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デュエマ20年の歴史を携えて -滅びゆくフォーマット 2021年度2ブロックメタゲーム史-
20年。
20年という時間の長さは我々人間にとってどれほどの長さなのだろうか。
日本では、これまで20歳になった場合に成人式を行うのが通例であったので、(今後は法律改正によって満18歳で成人)赤ちゃんとして生まれてから大人になるまでの間がおおよそ20年ということになる。
これほどの長い期間存続し、ファンやユーザーを惹きつけてきたコンテンツは果たしてどれほどあるだろう。世界的に有名なディズニーやポケモン、任天堂のマリオやサンリオ。ジャニーズ事務所の嵐。カードゲームに限っていえば、MTGや遊戯王くらいしかない。デュエル・マスターズはもう長寿コンテンツの仲間入りを果たしたのだ。
そして20年も続いたコンテンツであれば当然、戦いの歴史も長いものとなる。
始まりの記録は2003年の全国大会、日本一決定戦インビンシブル・リーグ。青い大渦が大会を席巻した。
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最後の戦いの記録は2020年のリモートデュエマスペシャルトーナメント。テクノロジーの進歩によって実現した、リモート上の盤面を新主人公が駆け抜けた。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71989511/picture_pc_31d278406c19a5729abf4c040304e6b4.jpeg?width=1200)
歴史に名を残したクリーチャー、デッキ、プレイヤー。僕達プレイヤーはその勝者全ての名を覚えているわけではない。デュエル・マスターズが祖先のMTGから別れてからの歩み全てを見た人は現実的に考えておそらく30代近くの一握りの人だけだろう。
でも彼らの戦いがあったからこそ、今がある。その時代を生きたプレイヤーが遊び続けたからこそ、今がある。十王篇と王来篇の背景ストーリーでチーム銀河の十・二・神・騎が世代交代を行ったように、現役世代から若い世代へとバトンが渡され続けたから今がある。20周年を迎えたデュエル・マスターズは積み重なった歴史のうえに成り立っているのだ。
そしてなにもその戦いは殿堂構築だけで行われてきたわけではない。本noteで取り扱う2ブロックフォーマットもまた、20年の歴史の一部だ。
デュエルマスターズでは、通常構築だけでなく限定構築戦も古くから行われてきた。簡単な説明は筆者の過去の記事の冒頭に書かれているので、時間のある方は先にこちらの記事に目を通してほしい。
2ブロックフォーマットは、2018年度の双極篇から誕生したフォーマットで、他のTCGでも採用される場合のある、いわゆるスタン落ちの概念を取り込んだフォーマット(ルール)である。
主な特徴としては以下のものがある。
・使えるセットが2ブロックに絞られているので、「手軽で簡単」
・約2年分のカードを使えるので、簡単ではあるけれど、「競技プレイ的な掘り下げにも耐えられる」
・殿堂レギュレーション以外のフォーマットがあることで、「色んなカードが活躍しやすい」
他にもオリジナルやアドバンスでは20年間で収録されたカードに対する知識量を増やしていく必要があり、初心者には大変であることを2ブロック戦の場合は要求されない、なども挙げることができる。
このように直近に発売されたカードしか手元にないプレイヤーでも始めやすく、メタゲームを組み立てる仮想敵が想像しやすいこのゲームはレギュレーションが設定されてから3年以上に渡って遊ばれ続けてきた。
GP7thやGP8th、日本一決定戦では大会フォーマットとして採用され、大いに盛り上がったこともあったが、一番は全国大会のエリア予選という夏と秋に行われる風物詩として。毎年その時期になると、プレイヤーは全国大会への切符を手にするべく、こぞって2ブロック戦で勝てるように調整を始めるのがお馴染みだった。
(2018・2019年度のエリア代表決定戦の様子はカバレージで振り返ることが可能。2015年以降のdig cardsの某放送局のメンバーが俺フィーチャーの使い方を主任Kに怒られた内容などのカバレージは閲覧できなくなっています。今となってはミスター俺フィーチャーを毎日動画で見ることができるけど)
だから2ブロックフォーマットはこれまで殿堂構築と合わせてデュエルマスターズの遊び方のうちの一つとしてその立場を確立していた。
引用したnote記事にもあるように、2020年度からはポケモンカードゲームなどの他のTCGで採用されている「スタン落ち」をデュエルマスターズでも導入するべく、2ブロックを推進しようとした年だったため、コロナ禍がなければデュエルマスターズのメインの遊び方になっていた未来もあったかもしれないほどに。
だが2021年、デュエル・マスターズに大きな影響を及ぼす出来事が起きた。
新フォーマットの新設だ。
