Dancemania SPEED外伝~Speed Records完全攻略~ その1
Dancemania SPEED
というコンピレーションアルバムが昔ありました。そのシリーズの中では、主にハッピーハードコアや高速ユーロビート等を……
……という回りくどいのは全部すっ飛ばして、本題に入りたいと思います。(今更居ないと思いますが)SPEEDシリーズについて詳しく知りたい方はこちらの記事を参照してください。
SPEEDシリーズ中~後期の長い期間、ほぼ全面的にエースとして活躍していたSAIFAMという音楽レーベル。SAIFAMはBoom Boom Dollarのボーカルを務めたマウロファリーナが創始者とあって、数ある音楽ジャンルの中でもユーロビートやダンスポップにおいて、絶対的なクオリティを持つレコード会社でした。
他にハードスタイル、トランス、もちろんポップスやEDM方面にも強く、様々なジャンルの曲を発信するイタリアの大手レコード会社として、現在でも数多くのオリジナル楽曲・カバー楽曲を輩出しています。
そんなSAIFAMがSPEEDシリーズへの楽曲提供で使用していた「Speed Records(SPE)」という独自レーベルには、ユーロビート調・トランス調の上質なスピードアレンジが多数収録されています。SPEEDシリーズ終了までの間だけでも100を超えるアレンジが作られ、しかも2020年現在まで楽曲制作は続けられています。
SAIFAMの卓越したスピードカバーがいくつも楽しめるSpeed Records楽曲は、SPEEDシリーズ後期に至っては多くのリスナーにとっての「SPEEDシリーズを聴く動機」ですらあった程。SPEED GやHAPPY SPEEDでのSAIFAM無双っぷりがそれを証明していますし、実際に筆者も当時、SPEEDシリーズにおいてSAIFAM楽曲を何よりも楽しみにしていた一人でした。
というわけで今回のnoteでは、SPEEDシリーズのエースであったSAIFAM、Speed Records(以下SPE)の楽曲について書いていこうと思います。
実はSPEにはSPEEDシリーズに収録されなかった曲もいくつかあり、それらも含め(おそらく制作順に)楽曲に通しナンバーが付いています。
参考までに、SPEEDシリーズ最後の新規収録曲You Raise Me Upは「SPE:123」で、2020年4月の最新曲は「SPE:501」のLegendaryです。
とりあえずはSPEEDシリーズ収録曲を、20曲ずつブロックに分けてざっと紹介していきましょう。noteが無駄に長くなると読みにくくなるので、今回はSPE:60までご紹介いたします。
あとリストアップ時の表記等について先にご説明しておきます。
例としてSEPTEMBERを表記してみると
051:SEPTEMBER / DJ SPEEDO(10★※)
・「051」はSPEの通しナンバリング
・カッコ内の数字はSPEEDシリーズでの初収録作(未収録の場合は「未」)
・★マークは20曲ごとのブロックにおける筆者のお気に入り3曲
また記事内で言及された曲には「※」を付けます
2020年現在AmazonやJuno等、音楽配信サイトにフル音源が確認出来ないものには「×」を付けます。逆に言うと「×」付き曲以外は全部フル音源が買えるので、上記サイトやiTunes等で確認してみてください。
SEPTEMBERであれば実際は「SEPTEMBER (Speedo Mix)」が正式名称ですが、特別な事情が無い限りリミックス名等は省略して表記します。
前置きが長くなってしまって申し訳ありませんでした。早速SPE:001から紹介していきましょう。
SPE 001~020
001:Jump and Run / MAZERATI(未※)
002:I Wanna See The Sun / DJ Yahoo feat.WILDSIDE(4★)
003:Maria / MC F 40 feat.DB(未)
004:Paradise Medley With Da Di Da / KOKO(未)
005:Dododo Dadada / Doohdaah(未)
006:Go West / Kama-Sutra's Gang(4)
007:Boom Boom Dollar(Daytona Mix) / King Kong2000(未※)
008:Forever Again / Orlando(未※)
009:I Won't Let you Down / KOKO(未×)
010:SPEEDY LOVE / SPEEDOGANG(5★)
011:Can't Take My Eyes Off You / BEAT BOX feat.DJ SPEEDO(5★)
