Dancemania SPEEDの歴史6~SPEED 5~
Dancemania SPEED 5
ベスト盤前の総決算
2000年9月20日発売
SPEEDシリーズも5作目に到達いたしました。
このSPEED 5の後に、リスナーの人気投票によって曲目が決定する「SPEED BEST 2001」が発売されることになり、今作はそんなBEST盤リクエスト前の総決算な内容のアルバムになっています。
前作SPEED 4も現在でもかなりの人気を誇る作品ではありますが、個人的には今作こそが、初期SPEEDの中で最高傑作ではないかと思っていますし、実際割と本気で「聴きどころしかない」ラインナップです。
そんなSPEED 5の新規リミックス枠はこちらの8曲。
01.Rhythm And Police(K.O.G G3 Mix) / CJ CREW feat.Christian D
04.HIHO(Red Monster Hyper Mix) / CAPTAIN JACK
06.www.Blonde Girl(Momo Mix) / Jenny Rom
07.DO IT ALL NIGHT(Grandale Mix) / E-ROTIC
10.More Than I Needed To Know(Super Planet Mix) / SCOOCH
12.My Favorite Game(Super Planet Mix) / Natalie Browne
15.Twilight Zone(B4 ZA BEAT Mix) / 2 Unlimited
19.Doo-Be-Di-Boy(KCP Mix) / SMILE.dk
ここからBEST 2001には6曲が選出されました。
まずはオープニングトラック、「踊る大捜査線」のテーマをリミックスしたRhythm And Policeに触れないわけには行かないでしょう。
いくら当時大人気ドラマだったとは言え「この曲をリミックスするのか」という驚きのもと、最高にハイテンションなSPEEDトラックに生まれ変わった興奮も相まって、この曲はリスナーから絶大な支持を得ました。DDRや後のサブシリーズにも度々収録され、BEST 2001では圧巻のリクエスト1位を獲得することになる、まさしくDancemania SPEEDを代表する一曲です。
ラップパートを挿入するクレバーなアレンジを成功させたCJ CREWと、ノリの良さを追求したK.O.G森田氏とのリミックスの相性も抜群で
「みんなが知っているあの曲を大胆に高速アレンジ」
というSPEEDシリーズならではの醍醐味を存分に味わうことが出来ます。
森田氏は更にGrandale表記でDO IT ALL NIGHTを攻撃的なユーロビートリミックスに仕立て上げ、こちらもBEST 2001でリクエスト8位と上位にランクインさせています。
最初に個人制作したと思われるCAPTAIN JACKから人気ではあったのですが、その後の様々なリミックス曲人気もあり、完全に一つ抜きん出た人気を獲得するリミキサーになりました。
そしてKCPメンバーで
(前回記述の通りSPEED 4以前で単独制作していた可能性もありつつ)
唯一個人リミックスが判明していなかったMOMO金沢氏が、今作Blonde Girlで正式に単独名義デビューを果たしました。
リミックス元のブロンドガールは、SPEEDシリーズのアイドルJenny Romの記念すべきDancemaniaデビュー曲。SAIFAMチーム特有のキャッチーで売れ線なメロディーラインと、AQUAのような甘い女性ボーカル・ダミ声男性ボーカルの掛け合いが楽しい一曲です。
実はジェニーロムではこの曲だけが「新規リミックス」扱いとなっており、以降は全てSAIFAMチームのセルフリミックスをそのまま収録しています。SAIFAMのセルフリミックスはユーロビート調が全面に出るタイプが多いため、そういう意味でもMOMO氏によるハピコア調の柔らかいアレンジは必聴です。
KCP以外のリミキサーは前回から引き続きのB4 ZA BEATに加え、Synchronized LoveやBoom Boom Dollarのユーロアレンジで注目を浴びた、ユーロビート制作チームRed Monsterが新たに参加。
B4 ZA BEATのTwilight Zoneはボーカルを全排除というかなり思い切ったアレンジですが、その分原曲のテクノ感が極限まで引き上げられたクールなリミックスに。
Red Monsterの担当したHIHOも、かの有名なメロディーをより引き立たせる明るいリミックスになっており、上記2曲ともBEST 2001に収録される成果を出しています。
Twilight Zone(原曲)
続いては前作で初参加となったSAIFAM、Runawayの2レーベル。
SAIFAMはBlonde Girl含め、今作では4曲を提供。
03.The Final Countdown / TOMMY B.
