Speed Records完全攻略 その3(Jenny Romとその仲間たち)
イタリアの音楽レーベルSAIFAMがDancemania SPEEDに提供した曲を紹介しているこのnote。今回はSpeed Recordsがメインではなく、SAIFAMが誇るSPEEDシリーズのアイドルJenny Romについて書きたいと思います。
この記事まで辿り着いた人に今更説明も不要でしょうが、Jenny RomはSAIFAMがプロデュースするダンスポップ・バブルガムダンスを主としたユニットで、SPEEDシリーズにおいてオリジナルのスピードダンス曲で絶大な人気を獲得していました。
曲の特徴はとにかくキャッチー。AQUAに代表される「可愛い女性ボーカル」と「ダミ声の男性ボーカル」という組み合わせの妙を活かしつつ、普遍的でとにかく売れ線なメロディーの曲を次々と発表。SPEED 5で初登場して以降、本編シリーズだけでなくベスト盤にも必ず曲が収録されていました。
その人気ぶりから当時のDancemaniaファンサイトでも個別の話題が出ることが多く、挙句Jenny Romファンサイトが生み出されるまでに至ります。流石に現在はファンサイトも消滅していますが、それだけの人気があったことは揺るぎない事実。まさしくDancemania SPEEDのアイドルでした。
早速、そんなジェニーロムの曲をズラッと書き出してみましょう。
曲の後ろには
(初出作/インスト、Radio Edit以外に何バージョンあるか)
を記載しています。あと記事内で言及する曲には※を付けておきます。
ほぼ全曲にバブルガムダンスの「遅い原曲」が存在しますが、SPEEDシリーズに関する記事ということで、基本的にはSPEEDアレンジの方を中心に書いていきます。それでは以下のリストをどうぞ。
Jenny Rom
01:www. Blonde Girl(SPEED 5 / 4種 / ※)
02:Do You Want A Flirt?(未収録 / 2種 / ※)
03:Hanky Panky(SPEED 6 / 2種)
04:Robin Robin Hood(SPEED 7 / 2種)
05:The Game Of Love(SPEED 8 / 2種)
06:Waka Laka (vs Zippers)(SPEED 8 / 3種 / ※)
07:Senorita(SPEED 9 / 2種)
08:IKA UKA(SPEED 10 / 2種)
09:HAPPY TOYBOYS(SPEED G / 4種 / ※)
10:Joe Joe(SPEED G2 / 2種)
11:Pippi Girl(SPEED G3 / 2種)
12:Wuki Wuki(SPEED G4 / 2種)
13:BE MY COWBOY(SPEED G5 / 2種 / ※)
14:COCO ROCK(HAPPY SPEED / 1種 / ※)
15:The Magnificent Seven(HAPPY SPEED / 2種)
16:Popeye(1種 / ※)
17:The Boom Boom Hyper Megamix(1種 / メドレー曲)
18:Supervideo(2種 / ※)
19:I Only Want To Be With You(1種 / ※)
20:This Is How We Do It (vs Zippers)(1種 / ※)
21:Sexy Eyes(1種 / ※)
デビュー曲www. Blonde Girlは大人の事情もあって4種類と最多のバージョン数。この大人の事情というのが、要するにSPEED 5収録のMomo Mixのことで……外部のリミキサーによるSPEEDアレンジのため、Momo MixをそのままSAIFAMからは販売が出来ないようなのです。
そのため最初はバブルガムダンスバージョンのみ販売されていましたが、2009年に自前のSPEEDアレンジUnited Forces Speedy Mixが発表され、改めて「速いブロンドガール」が手に入れられるようになりました。
Momo MixはYouTubeにフルバージョンが出回っていますが、原盤が存在しないようなので、恐らくファンメイド製でしょうか。ただこれはこれで結構クオリティ高い編集なので、非公式ではありますが中々楽しめる出来になっています。
ちなみに原曲のバブルガムダンスバージョンも後にDancemania TREASUREに収録されました。Jenny Romの遅い原曲がDancemaniaシリーズに収録されたのは、この曲とBE MY COWBOYの2曲だけです。
そのBlonde GirlのB面として発表されていたのが、SPEEDシリーズ未収録のDo You Want A Flirt?。SPEEDアレンジが無いので未収録なのは当然ですが、フル音源入手は容易です。隠れた名曲を今からでも楽しみましょう。
DDRMAX 2にも収録された人気曲Waka Lakaは、後年になって新規SPEEDアレンジが作られました。United Forcesの名の通り、E=MC2 Mixよりも激しさの増したアレンジに仕上がりました。可愛らしさを取るならE=MC2、ノリの良さを取るならUnited Forces、といった所でしょうか。
そして同じくSPEEDアレンジが2バージョン存在するのがHAPPY TOYBOYS。SPEEDシリーズに収録されたのは後から作られたSPEEDMASTER名義の方ですが、2015年にCartoon名義で発表されたユーロビートバージョン含め、基本的にHAPPY TOYBOYS=ベートーベンの第9モチーフの曲で一貫しています。
現在Juno Downloadで第9バージョン、ウィリアムテルバージョンどちらも購入が可能です。ユーロビートバージョンはAmazonやiTunesで購入出来ます。原曲含め4種類を聴き比べてみるのも面白いでしょう。
