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ゴッホ展、行ってきました

ゴッホ展、2回目行ってきました。

やはりもう一度見ておきたいと思い、初日に引き続きの二度目です。

上野での会期終了間際ということで、入るのに平日午前11時の時点で30分待ち、私が帰る12時頃には50分待ちでした。やはりゴッホ人気は高いですね。でも、いつもの展示に比べ、若いかたが多い印象だったのは嬉しいことでした。若い人たちには、どの分野のものであれ、ぜひ生で本物に触れて欲しいなといつも思います。

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今回の展示は、あまり知名度としては高くない、けれどもゴッホに大きな影響を与えてきた画家たちの展示も多くありました。ゴッホがいかにしてゴッホになったのかを、周辺の画家たちと一緒に紹介しながら進む、という構成です。


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こちらはフィンセント・ファン・ゴッホ『雨』。1882年頃かなり初期の作品です。まだ皆さんになじみのある画風とは全く違います。まだまだ絵を本格的にはじめたばかりの頃だとは思いますが、雨に煙る空気感、人々の配置や色など、やっぱり才能ってあるんだなあと感じます。ソール・ライターの写真の空気にとても似てるなと思いました。


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こちらはハーグ派のアントン・マウフェ『雪の中の羊飼いと羊の群れ』です。ゴッホの縁戚でもあり、「ゴッホの唯一の師」とも言われる人です。この絵はとても大きな作品で、近くで見るとなにがなんだか分からないところもあるくらいですが、少し離れてみると、この雪の質感や羊たちのモコモコ感、白く吐く息の音まで聞こえてくるような迫力です。動物がかなり好きで、よく観察しているのではないでしょうか。肩をすくめている羊飼い、遠くを飛び交う鳥たち、とても好きな作品です。ぜひ1メートルは後ろに下がって見てみてください。


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これは、フィンセント・ファン・ゴッホ『秋の夕暮れ』です。なかなか画面では分からないと思うので、ぜひ実物をみていただきたいです。全体に黒光するような画面のなかで、この夕焼けの空がオレンジ色の光を放っていて、少しひんやりとしたでも澄んでいる空気が、肺の中に入ってくるようです。


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こちらは、アドルフ・モンティセリ『陶器壺の花』です。モンティセリについては、ほとんど知識もなく、多分、観るのも初めてだと思います。ゴッホの晩年の筆使いを思い起こさせるような、自由で激しい筆使い、厚塗り、コントラストの強い色彩。ゴッホもかなり大きく影響を受けたのでしょう。弟テオへの手紙にも

”モンティセリは、ひとつの画面上で広範囲にわたる色階が完璧に調和をとれるように、時々花束を描いた。そのような色彩のオーケストラを他に探すなら、ドラクロワまで遡らなけれならない。”  1888年3月25日頃 弟テオへの手紙より(アルル)

とあります。特に色彩については、彼のお見本になったのでしょう。


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私がもう一度観たいと思って、二度目に足を運んだのは、この絵のためでした。フィンセント・ファン・ゴッホ『曇り空の下の積み藁』。私はどうしてもこの絵の前では涙せずにはいられないのです。もう反射のように涙が出ます。こんな混雑した中でなければ、号泣してしまいそうです。人混みの中でずっと眺めていると、だんだん積み藁がゴッホの墓標に見えてきます。飛び回る黒い鳥たちは、祖母が死んだ翌日に遺体を安置していた我が家の上を、カラスが何羽もくるくるとずっと輪を描いて飛んでいた不気味な様子を思い出させます。重たい雲の空、不吉な鳥、積み重ねられた藁。いったい何を思って描いていたのでしょう。私にとってこんなに死をイメージさせる悲しい絵はありません。でも、もう一度この目でみておきたかったのです。


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そして、もう一つもう一度観ておきたかったのは、こちら。フィンセント・ファン・ゴッホ『糸杉』。こちらは、先ほどの絵と違って、とても生命力に満ちあふれています。そして、その天にまっすぐ突き上げるような生命力を憧れるような目でみつめるゴッホの姿が見えてくるのです。まさに生きる希望のようです。この糸杉をちゃんと描かないと、という強い意思と執念が感じられます。ぜひこの生命力を直に感じてください。


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この展示の一番おすすめな点は、弟テオへの手紙を壁に書いてあるという展示の仕方です。特に、一緒に音声ガイドも聞いていただくと、もうテオの声もよくて、泣けてきます。

何しろゴッホは人気がありますし、混雑している会場ではありますが、上野はもうあと少しで終わってしまいます。上野の森美術館は2020年1月13日まで、兵庫県立美術館は1月25日から3月29日です。ぜひご自身の目で、体で感じとってください。

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