それまでの殿堂構築と2ブロック構築に次ぐ新たなレギュレーション、その名もオリジナル。
新型コ◯ナウイルスによってオフラインの大会が開きづらい状況にあったこと、GRやドラグハートなどの外部ゾーンによるゲームの複雑化やインフレの抑制、リモートデュエマを推奨する時期にあったことなどの様々な理由から誕生したこのフォーマットは、デュエルマスターズにおける第3のフォーマットとして誕生した。
実際、オリジナルフォーマットはユーザーからの評判がよかった。新規で新しくデュエマを始めた人にも分かりやすい構築制限であり、超次元やGR、禁断や零龍などの外部リソースが強くなりすぎたおかげで日の目を見なかったデッキタイプが活躍したり、アドバンスフォーマットとは異なるメタゲームが出来上がったりするなど、様々なメリットがあった。
CSで配布されるプロモが追加で配られるなど、デュエルマスターズのメインフォーマットとなるべくして公式からのプッシュも凄かった。オリジナルフォーマットが制定されて困る人など、ほとんどいなかったのである。
プレイヤー人口が減った2ブロックとアドバンス以外は。
新フォーマットの誕生は、よくも悪くもプレイヤー間を断絶してしまった。
超天篇でのGRクリーチャーの登場や、相次ぐ強化の入るドラグハートなどの外部ゾーンの猛烈なインフレに疲れてしまったプレイヤーはオリジナルに、
ドラグハードなどのパワフルな外部ゾーンを好むプレイヤーはアドバンスへと、これまでは殿堂という括りで一つになっていたプレイヤーをそれぞれの好きなデッキが戦いやすい世界へと分断した。2ブロックなんかは語るまでもない。
そして結果的にオリジナルが最も大会で採用されることが多いフォーマットとして残り、(アドバンスはともかく)2ブロックはデュエマのメインの遊び方からは弾かれてしまった。
何故こうなってしまったのか。その答えはすぐに説明することができる。
存在意義がなくなったからだ。遊ぶ人がいなくなったゲーム・ルールなど廃れていく。簡単な話だ。
一度考えてみて欲しい。みなさんは普段ショップや自宅などで友達とデュエマをするときにわざわざ2ブロックや殿堂0などの特殊レギュレーションで遊ぼう!となるだろうか。そういった状況になったことがあるあなたは2019年以前からデュエマを競技としてやっている廃人なのだと思う。
そのため、友人と遊ぶ際は基本的にアドバンスかオリジナルのデッキを使うのが主流だと考えられる。ただ遊ぶだけであるなら構築の制限は基本的にない方が好ましいからだ。実際店舗大会などもほとんどの場合、アドバンスで行われている。余計な構築制限は弊害を生むだけだ。
2ブロックで使えるカードはオリジナルやアドバンスに比べて限りなく少ない。再録されて使えるカードとスタン落ちしたカードの存在についても覚えたり確認したりする必要があり、みんな大好きモルトNEXTのような超次元のカードは基本的に使えない。そんな制約の多いルールがメジャーになるだろうか。そんなはずはない。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73852883/picture_pc_394ff862b88e9849ce9f04ce81fb97ee.jpeg?width=1200)
このように、新型コ◯ナウイルスが流行し、デュエマから競技シーンが失われた2021年度は2ブロックフォーマットにとって、その存在意義が問われた一年だった。
結局、2ブロックなどの限定構築戦は全国大会への通過点として行われていた、競技大会向けのルールでしかなかったことを突きつけられたのだ。
しかしそんな状況にあっても、今年の2ブロックフォーマットは例年よりも誰でも参入しやすく、楽しい競技環境と体験をプレイヤーにもたらしてくれた。
デュエマ20周年をテーマに、他のフォーマットとは別のメタゲームや楽しさを作り上げていた。
そのゲームの中でプレイヤーは自分の力量の研鑽を、デッキリストの研究を、心の底から楽しむことをやめなかった。たとえ人と会う機会が限られようと、大型大会がなくなろうと、それらを継続してきたからこそ今がある。
どこかのYouTuberが「2ブロックは公式に見捨てられた」だなんて言っていたけれど、それでも。
僕達プレイヤーは戦いの場が用意されていれば、全力で楽しむだけなのだ。
これから書かれる内容は、2021年度の2ブロックフォーマットでの戦いの記録である。
デッキリストはデッキメーカーより作成、カード画像はデュエル・マスターズ公式ホームページより引用。
2021年度2ブロックフォーマットのテーマ
メタゲームの変遷について説明する前に、2021年度の2ブロックフォーマットがおおよそどんなものであったのかについて説明したい。(環境変遷についてのみ興味がある人はこの項目は飛ばして頂いても大丈夫です。)
2021年度の2ブロックフォーマットのテーマは(筆者の憶測の域を出ないが)
「十王篇の現役世代VS歴戦のオールスターによるドリームマッチ」
