grande

目が覚めると狭い部屋にいた。他にも何人か見知った顔がいくつかある。彼らもまた僕と同じ問題児扱いされるような者たちばかりだ。殺されるのだと確信した。


突然、静寂を破るような大きな声が頭上からきこえた。看守らしき男がこちらを見ている。先程の声の正体はこいつだろう。

「やあ、君たち問題児に最後のチャンスをやろう。そこに武器がある。それを使って構わないからある人間を殺してくれ。もちろん君達が素直に従うとは思わない。」入り口には大きな銃を持った大人が立っていた。また、頭上の男もまた大きな銃をもってにやにやしている。そういうことだろう。

「ちゃんとこちらの指示に従えば自由の身にしてやる。ただ、下手にそこからでようとしたら殺すからな」

みんな彼の話を真剣に聞いている。意識はまずこちらには注がれない

僕はそっと殺しの道具の中から拳銃を取って、そのまま頭上の男を殺した

躊躇なく殺したことに自分でも少し驚いていた

こいつを僕は知っていたからだ

僕たちの施設の世話係の男でみんなからの人気も高かった、僕も彼に好意を持っていた

しかし上からの命令とはいえ僕の敵となれば躊躇なく殺せてしまう自分に嫌気がした。

入り口の銃を持った女はポカンとしている

こいつも同じだった。ずっと幼い頃からの世話係で年も20代前半で若かった。こんな若い女に看守を任命したのは流石に育ての親に銃は向けないだろうという上の考えなのだろうが誤算だったようだな。それは上の死体にもいえることだが。

僕が銃を向ける前に女は銃を下ろしていた。

そしてあまつさえ僕に手渡してきた。

「こいつ、看守としては最低だが僕の育ての親としては最高かもしれないな、」と思い一人で笑ってしまった。

部屋の扉を開けた。

他の子供たちはいくら問題児たちとはいえ呆気にとられていた。中には武器を持っていた者もいたがそいつらも人を殺す道具、行為を目の当たりにして恐怖したのか武器を持ったままぽつんとしていた。

結局僕は一人で部屋を後にし、ゆっくりと階段を上がった。

階段の上から何段か目に立ち、上の様子をバレないよう覗いてみた。

そこは見たところのないところだった。

この施設にこんなところがあったとは…。


とても広くてコンピューターが並んでいる。おそらくオフィスか何かの類、すなわちこの施設の核なのだろう。

こちらに近づいてくる男がいた。僕が仲良くしていた育ての者の一人だ。

非常に優しくて笑顔が素敵な男だった。だが僕は引き金を引くしかなかった。


その後は階段を駆け上がり残りの連中も一人ずつ殺していった。躊躇したのはさっきの一人だけで後はもう淡々と何も感じず殺すことができた。

あまりに呆気なく、殺しているという感覚がなかった程だ。


僕はそのまま出口へと向かい、生まれて初めて浴びる陽の光の眩しさに思わず目眩がしたと共に感動を覚えた。

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