高木新平君と考える、これからの飲食業界のこと
2017年夏、僕がカレーの活動を続けてきて、趣味から仕事に転換する大きなきっかけが2つありました。
ひとつが、もちろん「スパイスカレー研究部」をはじめたこと。
そして、もうひとつが「20世紀をぶち壊す」をビジョンに掲げるクリエイティブ集団「NEWPEACE Inc.」が運営する「6curry」の立ち上げから参加し、代表シェフを任されたことです。
2017年12月に店舗を持たない“ゴーストレストラン”として始まり、2018年9月に恵比寿に“完全会員制”の実店舗「6curryKITCHEN」をオープン。おかげさまで、「カレー・オブ・ザ・イヤー2019」の新規事業部門大賞にも選んでいただき、今年はさらに、みんなとカレーを軸にした新しい体験を企画中です。
今回は「スパイスカレー研究部」の新事業として
人と人がつながる!カレーの起業冒険塾「POP START」
がスタートするにあたって、20世紀的な概念を現代のあるべき形にアップデートし続ける、「NEWPEACE Inc.」代表の高木新平君に、新しいことを始めるときに大切にしていることを教えてもらいました!
1987年、富山生まれ。早稲田大学卒業後、2010年、(株)博報堂に入社。SNSなどを活用したクリエイティブ開発に携わった後、独立。「よるヒルズ」や「リバ邸」などコンセプト型シェアハウスを各地に立ち上げ、ムーヴメントを牽引する。またネット選挙運動解禁を実現した「ONE VOICE CAMPAIGN」などを主導。小泉進次郎議員を中心に自民党若手議員で作られた「小泉小委員会」では発信アドバイザーとして議論をとりまとめ、「レールからの解放」という全体コンセプトを生み出す。2014年、多様なクリエイターを集め、NEWPEACE Inc.を創業、代表に就任。
「6curryKITCHEN」は消費する場ではなくて、生産する場
−−「6curryKITCHEN」をはじめるときに、世の中の飲食店に対する“問い”みたいなものって、あったんですか?
新平君:めちゃめちゃありますよ。「6curryKITCHEN」は、レストランではなくキッチンにしているんです。あくまで消費する場ではなくて、生産する場。基本的につくる側の場所にしているんです。僕、NIKEがほんとに好きなんですけれど、NIKEの靴を1000万円分とか100万円分払うことは難しい。でも、それを払ってでもNIKEの靴はデザインしてみたい。つまり、一緒につくることの体験価値の方が高いなと思っているんです。新しいものが生まれる現場にいたい。一平ちゃんは化学反応を楽しむというスタンスで、編集者っぽい感じだよね。
“世の中の気分”を反映した実験をしたい
−−何かを新しくはじめるとき、大切にしていることは何だろう?
新平君:時代を代弁したい。今の時代の価値観を自分たちなりに実験して、 “世の中の気分”を反映した実験をしたいなと思って。儲けたいとか全然ないし、自分の中に、その価値観や答えがあるとも思ってもいない。
だからこそ、「6curry」でこれまでのビジネスモデルとして勝負にならない、ゴーストレストランであったり、会員制のキッチンとか、ニッチなことをしてきた。そういう“世の中の気分”を大事にしているのかもしれない。
“価値観としてのローカル”が、今は世界へいける
−−「POP START」は、愛知県の瀬戸で開催を予定しているんだけど、これからのローカルのポテンシャルについて、どう思うかな?
新平君:僕はローカルには2つあると思っています。ひとつは、地方といった物理的なローカル。もうひとつが価値観としてのローカル。それはニッチということなんですけれども、今、僕は価値観としてのローカルという言葉が強いと思っています。農作物とか一次産業ほど、価値観としてのローカルの方が意外と世界に出ていけると思う。
「6curryKITCHEN」も東京で100万人の人に来てほしいとか思っていなくて、5万人とかでいい。だけど、世界20都市で展開できれば、100万人じゃないですか。恵比寿でお店を開いたというと、都会っぽい場所に聞こえると思いますけれど、恵比寿の超端っこで、人通りも全然ない場所なんですよ。それでも、キッチン自体が会員制でやっているということもあって頻度高く来てくれる方が多い。そこから、ちゃんと自分たちらしいカラーやカルチャーができてきているなという感じはしている。
今、地域のおもしろい飲食店だったり、ゲストハウスだったりに人が集まっているのは、すげーわかる。そういう場所にこそ海外の人もコミュニティに参加したくなるし、強力なファンが生まれると思う。
カレーは交流を最大化するための装置
−−最後に、「POP START」の内容を聞いて、感想教えてもらえると嬉しいです。
新平君:一平ちゃんにとってカレーは交流を最大化するための装置としてとらえているんだなと思った。飲食ブランドを考えていくなかで出てきたのが「6curry」だし、一人ひとりのあり方を考えるなかで出てきたのが「POP START」なのかなって。
一平ちゃんは基本的にめちゃいい人。「6curry」では任せっぱなしなところがあるんだけれど、それをちゃんとよりよい場にしていこうとか、アウトプットしていくことができる人。“カレーの起業冒険塾”とかね、怪しい感じもあるし(笑)、誰やねん! と思うかもしれないけれど、一平ちゃんは人をだましたりはしない。このプロジェクトも、裏切られるということはないと思うんですよ。なんかおもしろそうと思ったら、参加してみたらいいと思います!
サポートを頂けると大変喜びます! スパイスカレー研究部の活動にすべて充てますので、よろしくお願いいたします。