であったように思う。王来篇では、過去のクリーチャーの力を見に纏い戦うレクスターズと、過去のクリーチャーが合体し敵となったディスペクターの戦いが主なものになるが、それに加えて過去の切札級のクリーチャーをジョー篇のクリーチャー達と戦わせることを想定していたかのようなカードプールだったからだ。
通常弾では新規のカードを、EXパックでは普段我々プレイヤーが好きな切札級のクリーチャーや、汎用カードを大量に再録し、2ブロックへの新規参入がしやすいようになっていた。
それによって8月頃にはオリジナルと遜色のないドラサイ型5cが組めるようになってしまったとはいえ、<蒼き団長ドギラゴン剣>や<天災デドダム>、<ヘブンズ・ゲート>、<ドラゴンズ・サイン>、<闘争類喧嘩目ステゴロカイザー/お清めシャラップ>など、普段多くの人が使うようなカードを2ブロックフォーマットでも使えるようにすることで、誰でも始めやすいように商品展開の調整をしていたように見受けられる。
昨年度の超天・十王篇ブロックは2ブロックを推進しようとしていた年であったからか、デッキの基盤となる汎用カードを大量に再録していたという下地があったこともあり、本年度の2ブロックはデッキ作成の際のストレスが少なかった。
普段オリジナルやアドバンスで使っているデッキの数枚を入れ替えると2ブロック対応になるようにして、2ブロックを始めやすくしようとした一年だった。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73892713/picture_pc_8130fb4d229a49b7218bad117f05254e.jpeg?width=1200)
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73892735/picture_pc_3466419bfea20bbc727e07fd0c1bcca0.jpeg?width=1200)
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73892834/picture_pc_fed665239379f6ef3aff33f8e62b2bb2.jpeg?width=1200)
そして今年の2ブロックはとにかくパワフルな印象を受けた。
昨年度の超天・十王ブロックは、十王篇のカードパワーに合わせるためにGRに対するメタカードの大量収録が行われ、全体的なカードパワーを下げようとした環境整備を目指しているように見受けられた。(というかそこまでしないとGRクリーチャーの暴走を止められなかったというほうが正しいのだが。)
しかし王来篇は違う。レクスターズもディスペクターも単体のスペックが高めに設定されていることに加え、スター進化とEXライフによる除去耐性を持つことが標準スペックになっていた。これにより2ブロックとは思えない、パワーカードを叩きつけ合う派手なゲーム展開に繋がった。
また、それとは別に新弾のカードを集めているだけでも十分に強力なデッキ構築を行えるようになることで、(金銭的な話は置いておいて)2ブロック構築への参入障壁を取っ払うことに成功している。今年のインフレはこのような影響をもたらしていたのだ。
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そして今年の2ブロックでは少数ではあるが、昨年度まで使用可能だったGR以外の外部ゾーンも取り扱った。
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伝説の禁断ドキンダムXと、
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熱血星龍ガイギンガの2枚だ。(無敵王剣ギガハートは割愛)
この2枚が使用可能だった裏事情は王来篇の背景ストーリーで重要な役割を担った、超獣王来列伝の中のカードであったからだと思われるが、アドバンスよりはカードパワーを抑えめに、オリジナルで遊んでいる人に外部ゾーンを触る機会として2ブロックフォーマットにこの2枚を参戦させたのだと捉えてることもできる。
![](https://assets.st-note.com/img/1647072925145-39JJ5mpOqh.png)
<伝説の禁断ドキンダムX>ならば零龍ほど複雑で強力ではないし、バイク系のデッキタイプを環境に参戦させる補助になり、シーズン後半からはターボデリートとしてアーキタイプを確立した。
<熱血星龍ガイギンガ>は2ブロックでは<「ひっくり返したれやぁぁぁ!!」>から直接出すか、<龍覇グレンモルト>から龍解させるかしか運用方法がないながらも、そのフィニッシュ力を十分に発揮して存在感を出していた。
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この程度であれば、アドバンスよりある程度パワーを落とした2ブロックフォーマットにおいても役者として十分だと判断されたのだろう。
というか何よりもこれまでの競技環境を代表してきたカードやギミック同士が戦っていることが十分エモーショナルで、おじいちゃんであれば感動して泣いてしまう。
