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伊泉龍一著『タロット大全』の図解ガイドブック note版_02/『タロット大全』を読む前に差し上げたい、とってもたいせつなアドバイス

こんにちは、スピカです。

今日のテーマは「『タロット大全』を読む前に差し上げたい、とってもたいせつなアドバイス」です。


今日は
伊泉龍一著『タロット大全』を読む前の、とってもたいせつなご注意
をお伝えします。

わるいレビューを書かれる理由

お話が少し本と離れるのですが、以前ストアカ主催の「講座作り講座」といったものに参加したことがあります。
受講生としてもストアカはよく使っていたので、自分の講座をストアカにも登録しようかと考えていたのです。
結局ストアカで先生デビューはしなかったのですが、その際先生に質問していただいた答えが、いまもとても印象に残っています。

わたしの質問は「低評価を付けられたり、わるいレビューを書かれるのがこわいのですが、避けるにはどうしたらいいですか」といったものでした。

それに対して先生の答えは、「低評価は基本的にミスマッチが原因なので、それを起こさないためには、事前に丁寧な説明を掲載することが必要」とのことでした。

たしかに。

講座でなくてもたとえば、
高級なレストランやホテルに行ったのにサービスが酷かったり、
怖い映画が見たかったのにまったく怖くなかったり、
イケメンが来ると聞いていたのにそれらしき人が見当たらなかったりしたら
がっかりしますよね。

『タロット大全』が引き起こす残念なミスマッチ

Amazonの『タロット大全』の低評価レビューを見ると、
「ミスマッチの悲劇が多いな〜」と感じます。

それもそのはず、タイトルは『タロット大全』。
デザインで入っている英語でのタイトルは『The Complete Book of Tarot』です。
「大全」で「Complete」。
そりゃ、「わたしが知りたいタロットのことも、書いてあるはず!」って思っちゃいますよね。
至極当然だと思います。

『タロット大全』『The Complete Book of Tarot』と題された本を知って、これから読む方が期待するものは何でしょう。
「タロット」ということばに、多くの方は「占い」を自然に結びつけるものではないでしょうか。さらにそこから、「不思議と当たる神秘的なもの」という認識をお持ちの方も多いと思います。
そう考えると、「タロット占いの方法」や「なぜか当たるタロットの神秘性」についての需要が高そうです。

ところが。
こちらの『タロット大全』、占いについてはあまり記述がないのです。
500ページ以上ある中で、「タロット占いのやり方」について書かれている箇所は、「一般的なタロット占い」という小見出しが付けられた数ページ(P.7からP.18あたり。内5ページはタロットの画像紹介)。
その他「タロット占い」に関する記述としては、P.72からの「タロット占いの歴史」がありますが、こちらはあくまで客観的事実に基づいた検証です。タロット占い史をできるようになりたい方や、タロットの不思議さをもっと知りたい方に、直接役立つ知識ではさそうです。

それどころか。
受け取り手によっては「そんな書き方する必要ある?」と感じられそうな、神秘性から敢えて距離を取ったような表現も見受けられます。

例えばこんな感じです。

ちなみに、書店に並んでいるティーンエイジャー向けの手頃なタロット占いの解説書には、タロットの起源として「古代エジプト」、「古代インド」、「古代ユダヤ教」等々といった様々な説がまことしやかに列挙され、最後には「その起源はいまだ謎である」と締めくくられる。つまり、いまだタロットの出所が不明であるということから、ことさらその“神秘性”が強調されているのだ。さらに、少々まじめなムードの装いのもとで書かれたもう少し“本格的な本”では、たとえば「タロットは単なる占いのツールではなく、古代賢者たちの叡智が絵として表現されたものだ」
といったようなことが述べられている。これらについての真偽はさておいても、タロットが決して俗なるものではなく、何か古来から伝わる崇高なものであるという主張は、熱狂的なタロット・ファンの間で、まず共有されているひとつの確信のようだ。

伊泉龍一著『タロット大全』はじめにiv

わたしがタロットを学んだ中で交流した方々はもちろん、占い好きの一般の方であっても、「タロット」というものを話題に挙げた際は、多少なりともその神秘性や不思議さへ憧れやエンターテインメント性を感じていることが伺えます。
そこでは「いまだタロットの出所ってわかってないんだって〜」と言った方が、むしろ「やっぱりそうなんだ〜」という納得感を生む空気感があります。