012:The Final Countdown / TOMMY B.(5)
013:Remember Me / KOKO(未×)
014:Magic Carillon / Lyna(未)
015:Ichi Ni San San / Urban Tokyo(未※×)
016:HYMN / DJ Jaxx(6)
017:Sweet Love / Spooky(未×)
018:HIGHWAY STAR / SPEEDMASTER(6)
019:Magic Me / Dr.Love(未×)
020:Computer Liebe / D.A.M(未)
SPE初参加のSPEED 4から、大体SPEED 6時期までの曲が並びます。
それにしても記念すべき001がまさかの未収録曲、しかもDJ SPEEDO・SPEEDMASTER・SPEEDOGANGの「SPEED三兄弟」でもないMAZERATI名義というのも中々に意外かもしれません。
そのMAZERATI以外にも、SPEEDシリーズで顔を見せるのはまだ先なMC F 40(シリーズ初出はウィリアムテル)、Orlando(Smile)、KOKO(GETAWAY)等の名義がこの時期から出ている一方で、Kama-Sutra's GangやLyna等、特定の曲でしか使われていない名義もちらほら。
近年のSPEは特にSPEEDMASTER名義とSPEEDOGANG名義の過労死っぷりが凄まじいため、使い分け基準は不明ですが名義がこれだけバラバラなのはバラエティ豊かで悪くないのでは。
(リンク先で試聴が出来ます。アフィ等入れてないので、気になった曲はどんどん購入してください)
001のJump and Run含めSPEEDシリーズ未収録曲が多いブロックですが、大抵の曲は「まあ未収録か……」となんとなく納得してしまう微妙な出来。
015のIchi Ni San San筆頭に、聴いていると段々クセになってくるスルメな曲も多いものの、どれもサウンドの面で大分古臭さく、仮に収録されていてもハピコアアンセムやダンスマニア曲に埋もれていたことでしょう。
ちなみにそのIchi Ni San Sanはアーティスト名のUrban Tokyo含め日本を意識した曲のように思わせておいて、実際はロシア民謡っぽい曲調という謎のフェイントをかましてくる一曲。何を思ってこのようなタイトル(と歌詞)を付けたのか非常に気になりますが、現状確認する術はありません。
また007のBoom Boom Dollar(Deytona Mix)は、SPEED 3収録の「K.O.G G3 Mix」ではないSAIFAM自家製のSPEEDアレンジ。しかしK.O.G森田氏の日本人好みなブチアゲアレンジを聴いてしまうと、こちらは正直パワーダウン感が否めません。
悪くはないのですがあくまで「悪くない」止まりな感じで、K.O.Gミックスとどちらを選ぶかとなれば、残念ながらDaytonaミックスを選ぶ人は少ないでしょう。
初期曲は前述までの曲に加えForever Againなど、全体的にハピコアテイストのものが多く、これは(SPEEDシリーズの雰囲気に合わせに行ったという可能性もありつつも)SAIFAM得意のユーロビートやトランスがBPM170以上で通用するかどうか、この時点で未知数だったからなのかもしれません。
それでも慣れていないであろうハピコアでそれなりのものを出してくる辺りは流石ですが。
そしてこの時点でもI Wanna See The Sun、君の瞳に恋してる、SPEEDY LOVEのような、今聴いても十分通用する曲もいくつか存在し、そういう意味では原石探しのようで、決して侮れないブロックでもあります。
ちょっと古めな未収録曲の中にも、ひょっとすれば皆さんの気に入る曲があるかもしれません。
現時点で手に入らない曲も多いですが、SAIFAMは近年フィットネス用コンピレーションをアホほどリリースしており、そこに収録されればAmazonやiTunes等で手に入れることが出来るようになります。
例としてCARNIVALやIF I ONLY KNEWは、SAIFAMホームページ上でのダウンロード販売が出来なくなって以降、長らく手に入れる手段が無かったものの、そういったコンピに収録され最近になって再度入手出来るようになった経緯があります。
コンピのリリース間隔が短すぎるためか、SPE最新曲に混じってMariaやComputer Liebeが収録されるほど各曲の使い回しが激しく、気長に待っていればそのうち収録されたりするかもしれません。定期的にAmazonやiTunesで楽曲名を検索してみてもいいでしょう。
SPE 021~040
021:Cry Boy / Hearts Killer(未×)
022:Techno Wonderland / Happyman(未※)
