Dancemania SPEEDの歴史7~SPEED BEST 2001~
SPEED BEST 2001
初めて聴くならこの1枚
2000年11月29日発売
SPEED 1~5の収録楽曲からリスナーリクエスト投票を行い、上位30曲を収録したものが今作になります。以前までの記事でも度々紹介してきましたが、要するに「ベスト盤」です。ここに更に新規リミックスが3曲入り、ベスト盤らしい33曲の大ボリュームアルバムに。
初期の人気曲が勢揃いとあって、SPEEDのみならず全Dancemaniaシリーズの中でも今作を1番の名盤に挙げる人も少なくありません。
そんなBEST 2001ですが、曲順に関してはDiscogsで確認してもらうとして、今回はリスナーリクエスト順に全30曲を紹介していきましょう。
1位:Rhythm And Police(K.O.G G3 Mix)(SPEED 5)
2位:DYNAMITE RAVE(B4 ZA BEAT Mix)(SPEED 4)
3位:CAPTAIN JACK(Grandale Mix)(SPEED 2)
4位:Eyes On Me(Super Planet Mix)(4)
5位:Boom Boom Dollar(K.O.G G3 Mix)(SPEED 3)
6位:Butterfly(Upswing Mix)(2)
7位:Shooting Star(SPEED 1)
8位:DO IT ALL NIGHT(Grandale Mix)(5)
9位:SAMBA DE JANEIRO(KCP Remix)(1)
10位:DAM DARIRAM(KCP Mix)(4)
1位から10位まではこのような結果に。
元々Dancemaniaシリーズということもあってか、メインシリーズ他Dancemania関連曲が上位を独占しており、中でもGrandaleと合わせK.O.G森田氏のリミックスが(原曲人気もあるでしょうが)特に支持を得ています。
そしてそんな中、純正ハッピーハードコアでランクインしたのが7位のShooting Star。DDR 4thに収録された影響を加味しても、完全オリジナル曲でこれだけの高順位は偉業と呼ぶに相応しい成績。今作での快挙も相まってか、この数カ月後に発売されるハピコアオンリーコンピ「HAPPY RAVERS」でもオープニングトラックを担当することになります。
11位:BRILLIANT 2U(K.O.G G3 Mix)(4)
12位:Doo-Be-Di-Boy(KCP Mix)(5)
13位:I Want To Miss A Thing(Planet Lution Mix)(3)
14位:Livin' La Vida Loca(4)
15位:MY HEART WILL GO ON(KCP Remix)(2)
16位:Twilight Zone(B4 ZA BEAT Mix)(5)
17位:IF YOU WERE HERE(B4 ZA BEAT Mix)(4)
18位:HERO(Happy Grandale Mix)(4)
19位:Fly Away(3)
20位:Let It Be(5)
11位から20位まで。
リスナーリクエストになる以上、やはりDDR等に収録された知名度の高い曲や、元から有名な曲のリミックスにリスナー人気が集まることが伺えます。
そういう意味で言うと、DDRに収録されていないDancemania曲Doo-Be-Di-Boyは、SMILE.dkそのものの人気とリミックスの満足度とで「純Dancemaniaファン」から支持を集めた珍しいタイプの曲ではないでしょうか。
Doo-Be-Di-Boy(原曲)
15位のMY HEART WILL GO ONは、今作ブックレットに載っているC-Jah中村氏のエピソードのお陰か、まあまあ多くの人に「目覚まし時計の曲」というイメージが植え付けられています。
MY HEART WILL GO ON(Deja Vu版原曲)
21位:FURUHATA'S THEME(5)
22位:www.Blonde Girl(Momo Mix)(5)
23位:HIHO(Red Monster Hyper Mix)(5)
24位:Jump(Fast Mix)(2)
25位:Turn Me On(Heavenly Mix)(2)
26位:FLASHDANCE(What A Feeling)(3)
27位:Techno Wonderland(2)
28位:DUB-I-DUB(KCP Remix)(1)
29位:99 Red Balloons(3)
30位:Follow The Sun(2)
21位から30位まで。
収録曲の中では下位でありつつも、間違いなくファンの多いであろう確かな人気を持った曲たちが並びます。
30位のFollow The Sunは前述のShooting Starとともに、完全オリジナルハピコア曲として名誉のランクイン。
また22位のBlonde Girlも原曲がDancemania未収録にも関わらずのランクインで、Jenny Romの今後の大躍進を早くも予感させます。