HAPPY SPEEDに収録されたCOCO ROCKは、バブルガムダンスバージョンが無くSPEEDバージョンのみ存在するというかなり珍しい一曲。(SPEEDリスナー的には何も問題ありませんが)出回っているCOCO ROCKは確実に速いバージョンになるので、バブルガムダンスを聴きたいと思って購入すると期待外れになるかもしれません。
Popeye以降はSPEEDシリーズ終了後に作られた曲たち。その内SPEEDアレンジが作られているのはSupervideoのみです。SupervideoはSPEEDシリーズが続いていたら確実に収録され、恐らくはそのままベスト盤にも入っていたんじゃないでしょうか。キャッチーさで言えば全盛期の曲たちにも全く引けを取りません。
その後はオールディーズの名曲I Only Want To Be With Youのユーロビートカバーを発表して以降、長らく新曲がありませんでした。しかし最近になってまたJenny Rom名義で曲が発表されるようになり、2021年現在までにThis Is How We Do ItとSexy Eyesの2曲が新たに加わっています。
ただ上記リンクのSexy Eyesを聴いてもらえばわかるように、ボーカルに可愛らしさが皆無で、当時のリスナーからしたら「お前誰やねん」状態。当時のボーカルがそのまま歳を重ねたのか、それとも新規ボーカルでJenny Rom名義を再始動させたのか、どちらの可能性も有り得ますがはっきりとはわかっていません。
Jenny Rom名義では以上ですが、SAIFAMは名義を変えて同じような女性ボーカル曲を他にも多数制作していました。SPEEDシリーズにも収録されたZippersが特に有名ですが、他にもBPM170前後の女性ボーカル曲がいくつかあるので、以下でまとめてご紹介しておきます。
ただSAIFAMは非常に多岐に渡るレーベル活動、膨大な曲提供を行っているため、「BPM170前後のスピードダンス」をSpeed RecordsやJenny Rom名義以外で見つけ出すのはかなり面倒を極めます。
一応は以下の10曲がそれに当てはまるかと思われますが、後から「これもそうだった」となる曲が見つかるかもしれないので、もし他にも似たような曲があるのをご存知の方は、筆者までご一報よろしくお願いいたします。
同系統アーティスト(高BPM帯楽曲のみ)
01:Hidi Hidi Oh / Zippers(HAPPY PARADISE 2 / ※)
02:All Around The World / Zippers(SPEED 7)
03:Happiness / Zippers(SPEED 8)
04:Go Speed Racer Go / Zippers(※)
05:Hello / Zippers (※)
06:Stand Up For The Champions / Zippers(※)
07:CARTOON HEROES / Barbie Young(SPEED 9)
08:Billy Crocodile / Barbie Young(※)
09:Cranky Girl / Dr.Calcutta(※)
10:Paper Planes / Snappers(※)
SPEEDシリーズ収録曲は置いておいて、Hidi Hidi Ho、Hello、Stand Up For The Championsの3曲は特に速くはありません。ただそれぞれ「高速曲コンピレーションに収録された」「リミックス名に"Speed"と入っている」というSPEED的要素が入っていたため、リストの中に入れておきました。
3曲ともDJアプリ等で自前でBPM170以上にすれば結構普通にSPEEDシリーズっぽい曲にはなるので、違和感はあまり無いはずです。
逆にSPEEDシリーズ未収録ながらもGo Speed Racer Go、Billy Crocodile、Cranky Girl、Paper Planesの4曲は、Speed Recordsにそのまま紛れ込ませても自然に溶け込めるハイクオリティスピードダンスな仕上がりに。
特にBilly CrocodileとCranky Girlの2曲は、もしSPEEDシリーズに収録されていたら、Jenny Rom名義曲を喰ってSAIFAMでも一、二を争う人気曲になっていたかもしれない程の完成度の高さを誇ります。
それぞれ2008年、2009年の曲のため叶わぬ願いではありましたが、往年のSPEEDリスナーでこの2曲を知らない方は、今からでも是非とも聴いてみてください。
ちなみにPaper Planesは女性ボーカルでこそありますが、可愛らしくはなく、あくまで原曲を歌っているM.I.A.に寄せた歌い方になっています。Speed Records外に存在するBPM170のアレンジ曲だったため、女性ボーカル繋がりでこちらのリストに入れさせてもらいました。結構ノリの良い高水準なアレンジなので、この機会に是非聞いてみてください。
筆者が調べられる範囲で見つけられたJenny Rom曲、同系統女性ボーカルのスピードダンス曲の紹介は以上で終了となります。
SPEEDシリーズのアイドルであったJenny Romの曲は、SAIFAM(というかマウロファリーナ)が持つダンスポップの才能の粋を結集した、今初めて聴いてもそのまま好きになれるような普遍性の塊が如き完成度を持つものばかりでした。
Billy Crocodileのみ現在フル音源が手に入れられないようですが、それ以外はバブルガムダンスバージョンも含め、全て購入することが出来ます。SPEEDリスナーだけでなくダンスポップ好きの方も、どっぷりとジェニロムワールドに浸かってみてはいかがでしょうか。
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