023:Queen Of Love / WILDSIDE(7)
024:ABCD(High Speed Energy Mix) / Radiorama(HP2※)
025:JADED / TOMMY B.(7)
026:Doesn't Really Matter / DJ SPEEDO feat.ANGELICA(HP2※)
027:You Will Be Mine / DJ Jaxx(未×)
028:Over The Blue / Urban Tokyo(未×)
029:Magic Fly / MC F 40 feat.DB(未×)
030:Doesn't Really Matter / DJ SPEEDO feat.ANGELICA(7★)
031:Once Upon A Time / Spooky(未)
032:Boom Boom Love / BEAT BOX feat.DJ SPEEDO(未※)
033:SPEED JAPAN / WILDSIDE(8)
034:There You'll Be / DJ SPEEDO feat.ANGELICA(8)
035:You Rock My World / TOMMY B.(未★※)
036:Never Ending Story / SPEEDMASTER(未※)
037:Only Time / DJ SPEEDO feat.ANGELICA(未)
038:Love Shine A "Speedy" Light / SPEEDMASTER(9)
039:IRRESISTIBILMENT / WILDSIDE(9※)
040:CARTOON HEROES / Barbie Young(9★)
SPEED 7~9時期の曲が集まったブロック。
この時期になると完全に「SPEEDシリーズで受けるメソッド」を見つけたようで、マウロファリーナのユーロビート・トランス・ポップスの溢れんばかりの才能がSPEでも見事に開花しています。SPEEDシリーズ収録曲はほぼ全部が人気曲と呼べるレベルの出来で、このブロックからSAIFAMの快進撃が始まったと言っても過言ではありません。
「SPEEDシリーズで受けるメソッド」の一つに、032のBoom Boom Loveと039のあなたのとりこには、後々お馴染みになる「SAIFAM刻み」が使われています。011君の瞳に恋してる時点でSAIFAM刻みは既に出ていますが、あちらはトランス調のアレンジ元をそのまま速くしたタイプのカバーなので、明確にSPEEDアレンジとしての「SAIFAM刻み」が使われだしたのはこの辺りからになるでしょうか。
まだ未収録曲も多いですが全体的なクオリティはかなり底上げされており、特にマイケル・ジャクソンのカバーYou Rock My WorldはSPEED 8、9辺りに収録されていれば、SPEED G収録もあり得たであろう程の高品質なアレンジに。個人的にもSPEEDシリーズ未収録曲の中で一番好きです。
ちなみにDoesn't Really Matterが2曲あり、026はDancemaniaのユーロビートコンピレーション「HAPPY PARADISE 2」に024のABCDとともに収録されたバージョンです。原曲より速いことは速いものの、ABCD含めどちらもBPM160付近のため、SPEEDシリーズにはちょっと速さが足りません。
ピッチを変えずに速さだけ変えるDJアプリ等を使えば自前でBPM170以上にも出来ますが、後々の記事でコレ(自前でBPM170以上にする作業)についてはより詳しく記述する予定です。とりあえず言えることはやり出すとキリがないので、ほどほどにしておきましょう。
あと022のTechno Wonderlandという、失礼な話ですが「存在意義が見えない一曲」も存在します。原曲がそもそもハピコア(高BPM)なのでSpeed Records曲としてアレンジする意味が見出だせず、しかもアレンジ内容は原曲のシンセリフが無くなる有様。リフがそもそも「SAIFAM刻み」と同じパターンのシンセ刻みなので、再現するわけにも行かずこうなってしまったのでしょうか。
036のNever Ending StoryもSFX収録のDJ SPEEDOバージョンが後に出るのであまり聴く意義は見つけられませんが、それでもシンセリフの違い等でBoom Boom Dollarのように差別化はある程度出来ています。
そのシンセリフがカットされ、それ以外の部分も原曲とほぼ同じなTechno Wonderlandは「原曲聴くわ」としか言い様が無い状態。
体制が整っていない初期だからこその失敗……と言い切れないのは104のMickey Mouse Marchのせいでしょうか。こうやって改めてレーベル単位で楽曲を見て「なんで作った?」と言いたくなる曲があったりするのも、それはそれで醍醐味だったりするかもしれません。