あと言及すべきは24位ランクインのJumpについて……この曲の次にBoom Boom Dollarが流れるのですが、その際のいわゆる繋ぎがかなりの注目ポイントです。
「このCDで印象的なノンストップの繋ぎはどこですか」と聴いたら、恐らくほとんどの人がJump→Boom Boom Dollarの部分だと答えるのではないでしょうか。未聴の方は是非とも繋ぎにも注目して聴いてみてください。
Jump(BUS STOP版原曲)
以上がリスナーリクエストで選ばれた上位30曲です。
内訳は
SPEED 1:3曲
SPEED 2:7曲
SPEED 3:5曲
SPEED 4:7曲
SPEED 5:8曲
特に2、4、5の曲が多いですが、各アルバムから満遍なく選出されています。
また種別で分けると、
Dancemaniaリミックス:17曲(DDR、SAIFAM、Runaway曲除く)
DDRリミックス:2曲
SAIFAM:1曲
Runaway:3曲
ハピコア:7曲
Dancemania曲が圧倒的で、参加歴が短いとはいえSAIFAMはBlonde Girlの1曲しかランクインしていませんでした。
筆者が当時通っていたDancemaniaの大手ファンサイトでは、上記30曲以外にも
VOL.4
Now Is The Time
Pain In My Heart
Have You Never Been Mellow
Love,Life & Happiness
Can't Take My Eyes Off You
Classic Cutz
辺りは「SPEED BEST 2001に新たに入れるなら」という話題でよく挙がっていた記憶があります。(ちなみに上記の中から、とある1曲が後に……)
最後になってしまいましたが、今作の新規リミックス曲についてもご紹介いたしましょう。
01.Synchronized Love(Millennium Ventura Mix) / Joe Rinoie
04.WONDA(Speed K Mix) / MM
32.Kick The Can(Hyper KCP Mix) / BUS STOP
Synchronized Loveは当時話題を集めていた「武富士」のCM曲。女性ダンサーが一斉に踊るあのCMは、30代以上なら間違いなく覚えていることでしょう。そんな(当時基準で)タイムリーな曲を、今作にて初参加のクリエイター集団Venturaがリミックス。
既にユーロビート界で名を馳せていたチームで、SPEEDシリーズではこの曲やSPEED 6のルパン三世のような、オケヒを使ったRAVEサウンドを使用しているのが特徴的です。
記念すべき初ベストのオープニングトラックに恥じない激クールなリミックスで、リスナーを最初からフルスロットルで盛り上げてくれます。
Synchronized Love(DDRerに馴染み深いであろうEURO Mix)
WONDAも当時話題となっていた、タイガー・ウッズ主演の缶コーヒーのCM曲で、そして同様にVenturaのリミックス。
若い世代だとCMそのものを知らない人もいるかもしれませんが、当時ヘビロテされ誰もが聴いたことのあったCM曲という話題性と、そのSPEEDアレンジの自然さとで、ベスト盤に特大の華を添えました。
Kick The Canはサンプリング元のクラシック「天国と地獄」に対して多くの日本人が持つ「運動会」のイメージが最大限まで膨らまされた、お祭り感に溢れるKCP会心のリミックスに。アンセムTechno WonderlandとBPM200のラストナンバーLivin' La Vida Locaに挟まれながらも、その個性が強く輝く1曲です。
DDR 4thにBUS STOPの原曲が、そしてこのリミックスがDanceManiaX 2ndアペンドに収録されているのですが、多くのDDRerから「DMXに入ってるリミックスの方をくれ!!!」と熱愛された罪な曲でもあります。
というわけで、人気の30曲とそれに聴き劣りしない新規アレンジ3曲で構成されたSPEEDシリーズ初のベスト盤は、当時国内に決してファンが多いとは言えなかったハッピーハードコアのアルバムとしては、異例の売り上げを記録しました。
筆者もそうでしたが
DDRで初めてハピコアに触れ
バタフライ等のSPEEDアレンジから高BPM帯の曲に興味を持ち
そしてSPEEDシリーズで初めて手にしたCDがこのBEST 2001であった
というリスナーは大勢いることでしょう。
「知っている曲が多い」という極大のアドバンテージを武器に、このベスト盤は数多のDancemaniaリスナーやDDRerをハピコアの沼へと叩き落としてきました。そしてひょっとすれば今尚、その間口の広さで新たなハピコア星人を生み出すきっかけとなっているのかもしれません。
「初めて聴くならこの1枚」
冒頭に書いた一文は誇張でも何でもなく、恐らくは全SPEEDリスナーが肯定するであろう純然たる事実です。
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