そしてこのカードプールによって、デッキタイプの多様性と他のフォーマットと異なるメタゲームを作り上げることに今年も成功していた。
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ここまでを振り返ると、2021年度の2ブロックフォーマットは、オリジナルとアドバンスの中間のフォーマットとしての立場を担っていた..…ように思えてくる。
デュエマを始めた人にはまずオリジナルで遊んでもらい、その次の段階として2ブロック、そしてアドバンスへとプレイヤーにステップアップの手順を踏めるようにしたのだと推測できる。
ここまで筆者の憶測を並べて無理矢理意図を汲もうと理由を羅列してきたが、もちろん公式はそこまで考えていない可能性も十分考えられるのは悲しい点ではあるが。
とにかく今年度の2ブロックフォーマットは、王来篇の商品展開の恩恵もあり、始めやすさと競技性を両立したゲーム内容となっていた。
来年度からは十王篇ブロックが2ブロック落ちして使用不可になってしまうが、王来篇のカードプールがあれば今後の1年間も面白いメタゲームにしてくれるだろう。
王来篇、始動
2021年3月20日、超獣王来列伝発売。
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これにより王来編が開始。それと同時に2ブロックフォーマットから超天編のカードが2ブロック落ちし、十王編・王来編ブロックへと移行した。
一つ捕捉しておくと、この2ブロックの移行期間の前までのCS環境では、十王編限定構築戦のメタゲーム同様のデッキ分布にGRを利用したデッキ群が混ざって戦いが行われている環境だった。
メタゲームはビッグマナに分類される蒼龍の大地型のコントロール、鉄壁の守りと大量リソースを抱えるギャラクシールド、コントロールを貫通せんと殴りかかる邪王門系をはじめとしたデッキタイプによる三すくみ環境だった。
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そんな環境だったため、はっきり言ってこのタイミングで超獣王来列伝が環境に影響を与えたことはほとんどなかった。
強いて言えば<聖霊王アルファディオスGS>がギャラクシールドのフィニッシュとして採用されたくらいだろうか。実は<雷光の聖騎士>がエンジェル・コマンドであるため、アルファディオスGSに進化できる。
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そしてその後立て続けにキングマスタースタートデッキ2種が発売。
![](https://assets.st-note.com/img/1647600850886-bV0yBEsX9a.png)
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このスタートデッキにより、プレイヤーは今年度のメインギミックである、スター進化やシンカパワー、EXライフやササゲールといった新能力を初めて体感することになる。
初めてスター進化やEXライフを使った時の感想としては、単純に除去耐性が強いといったものだった気がする。それと合わせて、デュエマでは同一ターン中に除去を2回当てることは難しいため、EXライフを持つクリーチャーがインフレしていくとなると、あとあと壊れカードが出てきそうだといったものだ。
だが、本番はここからだった。20周年をテーマにしたレクスターズとディスペクターの戦いは王来編1弾の発売で幕を上げる。
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環境を1色に染めた王、その名はドルファディロム
4月17日、王来編第一弾となる王星伝説超動が発売。
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これにより、レクスターズとディスペクターが2ブロック環境に本格参戦を果たす。
新弾発売前の下馬評では、ディスペクターがそれまでの蒼龍コントロールに何枚か差し込まれるのが強いのではないかといった声が多かったように思える。
理由は簡単。2ブロック環境では最強と謳われる<獅子王の遺跡>基盤のビッグマナの動きにすんなりとフィットするためだ。この呪文1枚から簡単に7〜8マナ帯までジャンプすることは誰にでも考えつくことだった。
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筆者も概ねそのような考えだったため、新弾発売直後のCSではギャラクシールドでこれまで通りに勝てると踏み、様子見も兼ねて十王編ブロックのデッキで出場した。
<龍風混成ザーディクリカ>を加えたビビッドローのデッキも作成したりはしていたが、いまいち出力が出ないと感じていたのもあったし、これまでの環境デッキが粉微塵にされることもないだろうと鷹を括っていたのもあったかもしれない。
