公園にて自殺を図り、彼女は自室に、バーリング家の人々やジェラルドとの関係をつづった日記と一枚の写真を残したのだった。
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しばらくして、バーリング家に警察から電話がかかり、若い女性が自殺したことと担当警部が調査に訪問することが告げられ、一同が驚愕におののく中、芝居の幕は降りるのです。
ここまで*****
(かなりの部分を https://cookieex.blog.fc2.com/blog-entry-1146.html 様より
(引用させて頂いております。
非常に緊迫したストーリーで、台詞回しがとても難しい芝居であります。
それ故に、誠に重厚な台詞を楽しんで頂けるシナリオでもあります。
ただ、見終わられて、何とも言えない、難しいパズルに向き合わされている想いに駆られられるのは、ほぼ確実・・・(o^―^o)
英国の英語教科書的なキングス英語を堪能していただける名作であることと同時に、パズルにチャレンジして頂ければ、誠に幸甚です。