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依頼
郷田氏は朗らかな笑顔が特徴の心優しい人だ。駅前のカフェのオーナーで、近くの住民のほとんどと顔見知りであった。しかし彼はの誰にも明かしていないもう一つの仕事があったのだ。その仕事をするため彼は小鳥がさえずる早朝にカフェへと向かった。ドアを開けると、まだ開店時刻より3時間も前というのに椅子にはおしゃれな黒いジャケットを着た二人組が座っている。
「また、新しい仕事が来たと連絡があったからきてみたが初めて見る顔だね。」
二つのブラックコーヒーを注ぎながら郷田氏は言う。すると、黒いジャケットの男が一枚の写真を郷田氏の前に差し出した。
「こいつはX製薬会社の会長。あそこの会社は社長の椅子こそあるものの、実権は老ぼれの会長が握っている。そのせいで会社の業績は三年連続低下の一途。そこで、今の社長から古い考えの会長を殺して欲しいと依頼が来たわけだ。あんたは頼まれた殺しは絶対に完遂させるらしいからな。」
「社長が協力してくれるのなら軽いですよ。」
郷田氏の朗らかな笑顔は瞬く間に不敵な笑みとなった。 後日カウンターにはX製薬の社長とオーム氏がいた。
「私の名前は梅田と申します。私は会長が社長だった時から彼のやり方が古臭いと思っていました。今の時代、デジタル化を取り入れなければ会社として持ちません!…なのに、…僕としても不本意ですよ?。人を殺さないといけないだなんて、でもそうしないと社員のみんなの生活が…」
「まぁ、任せてください。梅田さんの理想を必ず叶えて見せますから。」
郷田氏が会長を殺す予定の前日である。カフェのカウンターには郷田氏と、X製薬の会長が話しているのであった。
「知り合いの男からあんたが腕利きの殺し屋だと聞いてな。じつは、わしの会社の社長の梅田という奴がわしの命を狙ってるんじゃないかと思うのだ。若造のくせに会社を壊そうとしておる。そこでだ、梅田の奴が何かする前に手を打とうと思ってな。奴を殺してほしいのだ。そうだな、報酬をたんまり出すから明日にでもお願いしたいのだ………」
ここで黒いジャケットの男が言っていたことを思い出してほしい。
郷田氏は、頼まれた殺しを絶対に完遂させるのだ。