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クローズ就労の罪は如何ほど

9月は障害者雇用支援月間だという。

「障害者雇促進法の改正を受け、2024年4月から民間企業における障害者の法定雇用率は2.5%になった。従業員40名以上の事業主は1名以上の障害者を雇用する義務が生じ、雇用には補助金が企業に支給される。このように、障害をオープンにした働きかたは「オープン就労」と呼ばれる。

ただし、障害者手帳を取得している従業員がいても、会社に未申告の場合はカウントされない。また、日常生活に支障がある状態でも手帳発行がなく、障害として認められなければ対象外。これを「クローズ就労」と呼ぶ。

その実情が大々的に知られることはない。

一見しただけでは目立たず、声を上げるにしても当事者の匿名性の確保がネックになる。WEBで情報発信している人が勤務先に身バレしたら、本人のクローズ就労は不可能になる。(クローズ就労を目的としたライフハック先駆者・借金玉氏の例は言うに及ばず)

メディアの取り上げ方も課題。昨今の傾向として「エモい記事」などでPVを稼ぐための共感しやすい記事が求められるが、当事者の取材で職場に許可をとることは、常に「アウティング」と隣り合わせの取材だ。

加えて、若者の教育環境の整備。特に新卒・第二新卒などの若手ではオープン就労の方がスタンダードのようだ。むしろ、隠していることが不誠実で罪深いような空気すら醸成されている。

ただ、障害者雇用の給与は全体的に低い。多くの求人票を見ると仕事の範囲が限定され、成長のポテンシャルは考慮されていない。

オープン就労を「得意なことを活かして活躍」と評するのは一種の都市伝説。企業が求める能力に個人の特性が合えば重宝されるだけで、どんなに貴重な特性でも、企業に合わなければ何の役にも立たない。その点は、クローズ就労と大差ない。

大きく違うのは、存在自体が会社の役に立つといこと。一見すると尊いようにも見えるが、働くための契約として、実はいびつな関係だ。根拠を法律に依存し過ぎているところに危うさがある。法律が変わったらどうなってしまうのか? また、無意識のうちに、自分の可能性を摘んでしまうことはないのだろうか?その点においては、オープン就労も罪作りになる可能性がある。

最後に私自身のことを話せば、クローズ就労でもオープン就労でも、後に続く人のヒントになるような生き抜き方をしていきたい。そして、そんな場所を作れると良いなとボンヤリ思っている。

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香野わたる
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