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シルク糸と染色の話 (前編)
シルク糸と聞いてどんなものを真っ先に思い浮かべるだろうか。
最小単位の繊維は、髪の毛よりももっともっと細く、ほんの微風でもふわっと舞い上がるほど軽い。その糸をたくさん束ねて加工されている。
言うまでもなく天然素材で、加工品も縫い糸以外は工業的規格はないし、シルク糸と一言で言っても様々な用途に合わせて作られているために種類は星の数。その上、各工場や加工の数や具合で随分と様子が異なる。同じ規格とされる糸でも、ロットで実は結構違う。
初めはレース糸や穴糸などのメーカー規格品や編み物の糸で編んでみた時期もあった。太さや耐久性などの点、編み目にシルク特有の艶やかな風合いが表現できないという理由で選定は難航していた。
そうしてこの素材に出会うまで数年を要した。そもそもシルク糸とは何なのかという調査を改めて行った。実際に工場にも行った。
いろんな糸を取り寄せては、編んだり、結んだり、ほどいたり、撚ったり、引っ張ったり、切ったり、染めたり、水に浸したり、洗ったり。思いつく色々なテストを行った。そのうちダンボールがサンプルで集めた糸で一杯になった頃、マクラメ編みに現時点では納得いく素材を選び出した。(現時点でという点はまた次の機会に。)
そういう苦労ののちにやっと手に入れた糸。まさに満を持した昨年、アトリエで大事に育てた藍の生の葉を使って染めた。