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ココがすごいよ!! OnRobot【第1弾】

こんにちは。Spielerです。

突然ですが、皆さんはデンマークにあるOnRobot社というメーカーを知っていますか?
近年のロボット展などにいくと必ず目にする”あの”メーカー"です。

いきなり結論から言ってしまうと
"協働ロボットを導入する前には絶対にチェックするべき!"
もっと極端な事を言ってしまうと、
"OnRobot製品に魅力を感じなければ、協働ロボットを導入するべきでない!"
とまで言い切ってしまいます。

なぜいきなりそんな記事を書いたのかと言うと、実は弊社MillDesignでは2021年からOnRobot社とパートナー契約を結んでおり、OnRobotの魅力を十分にお伝えすることが出来るんです!
今まであまり宣伝などせずになぜ今更記事にしたのかと言うと・・自分たちがOnRobot社の本質を理解するまで経験値を増やしたかったという事です。

ここで一つポイントなんですが、私たちは"FA特注機械の設計製作業”であり、"商社業ではない"という点です。

感が良い方であれば分かると思いますが、私達はOnRobotを単品で販売することで利を得ている会社ではなく、"OnRobotを取り入れた設計をして、自分達の設計負担を減らしたい!”と言う目的でパートナーになっています。

「じゃぁお前たちが楽したいだけじゃん!」

いやはや、実はそうなんです。

しかし設計工数の削減って、一つの装置にした時には総費用をグッと抑える事になるんですよ。特注で設計したロボットハンドにどれだけの設計費が発生するか想像できますか?
単純なハンドであっても内容によっては、50万・100万なんてあっという間に星の彼方に消え去ります。そしてその内訳の半分以上は開発設計費だったなんていうのはザラです。

少し話が脱線してしまいましたが、今回は[第1弾]という事で全体的にOnRobot社の何が優れていて何が劣っているのか。OnRobotに関する記事が全くないので、この記事では"設計者目線の忖度無し"で記事を書こうと思います。

かなり主観も交えますが、この記事は弊社が"実際に取り扱った率直な感想"になります。難しい言葉は使わずに簡潔に紹介していきますので、OnRobotに興味があれば是非見てってください!

・OnRobot社の全体的な思想と特徴

OnRobot社は"協働ロボットの意義"を200%理解し、そこに全振りしています。全くブレていません。

「協働ロボットは多目的な作業させる。ハンドだって豊富なラインナップの中から選べるようにするべき」

という事でOnRobot社では多彩なハンドを用意しています。2023年の3月の時点で、ツールとしてなんと17種類(ハンド12種類、サンダー1種類、ネジ締め1種類、リフト1種類、カメラ1種類、力学センサ1種類)も用意されているんです。そしてハンドに関しては、全てのハンドをワンタッチで脱着でき、どのメーカーのロボットでも組合せが可能という無双っぷり。ツールの数は年々ものすごいスピードで市場に投入され、まさにOnRobot一強状態です。

OnRobot カタログ抜粋

比べてみてください。私の知る限り、1つのメーカーでこれだけラインナップを用意しているロボットハンドメーカーは世界中どこ探してもありません。そして機能は勿論、デザイン性も非常に高く滅茶苦茶カッコいいです。各ツールについては、第2弾以降で続けて記事を書こうと思います!


「あくまで協働ロボット用。人がやるべき作業をわざわざ自動化するなんてありえない」

展示会などに行くと”こちら協働ロボット用ハンドです”と言いながら"うちの製品は自動でハンド交換もできますよ"という製品を目にします。
需要があるのは分かりますが、ユーザーの声に敏感に反応し機能を増やしてしまうのが、いい意味ですっごく日本人らしいと思います。(笑)
でも自動でハンド交換したいって言う案件は、そもそも協働ロボットに適していないケースが多いんです。OnRobotはその事を十分に理解しているので、そんな中途半端な事はしません。あくまで”人協働”という視点です。


「人と協働するなら簡単な操作性が求められる」

そもそも”協働ロボットを導入するメリット”ってなんだと思いますか?
「人とぶつかっても安全に止まるからロボット安全柵が不要?」
もちろん正解です。ただもう一つ重要な事があります。

