テキストカバレージ「やわたCS2ブロック決勝戦」2024/11/9 〜環境の 合間を縫って 辿り着く つわものどもが 夢の跡♪〜
全国各地で熾烈な争いが巻き起こる全国大会予選もおわり、いよいよ次なるステージであるエリア予選が始まる。日程は下記の通り。
事前の環境像としては、水自然ジャイアントと火水マジックの2大巨頭に対して、他のデッキが追随していくメタゲームが展開されている。王道編第3弾が発売されてからも新たなデッキが登場したというよりは、既存のデッキがそれぞれ新しい強化を得た、という見方が大半だ。
それ故に現在の2ブロック構築は練度が出る実力ゲームになりつつあり、12月の王道編第4弾が発売されるまではカードプールの追加もないため、プレイヤーには環境に対する理解とプレイ能力が求められる。
北海道大会は別としても、他の地域のプレイヤーにはまだ時間の猶予が残されている。今回お送りする試合のカバレージが、エリア予選に挑戦するみなさんの一助になれば幸いだ。
環境の 合間を縫って 辿り着く つわものどもが 夢の跡♪
ぽちぽち 「前回のリベンジができそうです。」
こう語るのは栃木県のぽちぽち。ちょうど10月に開催された前回のやわたCSでも決勝戦まで漕ぎ着けていた。
だが、本人が「リベンジ」と語るところから察せられる通り、結果は準優勝だった。ジャイアントの同型戦であと1歩が足りなかったのだ。
あれから1ヶ月、彼は再びこの場にたどり着いた。今回こそは、とでも言うかのように。デッキも答えてくれている。
一方で対戦相手の放浪皇はCSの決勝戦が久しぶりなのもあってか緊張気味の様子。
放浪皇 「(やわたCS独自の)カバレージは読んだことがありますが、まさか自分が決勝戦まで来るとは思ってなかったです。」
普段はアドバンスのフィクサーと呼ばれるみかづき(敬称略)と調整してアドバンスのCSに出ることが多いと語る、アドバンス村の住人(※主にPleiadesCSなどでアドバンスフォーマットを研究している人の総称)である放浪皇。ありがたいことにやわたCSで独自のカバレージがあることは知っていたようだが、まさか自分が書かれる側になるとは、といったリアクション。
本日はやわたCSの予選形式の助けもあり、やわたCSドリームである予選3-2上がりからターボマジックを駆使して決勝戦までやってきた。
そういった事情もあり、今回は2人に配慮してフォトカバレージ形式ではなく、文章のみでお送りする。
GAME1
放浪皇の先攻でゲームは始まり、2ターン目に<戦攻のシダン アカダシ / 「いいダシがとれそうだ」>で手札を入れ替えつつ水晶マナを1枚生成、3ターン目に<氷柱と炎弧の決断>で手札を入れ替えるスタート。
対するぽちぽちは2ターン目に自力で獲得したであろう、プロモ版の<同期の妖精 / ド浮きの動悸>、3ターン目に<ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり>を召喚して放浪皇のシールドを刻む。
放浪皇は4ターン目に<der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>をマナチャージして、<救済のカルマ ミルク / リリーフ・水晶チャージャー>の呪文面で<同期の妖精 / ド浮きの動悸>をバウンスしながら水晶マナを作っていく。ジャイアントは小型のクリーチャーを展開していくデッキであるため、バウンスしながらゲームを後ろに伸ばすことは非常に有効な手だ。
なかなかシールドを削れないぽちぽちは4ターン目に戦力増強として<アシステスト・シネラリア>と軽減込みで<同期の妖精 / ド浮きの動悸>を召喚。そして<ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり>でシールドをブレイク。
しかし放浪皇のシールドから公開されたのは、Sトリガーとなっているパーフェクト呪文。手札の質が大幅に強化されてしまう。
そしてこの4ドローで放浪皇は必要なカードを引き込んでいた。
5ターン目のアクションは<シャングリラ・クリスタル>を2連続使用!!一気に水晶マナを4枚追加し、次のターンの攻撃体制を築き上げる。
5ターン目がまわってきたぽちぽちだが、実は苦しい状況だ。ここまで手札を消費してきたため、有効牌はない。
できる最低限のこととして<竹刀の超人 / サイバー免許皆伝>に望みを託して1ドローするが、手札にやってきたのは<ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり>。状況を打開できるカードではないため、これ以上手札を与えるのは危険と判断してターン終了。
マナを増やし、手札を整えながら試合を後ろにずらしてきた放浪皇は攻勢に転じる。
<der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>をマナチャージして、11マナある状態からまずは<救済のカルマ ミルク / リリーフ・水晶チャージャー>で<同期の妖精 / ド浮きの動悸>をバウンスしつつ水晶マナを作り、<der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>のクリーチャー面で残ったクリーチャーも除去。
そしてこのデッキのメインエンジンである、満を持しての<グレート・流星弾>。
手札から<芸魔隠狐カラクリバーシ>を捨てながら2ドローし、水晶武装の効果で墓地からこれを場に。
そして<芸魔隠狐カラクリバーシ>の効果で1ドローしたのちに<氷柱と炎弧の決断>。ドロー効果を2回使用し、あとの<グレート・流星弾>で蘇生したいクリーチャーを捨てる。
そして<芸魔隠狐カラクリバーシ>が攻撃し、マジックの十八番たる革命チェンジ。ゲームを畳むべく<芸魔王将カクメイジン>が発射!!
