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0714ボクサーみたいでかっこいいだろ?

今年私は恵まれていて、好きな人と一緒に誕生日を過ごすことができた。
色々あって顔面を負傷するところから始まり、いきなり瞼が切れている状態で一日が始まった。
カオスでドーパミンが出る体質の私は変にハイになってしまって、顔面から出血しているという状況に対し結構軽いテンションでいた。
そんな私と反比例して好きな人は見たことのない表情で青ざめていた。
ごめんよ君、私が不注意なばかりに。

それでもいいのいいの、これで一生忘れない誕生日になったのだから。
お互いにね。
幸先最悪だったけど、私はここ十年くらいで一番楽しい誕生日だったよ。
私も君も、一生この日のことを忘れないだろう。

そんな誕生日の前、私の好きな人はプランニング段階でみていた飲食店のリンクを誤って私本人に送ってしまっていた。
なんの脈絡もなく店の情報だけぽんと送られてきたので、おそらく誕生日当日そこへこいと言うことなのか、意図がよくわからなかったが、やはりただの誤送信だった。
でもなんだかそれが愛おしくて、好きになっちゃうぞと思った。
もう好きなんだけど。
無理しなくたっていいのに、不器用め。

私の周りは不器用ばかり。

店をやっている友人に、ちょっと話したいから寄ろうと思うと連絡をしていたら
「今日もいるけど、明日のほうがもっといる」
という謎の返事がきて、意味がわからないのでどういうことなのか聞いたら既読無視をされた。
もっといる、すなわち今日は早く帰っちゃうのかな??と解釈してさっさと帰ろうとしたら、自ら「明日のほうがもっといるってなんだろうね」と笑いだした。
「誕生日プレゼントをおいて家を出ちゃったあとだったから、今日かー!!ってなって意味不明な返事をしてしまった」とのこと。
言わなければそんなことは勘ぐっていなかったし、そもそも「明日のほうがもっといる」の発言ももはや忘れていた。
その後も聞いてもないのに「ラッピングがまだでむき出しの状態だから包む必要がある」と勝手に状況を説明し始め、黙っていたらわからなかったし、起こってもいないことに対してこの人はなぜ言い訳をしているのだろうと不思議に思った。

しかもさ、いいんだよむき出しで。

たまに皿洗いを手伝った時に手が乾燥して悲しくなっちゃってるからって、すごくいいハンドクリームをくれた。
誕生日に何かをくれようとしたことだけでも嬉しいのだけど、私には更に特別な意味がある。
前に、店がもっと軌道にのって儲けたら死ぬほどいいハンドクリームを買って使ってやるんだ!!と言っていた。
店が軌道に乗ったわけでもないし、多分自分にハンドクリームなんて買っていない。
なのに私のハンドクリーム、しかもいいやつをこの人は買いに行った。

なんだかもう、本当に苦しいくらいに嬉しいよね。
私にそんなことをする義理なんて少しもなくて、店でどちらにしても出しているケーキをご馳走してくれたらそれで私は十分だった。
「ドラッグストアで売ってるやつもなんだかねと思ってさ」と言われたが、私はニベアでも同じくらいに嬉しかったよ。
むしろそれでいいのに。

私の好きな人もこの人も、自分の人生の時間を一部切り取って私のことを考えてくれた。
もうそれでいい。
機械的に何かを買いに行くことはできるけど、どうしたら嬉しいだろうって考えてわざわざそのために出かけて買いに行ってくれたんだ。
死ぬまでに残っている時間を自分じゃなくて私のために使った。

私は好きな人に私の誕生日の日は、私に時間を使ってとお願いした。
人間の時間って、全人類が与えられた一番価値の高い資産なんだよ。
あなたの生きる時間を私にくださいってなかなか言えないし、言われても受け入れるのも難しい。
だからお金で買えるものより、私は「時間」という通貨を使った「行為」に何よりの価値を感じる。

でも、もらったプレゼントは本当にうれしかったんだけどね。
これは私の人生の宝物かもしれないと思った。
石油王が「それを500億で譲ってくれ」っていってきたって石を投げて追い払ってやるね。

ちなみにこれだけ幸せな話を書いたあとになんだが、人生でトップクラスに入るいらないものも一つもらった。
そもそもくれた相手が好きではない前提から始まっている。
巨大な花をもらったのだが迷惑以外の何でもない。
邪魔だしいらないし、花に罪はないのでいきなり捨てるわけにもいかないし、粗大ごみレベルのでかさだし、嫌がらせなのではないかと感じる。
経験上2万円近くするものだと思う。
もうその分現金でくれよ。
好きではない相手からもらって嬉しい物と言ったら現金しかない。
逆に好きではない相手からもらって最悪なアイテムは花である。
いらなさすぎて気絶しそうだ。

こうしてもらった相手の気持ちを想像することもせず、自分の価値観だけで高価なものを押し付ける行為はゴミに値する。
何も嬉しくないし、早く私という存在をお前の記憶から抹消してくれ。

大切な人からもらう誕生日カードは宝物で、好きではない人からもらう高価な品はゴミになるのだから、物の価値というのは結局気持ちでしか計れない。
こうして一部不要な品を押し付けられる悲しい出来事もあったが、そんなことはどうでもよくて、とにかく一番言いたいのは今年の誕生日が最高だったってこと。
私のことめちゃくちゃ考えてくれたのだと心に突き刺さるほどに感じて、まだこんな気持ちになれるのだと嬉しくなった。

私のことを愛してくれて、ありがとう。

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