しかし十王編のキングマスターはすぐに王来編の洗礼を受けることとなる。
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そう、華々しいデビューを飾ったのは≪「正義星帝」 <鬼羅.Star> ≫だった。
殿堂フォーマットでもラッカキラスターとして環境にすぐさま食い込んだメタビートは、2ブロックでも無双し始めたのだ。
それには理由がある。
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ギャラクシールドと、シールドトリガーによる<蒼龍の大地>を全て否定する<検問の守り 輝羅>や、<「正義星帝」>のシンカパワーによる<獅子王の遺跡>を封じ込めながらのビートダウンは、初見のプレイヤーをことごとくなぎ倒しながら開幕戦を勝利で飾った。
人によってはトリーヴァカラーにして<ツネキン☆ゲームズ>を搭載したり、<魔軸の鎖 カメカメン>と<ファイナル・ストップ>のセットを採用したりと、改造の幅が大きかったこともこのデッキの強みだった。
しかしその結果だけから<「正義星帝」 <鬼羅.Star> が最強という我々の考えは間違いであったことは次の週から判明する。
「正義星帝」 <鬼羅.Star> がどうしても超えられないキングマスターの存在を我々は忘れていたのだ。
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その名も<聖魔連結王ドルファディロム>。
<聖霊王アルファディオス>と<悪魔神ドルバロム>という最強の組み合わせのディスペクターはその名に恥じない影響力を持っていた。
相手のクリーチャーを軒並み吹き飛ばす除去効果を2回使うことができ、呪文に制限をかけることもできる王が弱いわけがなかった。
そしてこのディスペクターと手を組んだフシギバース持ちのカードは高相性であり、盤面は<ダクライ龍樹>と<カンバー・ナイト><Disジルコン>で一生取り続け、受けは<S・S・S>や<襲来!鬼札王国>などの強力なトリガーに任せることで4〜6月までの環境を掌握し続けた。
このデッキはディロムバースという通称で知れ渡り、カードプールの追加までCS会場でミラーマッチを多発させるまでに至った。挙げ句の果てにはLOケアのために<カンバー・ナイト>と<クリック>のセットが採用されるほど。超天・十王ブロックで4cミッツァイルループを作り上げたプレイヤーが作成した新作デッキは今年度も環境を作り上げた。
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また、のちの環境に影響を与えるこちらのデッキの原型も紹介しておこう。
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<龍風混成ザーディクリカ>の登場によって強化されたビビッドローは、5cディロムバース相手に勝つべく中型のクリーチャーを展開しながら<ファイナル・ストップ>などを絡めながら殴り切ることをコンセプトにプレイヤーによって研究が重ねられたデッキである。
4ターン目から<祝え!この物語の終幕を!>で動くことを重視するか、<雷龍ヴァリヴァリウス>からスタートすることに重きを置くかでプレイヤー間の意見が分かれてはいたが、どちらの型も度々CSで上位入賞を果たしていた。
このことから、この時の2ブロック構築戦は受けも堅いディロムバースを使うか、相手の呪文トリガーを封殺しながら殴るデッキが戦う構図であったといえる。
だが、そんな環境もすぐに終わりを迎えることとなる。
デュエマの未来を変えようとする王を打ち倒さんと名を挙げた、過去の英雄達が2ブロック環境に参戦だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1647949620409-pB3i3gx7Qa.png)
蘇りし過去の英雄達
2021年5月22日、20周年超感謝メモリアルパック 魂の章 名場面BESTが発売。
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デュエル・マスターズの名場面をフィーチャーしたこの弾は、過去の強力カードを2ブロック環境に多く呼び込んだ。
2ブロックフォーマットは、その特性からその当時の現役カードのみが使えるルールになることが多く、それ故に再録カードは過去の主力カードでなくその時のメインギミックを補佐する汎用カードのみ再録される傾向がある。あくまで新弾のカードを使うことが推奨され、プレイヤーに新しいカードとの出会いや殿堂構築とは異なるゲーム環境を作ることが2ブロック戦の大前提だった。
しかし今年のテーマはデュエマ20周年。時空を超えて強者が一堂に集う2ブロック環境は今までに例がないだけに、ゲーム性もエキサイティングなものになった。なんとエモーショナルだろうか。
今でも多くのプレイヤーの切札として活躍する、革命F編のLegend達、
