拝啓、父上様
今朝、母からラインが来ました。
今日は亡き父の誕生日です。そして、天国にお祝いを届けてくださいという大喜利めいた無理難題を頂戴してしまいました。
やれる事は何かないかなと思い、今日は父に手紙でも書こうと思います。
拝啓、父上様
お父様お久しぶりです。お元気でしょうか。そちらに元気という概念があるかは知りませんが、あなたらしく元気に飲んだくれていると嬉しいです。
僕はあなたによく似ているようです。親戚やあなたの大学時代の友人に会うたび「若い時のお父さんにそっくりだよ」と言われます。昔のあなたを知る人から、そう言ってもらえるのがとても嬉しく思います。僕自身があなたの面影になれているようなそんな感覚になれるからです。大好きで尊敬している父の面影になれるのは誇らしいものです。
あとは酒癖の悪さをよく似ているようです。あなたが取引先の社長の頭を引っ叩き
「おいこのハゲ!」
と言ったり、大雪の日に酔って路上で寝ていたことがあったりといろんな話を母から聞きました。本当に今の僕にそっくりです。
変な遺伝子残さないでください。今めちゃくちゃ困ってます。
僕が10歳の時にあなたはこの世を旅立ち、一緒に過ごした年月よりあなたといない年月の方が長くなりました。
これだけあなたのいない生活が続いていますが、あなたと話をしてみたいという気持ちはずっと心に残っています。
あなたのユーモアに触れてみたい、進路を相談してみたい、手品を見せてみたい、仕事の愚痴を言ってみたい。あなたを思うといろんな感情が湧き出てきます。
そっちの焼酎は美味しいですか?まだ会えるの先だと思いますが、会える日があったら乾杯させてください。
親子仲良く路上で寝れる日を楽しみにしてます。
お誕生日おめでとうございます。
最愛の息子より