ウインターリーグ2021-2022 ラウンド2レビュー|静かな想定外が動かしたゲームバランス
タッチフットの「うまくいった」「うまくいかなかった」の分岐はどこにあるのだろう。
モメンタム(勢い)を決めるのはビッグプレーとミス。そして準備。それは一般論として分かっているけれど、このゲームに関しては、そうではなかった。
それは「想定外がどう転ぶか」である。
オレンジのセカンドジャージで臨んだ「Glee」は、「タッチフットらしい」実力のある選手を揃えていたが、この日は偶然ヒロカ、マナミといった「想定外」をもちこむ選手が多く欠場していた。
一方の「FXav」は、アスレティックな能力をキーにするが、チームいちのクラッキ(得点源)を欠きながら、その代役のプレイメーカー(中心)が「想定外」を強力に運んできた。
この日のキーマンはFXavのミユ。朝練2回でボール勘がついていた部分が大きく、攻撃はショートパスから落ち着いてゲインを重ねつつ、守っても密集の中インターセプトを2本あげた。
選手の成長は「階段状に」上昇するのだが、この日が偶然ミユのレベルアップの日だったことで、チームに勢いがついた。Gleeのディフェンスも相当に粘ったが、状況を見ながら確実にプレーしてくるミユが「静かな想定外の脅威」となった。
点差も明らかに想定外。何もできなかったというよりは、想定外の事態に翻弄されてしまった。
POMは、FXavから攻守で32点をあげたミユ。あえてスピードを落としつつ、両足にバランスを置くステップを身につけたことで、ゲイン力が向上した。下のビデオではブロックの使い方も巧みなところを見せた。
Gleeからは、質の高い守備で奮闘したマナカ。下のビデオでは相手に合わせた詰めから仕留めるまでの流れが卓越している。
MIPは、イリポンとした。
ああ判断がいい、うまい、と思った。
この日のプレー判断はベストで、ロングの精度、ショートへの切り替え、スクランブルまで一貫して安定した。元気者イリポンのこの「想定外の安定性」に、Gleeディフェンスはキツかったと思う。
QBもランナーも、育てるのではなく、育つのだということを感じた。
2年生のリーグは「想定外」に幕を閉じた。
しかし、この24分は、次の何かにつながっている。
そして、次の何かはもう始まっているのだ。■イッシー
POM
ミユ マナカ
MIP
イリポン
結果
FXav(白)70点
Glee(橙)19点
得点経過
GLee(橙)0 0 5 2 | 0 0 0 1 | 0 4 0 0 | 0 0 1 0 | 0 1 0 1 | 0 0 4 0 = 19
FXav(紺)3 0 1 1 | 6 6 6 4 | 6 1 0 0 | 0 6 3 0 | 4 5 0 5 | 0 6 1 6 = 70