店舗開発のお仕事3:契約条件交渉(物件契約)
立地・商圏選定が終わり、物件に内見も終えて物件選定を終えると、次は物件契約に入ります。一般的な契約の種類と契約の流れを纏めていきます。
1: 契約条件交渉(経済条件含む)
一般路面ビルで物件が決まると次に申込み、審査(保証会社・大家)を経て契約交渉となります。
申込みの段階で、募集条件に対してどのような希望条件を出すか検討します。路面ビルの物件契約の注意点は以下になります。
1-1: 契約形態の確認
事業用物件の場合、契約形態が『普通建物賃貸借契約』と『定期建物賃貸借契約』の2種類があります。
普通建物賃貸借契約は、原則2年ないし3年で契約期間が更新される契約。
定期建物賃貸借契約は、契約期間満了で撤退が原則(更新なし)契約。
定借の契約期間は物件によって違います。
➡新規店舗開業の場合、購入額30万以上の厨房機器は原価償却期間が6年の
ため、3年の定期借家契約では、原価償却が終わる前に物件契約が切れ
る、といったリスクがあります。(現時点の税法)
注1)定期借地契約と物件案内(マイソク)記載されている物件は、申込
み前に契約更新可能物件か事前確認をお勧めします。
注2)普通借家契約と定期借家契約について詳しく知りたい方は、ネットで
検索すると、賃貸者側や大家側の視点から不動産屋さんや行政書士さ
んなどが詳しく解説されています。
1-2:募集条件に対する希望条件内容の決定
家賃や共益費、看板設置費用など、物件を借りて運営上必要な固定費用を経済条件といいます。物件を借りて店舗を運営していくためにいくら費用が掛かるのか、事業収支計画上の固定比率を試算した上で申込みの希望家賃を決定します。その他、敷金額(保証金額)、倉庫や駐車場、駐輪場がある場合も合わせて希望台数等を決定の上、申込書に記載します。
注1)事業計画上の固定費率を把握した上で家賃を決定することが重要で
す。一方で、どんなに気に入った物件でも希望家賃に収まらないこと
もあります。その場合は、無理をして高い家賃で契約せずに自社にと
って適正家賃の物件を探す選択が賢明です。
注2)申込みが複数入った物件では、それぞれの家賃や敷金の希望条件で選
別されます。家賃は募集家賃をそのまま記載しても、敷金の〇ヶ月や
フリーレント希望などの条件で比べられて、他社が契約ということも
往々にしてあります。
*注1)・注2)の条件の折り合いが、 物件探しはお見合いと同じと呼ばれ
る所以です。物件探しは早めに開始し、気長に、良い物件(お相手)に出
会ったらスピーディに押していくことをお勧めします。
1-3:契約書案文の確認・交渉と契約書締結
審査を通過し家賃等の経済条件が決定すると契約締結のために、契約書の案文調整に入ります。案文調整を行う際の注意点は一般的に以下があります。
a) 決定した経済条件(家賃等)が間違い無く反映されているか確認する。
b) 途中解約申込み期間の確認 長すぎる場合は交渉する。
c) 撤退工事の際に指定業者などの縛りが無いか確認する。
➡防災工事などビル全体に関わることはビル側指定業者への依頼がベスト。
撤退時の解体撤去工事に関して指定業者の場合は、指定業者を外す/合い見
積もり等の金額交渉について条文を入れておくこをお勧めします。
d) その他、特殊な条件が付帯していないか、確認する。
商業施設(デベロッパー物件)に出店する場合は、契約にあたり経済条件の確認書(重要事項確認書/出店条件確認書:デベロッパーによって名称が違う)の合意確認があります。その上で契約書案文調整に入りますが、経済条件や契約書に内装工事(A工事・B工事・C工事)などの条件が入ることがありますので、プロに相談することをお勧めします。
注1)A工事・B工事・C工事区分とは:D=デベロッパー/T=テナント
・A工事:D資産 / D工事業者 / D工事費用負担
・B工事:T資産 / D工事業者 / T工事費用負担(防災工事等)
・C工事:T資産 / T工事業者 / T工事費用負担
*上記は一般的な区分分け、デベロッパーにより違いがあります。
次回は事業計画書策定・予実管理について書きます。
店舗開発のお仕事についてマガジンに纏めてあります。
会社員時代の3つのチェーンストア時代の業務やスパイカ(株)の業務内容も記載してありますので、ご興味のある方はどうぞ!
店舗開発プロデューサーとして、新規店舗事業構築及び空きビル業態転換のプロジェクト管理をPM/CMを兼任しながら行っています。
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