ブレイク前の効果で再び呪文がチェインする!
1枚目として唱えられるのは<氷柱と炎弧の決断>。ドロー効果でクリーチャーを捨て、エレメントを場に出すモードで<救済のカルマ ミルク / リリーフ・水晶チャージャー>を場に。
そして2枚目はもちろん<グレート・流星弾>!!
水晶武装の効果で墓地から<芸魔王将カクメイジン>、<芸魔龍王アメイジン>、<「使命」の頂天 グレイテスト・グレート>が場に現れる!!そしてW・ブレイク。
しかし窮地に陥ったぽちぽちのシールドからは2枚の使用宣言。<チアスペース アカネ>のGSと<ナイター・ファイアフライ>!!このターンの攻撃を封殺することに成功する!!
何もできなくなった放浪皇はターンを終了するしかない。
命からがらのぽちぽちだが、ここまでやっても手札の内容が心許ない。<チアスペース アカネ>を召喚し、山札の上から2枚チェック。<銀河竜ゴルファンタジスタ>を手札に加え、そして残りの2マナで<ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり>で7を宣言する。
そして<チアスペース アカネ>のマッハファイターで<救済のカルマ ミルク / リリーフ・水晶チャージャー>へ攻撃する時に革命チェンジしてターン終了。相手のスピードアタッカーを咎める形で番を終わる。
盤面が圧倒的に負けているが、ぽちぽちの狙いはビートダウンによるダイレクトアタックではない。彼の狙いは放浪皇の山札切れだった。
一方の放浪皇の7ターン目。彼は焦っていた。
手札にないのだ。自分の山札を回復する<♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今>も、<der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>すら。
ここまで手札をやりくりする中で、多色をマナに逃すタイミングがなく、4投されている<der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>はマナと場に置いてしまっているし、デッキを1周する過程で1枚しか投入されていない<♪なぜ離れ どこへ行くのか 君は今>は盾にあることが判明している。
クリーチャーとして場に出した<der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>を革命チェンジを経由して手札に戻そうとしても、そこから呪文として唱えるには<芸魔王将カクメイジン>が必要であり、盤面の<芸魔王将カクメイジン>は前のターンに行動不能にされ、手札から出しても<銀河竜 ゴルファンタジスタ>が睨みを利かせているせいで攻撃することができない。
この状況が意味することとはつまり、デュエルマスターズを突き詰めた先。
あぁ、このゲームはどうしてこんなにも最高なカードゲームなのだろう。
この試合の行方は、ぽちぽちの3枚のシールドにSTがあるか、ないかに委ねられた。
放浪皇の盤面にはTブレイカー1体と<der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>。STでも、GSでもダメだ。
覚悟を決めた放浪皇は<「使命」の頂天グレイテスト・グレート>を横向きにする。
そしてぽちぽちは3枚のシールドを確認する。
その中にSトリガーは、なかった。
<der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡>が今日この会場に集まった兵たるプレイヤーが最後まで戦って討たれたであろうこの場、この夢の跡地で、勝者として試合を締め括った。
こうして本日の優勝者はターボマジックを使った放浪皇となった。おめでとう!