それに対して『タロット大全』は、「って、みんな信じてるようですね」という姿勢で、その熱に決して影響を受けない距離感を保っているのです。
しかも、

「書店に並んでいるティーンエイジャー向けの手頃なタロット占いの解説書」
「少々まじめなムードの装いのもとで書かれたもう少し“本格的な本”」

伊泉龍一著『タロット大全』はじめにiv

といった記載に、冷静さ以上の不快感を感じてしまう人がいてもおかしくないなと、わたしは感じます。

でも実は、直前にはこんな表現もあります。

ここで、試しに本書に収められたタロット・カードの図版のいくつかを眺めてみていただきたい。壺から壺絵と液体を移し変える天使、アーモンド形の輪の中で踊る裸の女性。片足を木に縛られて逆さ吊りにされる男…。たとえタロットをよく知らなくても、一枚一枚のカードに描かれた不可思議で奇妙な絵柄の数々に、なんともいえず好奇心をくすぐられはしないだろうか。決して美点な観点から見て素晴らしい出来栄えとは言い難いが、そこには不思議と人を魅了する何かがある。いったいこれら一枚一枚のカードの絵柄は何を意味しているのだろうか? いつ誰が何の目的で作ったのか?

伊泉龍一著『タロット大全』はじめにiii

筆者は決して、ただ神秘性への憧れから距離を取った位置で傍観している訳ではなく、強い魅力を感じていることは間違いないでしょう。
ただ、神秘性への憧れに溺れながら、そこから見える景色を詩的に綴っているわけでもないことは確かです。

ですので、個人的に、『タロット大全』をお薦めしたい人、読むにあたり注意を促したい人は以下です。

『タロット大全』をお薦めしたい人

  • タロットカードについて、事実に基づいた歴史の流れを知りたい方

  • トランプとタロットの違いについて、事実に基づいた分析を読みたい方

  • タロットカードの発展において重要な人物が当時行ったことを知りたい方

  • 現代のタロット研究者の分析を知りたい方

  • タロットカードの絵柄について、当時の歴史や文化に基づいた分析を読みたい方

  • タロットカードというものの始まりと変遷について、冷静で客観的な視点で学びたい方

『タロット大全』を読むにあたり注意を促したい人

  • 「タロット占い」のいろいろなやり方や解釈について知りたい方

  • 「タロット占い」の不思議と当たるところが大好きで、その神秘性について読みたい方

  • 気持ちに寄り添ってくれるような優しい文章が好きな方

  • 結論から書かれたシンプルな文章が好きな方

でもやっぱりおすすめなのです。

「読むにあたり注意を促したい人」なんて書いてみましたが、結論、わたしとしては、タロットに興味を持った方には是非読んでいただきたい本であります。
事前に期待するもののミスマッチさえ解消できれば、とても面白い本だからです。

わたしは実は、『タロット大全』を2回購入したことがあります。
1回はまだ本格的占いを勉強する前、何だか興味を惹かれてAmazonで購入しました。

届いたその本は、思った以上のボリューム感。
厚みは5cmくらいあるし、文字も大きいとはいえません。
とても読める気はしなかったのですが、なんだか存在はカッコイイので、しばらく本棚に飾っておりました。
しかし、数年後に売ることに。

その後流れがあって、占いを勉強し始めることになり、著書の伊泉龍一先生の講座を受講することも増えたので、改めて購入しました。
それでもすぐには読めなかったのですが、あるときようやく、「はじめに」以降を読み進めたところ。

こんなに分厚いのに、思っていた数倍どんどん読み進めることができ、なぜもっと早く読まなかったのだろうと思うほどでした。
さすがに1日で読み終わるものではありませんでしたが、数日掛けて読み進め、自分の中で整理したくなったので、蛍光ペンと付箋で印を付けながら2回目も読みました。

伊泉龍一先生がまだ若い30代前半に書かれた第1作ですので、いまであればもっと柔らかい表現にするところもあるかと思います。
ですが、そんな若い頃にこんな分厚い本を書き上げた情熱には、わたしは感服しかできません。

どうか、残念なミスマッチにならずに、いまでも重版されるこの大作が、タロットに魅力を感じるひとりでも多くの方に読まれ、有益に感じられることを、心から願っております。

そしてわたしが綴っていくこのガイドが、その道をより楽しく有意義なものにできたらと考えております。

長文お読みくださりありがとうございました!
⭐️とりあえず書き切りましたが、後から推敲して多少直すかもです。


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