SPE 041~060
041:Smile / Orlando(9※)
042:Guillaume Tell / MC F 40(classical)
043:Radetzy March / SPEEDORCHESTRA(classical)
044:SYMPHONY No.9 / MAZERATI(classical)
045:Serenade for Spring / KK feat.MANU(classical)
046:Sabre Dance / Blue Venice(classical)
047:Private Eyes / TOMMY B.(10)
048:Relax / SPEEDMASTER(10)
049:Joy To The World / Orlando(10)
050:Heaven Is A Place On Earth / WILDSIDE(10★※)
051:SEPTEMBER / DJ SPEEDO(10★※)
052:Asereje / DJ SPEEDO feat.WILDSIDE(G)
053:HAPPY TOYBOYS / SPEEDMASTER feat.Jenny Rom(G※)
054:Theme from Mission Impossible / DJ SPEEDO(SFX)
055:Raiders March / SPEEDMASTER(SFX)
056:Jaws - Main Theme / MAZERATI(SFX)
057:Star Wars(Rebel Blockade Runner) / MC F 40(SFX)
058:Love Theme from Godfather / DJ Jaxx(G2)
059:Never Ending Story / DJ SPEEDO feat.DJ AC-DC(SFX★※)
060:The Terminator / DJ Terminator(SFX)
SPEED 9収録のSmile以降はclassical SPEED、SPEED 10、SPEED G、SPEED SFX収録の曲がラインナップ。
SPEEDリスナーからしたら宝の山のような珠玉のアレンジが勢揃い。筆者としても★が3つじゃ足りないのであと10個は追加したいくらいです。SPEEDシリーズ未収録曲も無くなり、ここからしばらくは「作ったアレンジ全部収録」の上「提供曲全部人気」の一騎当千状態に。
SPEED G収録の053:HAPPY TOYBOYSはSPEで見かけるのは稀なJenny Rom曲。本来ジェニロム曲はSPEEDアレンジ含め、ほぼ全ての曲がInterdanceから出されています。
当曲はSPEEDMASTER名義でのアレンジのため、SPE管理下に入ったのでしょう。Jenny Rom曲は個別に記事を作って紹介していますので、気になる方はそちらも御覧ください。
059:Never Ending Storyは前ブロックのものと違い、実際にSFXに収録されたバージョンです。DDR 5thにも収録されたDJ AC-DCのアレンジを基とし、そちらのシンセリフ等も見事に再現されています。幻想感で言えばSPEEDMASTERバージョンが勝りますが、ノリの良さやサウンド面での完成度はやはりこちら、DJ SPEEDOバージョンに軍配が上がるでしょうか。
SmileはSPEED Gにも収録された人気アレンジですが、現在Juno Download以外では手に入れることが出来ません。そのJuno Downloadでも復活したり削除されたりを繰り返している模様で、タイミングによっては全く手に入れられない場合もあります。
とりあえずは2020年4月現在、このブロックはSmile含めて全ての曲のフル音源入手が可能です。SEPTEMBERやHeaven Is A Place On Earth等の人気アレンジを時間たっぷり楽しめることでしょう。ただし、フィットネス用コンピ収録のバージョンは、ノンストップ仕様でセパレート音源でない可能性があるので要注意。
Juno DownloadのSpeed Italyレーベルのもの、iTunesストアの曲ごと個別ジャケットのものはそれぞれセパレート音源で、逆にコンピ情報に「Non-Stop Mixed Compilation」と書いてあるものはノンストップミックスになっているため、こうした表記等に注意して曲を購入いたしましょう。
SPE 60までの紹介が終わったので今回はここまでにします。
Amazon、iTunes、Juno Download等を駆使して、皆さんもSpeed Recordsフル音源を存分に楽しみましょう。