06.www.Blonde Girl(Momo Mix) / Jenny Rom
17.Can't Take My Eyes Off You / BEAT BOX feat.DJ SPEEDO
22.SPEEDY LOVE / SPEEDOGANG
SPEED 4ではそこまで目立っていませんでしたが、今作はDancemaniaリミックスやハピコアアンセムにも見劣りしない、ハイクオリティな楽曲が取り揃えられています。
特に「君の瞳に恋してる」は原曲の爽やかさとユーロトランス調のクールなサウンドが噛み合い、令和の新曲として出しても違和感を抱かせないくらい普遍的なアレンジになっています。
オリジナル曲SPEEDY LOVEも、ハイテンポながらどこか懐かしさと物悲しさを感じさせる、センチメンタルで「聴ける」一曲です。
SPEEDY LOVE
RunawayはRhythm And Policeを含め、以下の3曲を提供。
01.Rhythm And Police(K.O.G G3 Mix) / CJ CREW feat.Christian D
02.NINZABURO(FURUHATA'S THEME) / CJ CREW feat.SEDGE
08.Pure Shores / Nancy and the Boys
SPEEDシリーズではRhythm And Policeの影に隠れがちですが、先にDDRに収録されたNINZABURO(古畑任三郎のテーマ)も、踊る大捜査線同様に「まさかこの曲を」という驚きやラップパートのカッコよさ、そして徹頭徹尾クールなアレンジでやはり高い人気を誇ります。
Pure Shoresは「低速曲を違和感なくSPEEDアレンジ」という、後の神がかり的SPEEDアレンジSurvivorやComplicatedを思い起こさせる高速ダンスポップに仕上がっています。
NINZABURO(FURUHATA'S THEME)
続いてはハピコア。
今作もSPEED 4同様に非常に幅の広い選曲が楽しめます。
05.Let It Be / Sound Assassins(※My Guardian Angelとも表記)
18.Love,Life & Happiness / Stealth
20.Checkin' Da Cutz / Brisk & Vinylgroover
23.Hands of Destiny / CRU-L-T & DJ EVIL
27.Make 'Em Bounce / Double Dutch
代表的なハピコアを挙げるならばこの5曲でしょうか。
Make 'Em Bounce以外はBEST OF HARDCOREにも収録されました。
音楽史に残る名曲を上質なハピコアアレンジに落とし込んだLet It Be
泣けるボーカルとオーソドックスなハピコアトラックの相性が抜群な永遠のアンセムLove,Life & Happiness
シャープなシンセが後のTRANCECOREの発展を予感させるCheckin' Da Cutz
リミックスですが初めて収録される日本人DJ(EVIL)のハピコアとなるHands of Destiny
より攻撃的なサウンドが展開されるBriskの別名義デビュー曲Make 'Em Bounce
他にも
09.MARIA(Japanese Mix) / DJ KAWASAKI
13.Wake Up! / Mr.Dynamite
14.Take Me Up(DJ Vibes & Wishdokta Remix) / Sub-State
21.Feel Your Love / DJ Stompy & D'Skys
26.SMD5 / SMD
ここら辺も抑えておきたい名曲たちですし、
面白い系統、有名曲アレンジ系統のハピコアもLet It Be等に加え
11.Total Eclypse / Sound Assassins(原曲はボニー・タイラー)
16.You Know It / THE BANDITS(原曲は幸せなら手をたたこう)
24.Sesame's Treet / Smart'Es 2000(原曲はセサミストリートのテーマ)
25.The New Odyssey(from Obsession) / Vinylgroover(原曲はツァラトゥストラはかく語りき)
28.Kiss It(Remix) / Ballistic(原曲はラモーンズ)
29.Classic Cutz / DJ Kambel(原曲はトルコ行進曲)
30.Chariots of Hardcore / DJ Kambel(原曲は炎のランナー)
これだけ揃っており、かなりバラエティ豊かな曲目に。
ちなみにDJ Kambelはこの後SPEED G2まで毎作提供する常連DJとして、ラストやラスト付近の高BPMハピコアでお馴染みの存在になっていきます。
Take Me Up(DJ Vibes & Wishdokta Remix)
Kiss It(Remix)
Chariots of Hardcore
また個人的に特に注目したいのが、セサミストリートのテーマをアレンジしたSesame's Treet。この曲、前半は原曲の牧歌的な雰囲気をなぞったコミカルなアレンジなのですが、後半で急にでらアンセムばりに綺麗なシンセが入ってめちゃくちゃ幻想的なサウンドへと様変わりするのです。この急変ぶりも含め、バラエティに富む今作を象徴する一曲だと思います。
Smart'Esの92年の同楽曲を基に、今作で新しくリミックスされた当曲。Discog等で調べてもSPEED 5以外でこのリミックスの情報が出てこないので、詳しく知っている方がいれば是非情報提供お願いいたします。
こちらはSesame's Treetの92年版(アレンジ元)
以上のように、今作は30曲全てを書き出させていただきました。
もちろん1~4もまたそれぞれ個性のある25~30曲が揃ってはいますが、最初に言ったような「聴きどころしかない」全体的な完成度の高さや楽しさは、初期作品の中では特に本作が図抜けているように感じます。
そして実際に聴いていただければ、恐らくはそれも納得の完成度を感じることが出来るのではないでしょうか。
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