【地面師たち】バカしか出てこない凄いドラマ【感想】
Netflixオリジナルのドラマ『地面師たち』。今ネトフリでドラマを観た後はうざったい程オススメされる「評判作」ということで、なんとか通して観た。結果。生まれて初めて倍速視聴という機能は優秀だと思ったし、最初から使っておけば良かったと強く後悔した。でも何故1.5倍までなのだろう、0.5倍を用意するぐらいなら3倍ぐらいまで用意して貰いたいものだが。
ざっくり説明すると、土地の所有者と偽って土地を売りに出し金銭のみを詐取する詐欺師集団「地面師」、そのリーダーのハリソンと交渉役の辻本にスポットが当たる。物語の大部分は大手不動産の石洋ハウスから100億以上をふんだくる話で、その裏で辻本の復讐というサブストーリーも進んでいく形式だ。まああらすじはWiki見て下さい、全部書いてあるんで。
このドラマの何が凄いって、とにかく登場人物の知性が著しく低いのである。詐欺の被害者サイドが賢すぎたら詐欺が通らないので、まあ良いとしよう。問題は地面師側で、主役勢が揃いも揃ってフワフワした動機と立ち回りを続ける様で混乱が止まらない。ミサミサしか出てこないデスノートなんか読んだら間違いなく気が狂うだろう。何やってんだこいつ? それでいいのか? いいんだ……を繰り返されるのは思ってたより苦痛だった。具体的にどうバカなのか突っ込み出すと作品の内容まで思い出さなければならなくなるので、ハリソンと辻本に限って突っ込みを入れておこう。
……まあ、強いて言うなら女刑事の倉持はギリギリ松田ぐらいで済んでる気もする。相手が辻本じゃなかったら多分死んでたが、まあバカが相手だったし。警察に内通者がいるの確定してたので単独で動かざるを得なかったのも仕方ない。でもラストでハリソン撃たなかったのはいくらなんでも主人公バリア過ぎて笑い所です。松田は撃ったぞ。
・辻本
5年以上かけて自分の仇見つけられなかったくせに急に復讐心まろびだしてきたバカ。元不動産関係者故に組織内でもエリート格、ハリソンのアドリブにも高水準で応え、基本的に彼の潜入パートを見せ所にしてるので地頭は良いのだが、精神面が幼稚園児過ぎて動機部分がお粗末。地面師に破滅させられたのに地面師をやっているという矛盾は「仇の地面師を探す為」のはずなのだが、本当に探す気あったのか? という部分が解消されない。
そもそもハリソンからの誘い文句からして「地獄に落とされたんだしお前も誰か地獄に落とそうぜ~」って感じなので、仇探しをハリソンに手伝って貰っても良かったはず。だがハリソンは一応辻本が地面師をやってる理由を知らない体なので、そういった打診もせずただ地面師やってただけである。
というか倉持にYouは何故地面師へ? されたパートでもそうだが、顔が割れてる犯罪者が墓参りに来るわ心中事件起こした父親恨んでるわで、そもそも地面師を仇とすら見てない節がある。かと思えば倉持にお前の仇いたけどそいつの親分ハリソンだったぜ、と言われた瞬間ハリソンへの仇討ちに拳銃作って突貫するも何故か撃たず、ドラマあるある揉み合い小学生ファイトした挙げ句ハリソンに「お前地面師楽しんでたやん?」と突っ込まれ「俺は地面師じゃない!」と返す。いや結構笑顔だったけどね? しかも火にPTSDあるのに火傷の特殊メイクを変装に選んで勝手にダメージ受けてるし。ただのマゾか……まあハリソンとはお似合いだけど。
・ハリソン
もっとも恐ろしいのは、この物語最大のバカに物語最大の主人公バリアが張られていることである。彼の行動原理は「エクスタシーを得る」という点に集約するのだが、このエクスタシーがとにかくみみっち過ぎてこれで興奮すんのぉ!? としか思えないのにとにかくこれ以外の動機が存在しないので主旨も本筋のへったくれもない。
冒頭熊狩りが気持ちよかったという自分語りや「難攻不落のヤマを落としてこそ――」という部分からスリルジャンキーかルナティックマゾと誤読しかけるが、実際には殺し屋集団を平気で使えて邪魔な人間全員バンバン殺せて自分は捕まらず、そのスナッフビデオを見て気持ちよくなってるだけである。熊相手にライフルどころかウサギ相手にガトリング振り回してる。自称破滅願望持ちの人が夜中部屋の電気消してるけどカーテン開けながらエロ本読むとスリルあるんですよって言ってきたらどう思うか。バ、バカだ……
というか結局なんで地面師してたんだろうね。人殺したいだけなのに金儲けでしかない地面師やって関係者自分で殺してたら世話がない。資金集めにしてもそもそもあんだけ殺し屋雇えて他の暴力団やマフィアに殺されないだけの権力、10億とかガチの端金であることは想像に難くない。作中の発言的に人間が作ったルールの中でちょっと偉いだけの奴がデカい面してるの懲らしめるの気持ちいいですねぇ~俺は人殺しても罰されない「上」なんよwという感じなのだが、なんかもうハリソンだけであらゆる犯罪ドラマ作れるんじゃない? という動機のフワフワ度だ。多分痴漢師たちってドラマも作れると思う。
ちなみにこのドラマ、実在の事件がネタになっていたようで。そちらではなりすまし役は干支言えなかったらしい。現実の方がバカだったー!
(実際のところ弁護士の本人確認が済んでたら司法書士がその場で質問攻めしたり、あんな念入りにチェック通したりしなかったらしいので、いつの時代も詐欺師側が先を行くわけだが)
詐欺被害には気をつけよう!
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