"業者(ロボットシステムインテグレーター)へ依頼せずに、専門知識が無い一般の方達も自分達で立ち上げることが可能なロボット"
なんです。

なので、ロボットハンドだって協働ロボットにポン付け出来て”簡単にロボットにインストールして使えなければ本末転倒だよね”という思想です。

少し話がズレますが、なぜ日本で協働ロボットが流行らないか。色々と意見があると思いますが、私の一つの見解としてはSIer(ロボットシステムインテグレーター)という業種が奪われてしまうのが一つの原因かと思っています。
だってそうじゃないですか。自分たちの仕事を奪うような商品ってアピールしにくくないですか?だから商社もSIerも積極的にこの事をアピールしないような気がします。これは私の考えすぎですかね・・。


「エアー?いらない。全て電動」

協働ロボットはどこでも使えるように家庭用の100V電源で動くものが多いです。そう、その気になればご家庭でもお使いになれちゃうんです。
もはや家電。そんな貴方のお宅にエアーコンプレッサーありますか?
ほとんど持ってないですよね。安心してください。
OnRobotの製品は全て電動です。

「いやいや、吸着パットついてるハンドありますやん!って事はエア必要ですやん!」

と思う方もいるかと思いますが、中に真空ポンプが内蔵されており、ハンドの内部で真空源を作り上げます。勿論電磁弁も組み込まれています。
(ヤバい)


・OnRobot社のサイトは高度に作り込まれている

OnRobotを調べてまず初めに驚いたのが、OnRobotの公式ホームページです。何がそんなに凄いのか。それは資料のダウンロードです。

日本のメーカーのホームページから資料をダウンロードしようとした際に、イラっとした経験ないですか?そう”ユーザー登録”です。

特に技術資料をダウンロードしようとすると、99%の確率で聞かれます。
厳しい所は、メーカーに申請して承認してもらわないと閲覧すら出来ないなんてメーカーもあります。そんなフラストレーションはOnRobotにはありません。全てオープンです。もってけドロボー状態です。

日本ではまずあり得ないホームページだと思います。

試しに上記のサイトからOnRobotのツールをダウンロードしてみてください。組合わせる協働ロボットやツールを選んで進むだけです。

ほら、ユーザー登録無しで誰でもユーザーマニュアル、ソフトウェア、データーシート、3Dモデル(STEP)が自動生成されてダウンロードできちゃうんですよ。ほんと凄いと思います。


・納期と価格

OnRobotは欧州の製品なので納期と価格が心配ですよね。
まず納期についてですが、我々代理店が発注してからなんと1週間程度で日本に入ります。これはデンマークの本社で常時在庫をストックしているためです。なのでもし"ハンドが故障した!"という非常事態に陥っても1週間で物が届き、現場で数秒で取付ければ復旧完了です。

価格ですが、OnRobot製品は全てユーロ価格となっていて、我々代理店がOnRobot社から買い付けます。よってユーロの為替によって価格が変動します。(商社さんでは据え置いている所もあるのかな?)

価格についてはピンキリですが、結構高いです。
大体安い部類のハンドでざっくり20万程度~高いハンドで120万位するような製品まであります。そしてハンド単品だけでは成立しません。コントローラーとロボット側に取り付けるクイックチェンジャーが必須となります。そのクイックチェンジャーが約10万くらいで、コントローラーが約15万位してきます。そして海外送料や関税(大体総購入価格の10%程)まで乗っかってきます。いやぁお高いですね。
補足事項として、コントローラーやクイックチェンジャーは各ツール共通なので、初回で買ってしまえば共通して使えます。

この価格帯を安いと感じるかはどうかは人それぞれですが、協働ロボットを使うのであれば、やはりOnRobotがベストチョイスだと思っています。

もしこの価格帯を高いと感じるのであれば、経験上協働ロボットでなくてもいい可能性が極めて高いので再度検討される事をお勧めします。

・2023年1月にOnRobotが満を持して発表した業界初のプラットフォーム【D:PLOY】とは

これはあくまで私の推察ですが、おそらくOnRobot社はかなり初期の段階からこのプラットフォームを市場へ投下させるストーリーを描いていたんだと思います。
私はリリースの報告を受けて鳥肌が立ちました。こいつはヤバいと。