WINNER 放浪皇
大会結果
本大会ベスト3カード
第3位 同期の妖精 / ド浮きの動悸
現在の2ブロックフォーマットで高い勝率を誇るのは水自然ジャイアントと火水マジックであり、このカードはどちらのデッキでも採用されている。
1ヶ月前までは火水マジックから採用が減りつつあったが、<深淵の逆転撃>やGSを防ぎながら攻撃する、<ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり>を除去から守り、盤面に維持し続けることができることから採用枚数が戻りつつある。ジャイアントでの活躍は言わずもがな。
今後も間違いなく活躍していくであろうこのカードを3位に選出。
第2位 ボン・キゴマイム / ♪やせ蛙 ラッキーナンバー ここにあり
水文明が入るデッキであればほとんど採用されているこのカードだが、環境が地上戦になってきた影響で存在感が増している。
光水闇DARK MATERIAL COMPLEX、火水マジックだけでなく、最近では水自然ジャイアントがミラーやマジック相手に対して3枚ほどメタカードとして搭載するケースが増えてきた。もちろん呪文面が強いのは語るまでもない。
あと半年間2ブロック環境を定義するカードとして採用され続けるであるこのカードを2位として選出。
第1位 der'Zen Mondo / ♪必殺で つわものどもが 夢の跡
今年度の2ブロック環境を最も面白く、奥深い物にしているのはこのカードであると筆者は考えている。
ターボマジックであればこのカードによる追加ターン獲得で擬似的に連続攻撃を可能にしているし、水自然ジャイアントでは雑にドローソースとして運用したり、山札切れが速いデッキにLOケアとして採用することもできる。
デュエプレ初期の<無双龍騎ボルバルザーク>のような、どんなデッキにでも搭載できるフィニッシュカードとしても運用可能であり、マジックであれば革命チェンジ元やD2フィールドを除去するためのエレメント除去まで可能。
今後のエリア予選でも多く見かけることになるだろう。第1位に選出。
あとがき
初めましての方ははじめまして。Feiです。DMGP開催直後ではありますが、2ブロック的にはここからギアを上げていくシーズンですね。
全く実感が湧きませんが、エリア予選もう始まるんだなって。日程としては北海道エリアの方は最終調整段階ですもんね。時の流れははやいもんだ。
王道編3弾が発売されても革新的な新たなデッキは登場しなかったので、秘匿デッキとかは登場する可能性が低いと思っていますが、今回紹介したターボマジックなんかは東北方面で誕生したと記憶していて、GPで優勝したドロマーマーシャルのような華々しいデビューを飾る場になると、東北エリアや東海エリア、北陸エリアの予選に影響が出そうです。現代最高のデッキビルダーは関東より北に多い。まぁむったさんが最強だけどな?
果たして勝つのはジャイアントか、マジックか、それともDARK MATERIAL COMPLEXか、ゼニスか。楽しみです。自分は王道編4弾が解き放たれてからのカードプールなので、発売が待ちきれません!!モモキングの書、バロムの章は..…うん。マークないんだよな。
それでは今後どんどん盛り上がっていく2ブロックフォーマット、楽しんでいきましょう。
おわり
ゲームの裏ルートに気づく系の方に対する独り言です。
・ターボマジックについて
今週ターボマジックを使った方はジャイアントとドロマーデッキに勝つことを意識していると思われる。不利対面である黒緑ゼニスが環境から減っていたことも大きい。
ジャイアントを攻略するには、序中盤は場にクリーチャーを出さずに盤面0から突然勝利するデッキまたはハンデス、高速でワンショットするのどれかが必要。
高速でワンショットは赤青マジックが該当するが、超天編のカリヤドネのようにSトリガーが多いので、基本通らないと考えた方がいい。
そのため、<「呪怨」の頂天 サスペンス>が使える黒緑ゼニスやターボマジックなどがいい。
だがターボマジックからすると、赤青マジックや黒緑ゼニス、<聖霊超王H・アルカディアスを上手く使えるデッキなどの天敵が増えると勝率が落ちてくるので、環境読みデッキであるともいえる。
なのでエリア予選で求められるのは以下の条件。
・まず最大母数かつガン不利対面が少ない水自然ジャイアントに勝てるデッキ
・マジックとも戦えるデッキ
・事故率が低い
・ブン回ったら強いデッキパワーが高い山
皮肉にもこれらを条件を満たしているデッキとして水自然ジャイアントと赤青マジック、ターボマジック、なくはないのが黒緑ゼニス、アルカディアスが使えるドロマーデッキとなる。1周回って8月環境に戻ってますね。おもろ。
赤緑ゼニスはねぇ..…めっちゃ好きなんだけど、優勝は出来ないって思っちゃいますね〜マジックもジャイアントもキツいし。
ここまで読んだ方にちょっといいことがあるように願ってます。出場される方、頑張ってください。
今年のエリア予選って、カバレージあるのかな。5年前までは読者だったけど、エリア予選で書く側もやってみたいな。
これ、めちゃくちゃいいのでよかったら読んでみてください。文筆のプロはすごいんだ。
ほんとにおわり