とにかくこのD:PLOYってなんなの?という話をします。比較的イメージがしやすい”工作機にロボットが製品を自動で脱着する”という工程を参考にお話しします。

超簡単にいうと、このD:PLOYというソフトを使えば

・ハンド制御 (OnRobotハンド限定)
・ロボット制御 (対応ロボットメーカーのみ※)
・パレタイジング (簡単なワークの整列)
・CNCマシンの制御 (自動扉の開閉、チャック開閉、等)

これら全部"D:PLOYが上位に立って制御できます!"という代物です。

なのでD:PLOYさえ覚えてしまえば、どんなハードウェアでも良いという事です。分かりやすく言うとD:PLOYは"Windows"に例えられます。

WindowsってDELLだろうがHPだろうがASUSだろうが、どのメーカーのパソコンを買ってきても”Windows”というOSがパソコンの中にインストールされていて、メーカーが変更になったからって操作に困ったこと少なくないですよね?まさにそれです。

ということは各社のロボット操作方法をわざわざ覚える必要が無いんです。
FANUCのロボットティーチングは出来ないけどDENSOなら出来る。
・TECHMANなら出来るけど、Doosanはできない。

なんていう煩わしい悩みが無くなります。

OnRobot社の凄い所は"ハンドメーカー"と言う立ち位置で、まず初めに"ハード的にロボットメーカーの垣根を取っ払い"、次段階として"制御的にメーカーの垣根を取っ払った"という事です。

制御できるロボットですが、2023年3月の時点では下記のとおりです。
ABB IRC5
・ABB Omni Core
・DENSO
・Doosan
・FANUC CRX
・FANUC R30i
・OMRON TM
・TECHMAN
・UNIVERSAL ROBOTS

年内中に更に対応メーカーが増えるという情報が入っています。


OnRobotのデメリット

そんな魅力盛りだくさんなOnRobotのツールですが、デメリットが気になりますよね。いくつか挙げたいと思います。

OnRobot製品は、Universal Robots社以外の協働ロボットとは相性があまり良くない

写真のロボット=Universal Robot

Universal Robots社と言えば、協働ロボットというジャンルを切り開いた先駆者的なメーカーで、安全性はもちろん、ユーザーが簡単にロボットティーチングが出来るという点で非常に革新的なロボットです。主観ですがUniversal Robots社はハードに強いメーカーと言うよりどちらかと言うとソフトに強いメーカーです。
そんなUniversal Robots社の創業者の一人であるEnrico Krog Iversen氏が後追いで立ち上げた会社こそ"OnRobot社"なんです。

OnRobot社は当初、このUniversal Robots専用ハンドとしてブランディングしましたが、2019年にUniversal Robots以外のロボットにも対応と発表しました。”これは凄い!"となるんですが、実は掘り下げていくと機能制限がかかる部分も多いんです。簡単に言うと、"OnRobotのツールの機能・性能を100%発揮できるのはUniversal Robots社の協働ロボットだけ!という事です。

これだけ言うと誤解を招くので補足します。

単純に掴む・離す・回す・止めるなどの基本的な動作はどのメーカーと組み合わせても問題はありません。しかしハンドから出力された細かい情報を直接ロボット側に受け取らせる事が出来ないケースがあるという事です。

特にUniversal Robots社以外のロボットではセンシング系のツールは我々が確認した感じではあまりオススメできないです。弊社で取り扱っているロボットはFANUC社のCRXというモデルですが、過去に1度だけバグ発見し、報告した経緯があります。ビジョンカメラ先端に触覚センサを有しているハンド手首の力センサなどの高度なセンシングを有したツールは、使える機能を十分確認した上で選定しないとコスパがあまりよろしくないです。

弊社デモ機にてセットアップ中


マニュアルの日本語翻訳が少しおかしな部分が多い

これは海外製品あるあるですが、OnRobot社も日本語マニュアルの言い回しに少し変な所があります。エンジニアの方であれば「あぁ、こういうことを言いたいのね」って分かる所が、素人だと分かりずらいような言い回しになっている箇所がチラホラ見受けられます。
ただこちらもフィードバックは適時OnRobot社に報告が上がっているようで、適時更新されているようです。


第一弾のまとめ

展示会などでOnRobot製品を目にし、実は少し気になっていた方も多かったのではないでしょうか。この記事をキッカケに協働ロボットを導入するという敷居が少しでも下がったら幸いです。

各OnRobotのツールについては、また第2弾、3弾という形で続けて記事にしていこうと思いますで、スキをいただけると嬉しく思っています^^

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ではまた

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