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![](https://assets.st-note.com/img/1648014528827-TbYkrxwRmm.jpg?width=1200)
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![](https://assets.st-note.com/img/1648127293298-mPJxt4j16Y.jpg?width=1200)
過去に環境をめちゃくちゃにした殿堂級のドラゴン、
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![](https://assets.st-note.com/img/1648015016873-UoHolygE9g.jpg?width=1200)
超次元からやってくるクリーチャーだって。
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![](https://assets.st-note.com/img/1648015413572-yEFHY1YK4g.jpg?width=1200)
プレイヤーが過去に1度はお世話になった・使ったことがあるカードが多く使えるようになったことで、2ブロックに興味を持つプレイヤーがこの時期に増え、界隈は大盛り上がりだった。CSでも、リモートCSでも2ブロック戦が活発に行われるようになった。
また、この拡張パックに収録されたカードの種類数が多いこともあって、プレイヤーが2ブロックへ新規参入する障壁を取り払うきっかけにもなった。
ガチャデッキの代表格ともいえる<ミステリー・キューブ>や<ホーガン・ブラスター>、<獅子王の紋章>だったり、S・トリガーとして<閃光の守護者ホーリー>や<アルカディア・スパーク>など、デッキ構築の基盤となるカードも多数収録された。
![](https://assets.st-note.com/img/1648206397986-Q22Qv7cJ20.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1648206407868-QdMMAz9Ktp.jpg?width=1200)
そしてカードプールが大量に追加されたということは、どんなデッキでもある程度は2ブロック戦で再現できるということである。
こんなデッキだって、
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こんなデッキだって2ブロック構築で作ることができるようになった。
![](https://assets.st-note.com/img/1648401923444-NKcL7pVW7k.jpg?width=1200)
昨年度の十王編のカードプールでもデッキの多様性は担保されていたが、王来編はもっとすごいのだ。20年間の競技シーンの歴史をベースにしたから実現できたことである。
もちろん名場面ベストの新規カードによって作られ、環境に喰い込んだデッキも多数存在する。
一つ目が赤黒邪王門だ。
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名場面ベストで<バサラ>が再録されたおかげで、邪王門から登場しCIP破壊+盾焼却を行いながら突っ込んでくる暴走族に加えて、<「ひっくり返したれやぁぁぁ!!」>から現れる<熱血星龍ガイギンガ>による押し込みが環境の守りが薄いデッキを軒並み否定した。
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この段階でほぼ完成形に到達した赤黒邪王門は、この1年間最強のビートダウンとして環境に居座り続けることとなる。
まぁあの「見た目だけ8コストで」「並大抵の受け札なら貫通してくる」火文明最強のスター進化が登場してから本格的に手がつけられなくなったのだが..…。
![](https://assets.st-note.com/img/1648516038983-NHtaO7COc3.jpg?width=1200)
二つ目に赤緑モモキングNEXである。
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王来編1弾の段階からポテンシャルの高さは評価されていたものの、2ブロック環境では最適な踏み倒し先がいないと問題になっていた部分も名場面ベストで解決。もちろんボルドギカウンターも搭載可能に。
勝利宣言を行う場合も有れば、盾を焼き尽くす元殿堂カードを引き連れながら突っ込んでくる姿は、「僕たちが夢見た最強の連ドラ」そのものであり、<異端流しオニカマス>を引き連れないデッキをことごとく圧殺していった。オニカマスがいる場合は十王編から<メガ・マグマ・ドラゴン>に助けを求めればよい。
![](https://assets.st-note.com/img/1648515926457-SrGK62myoH.jpg?width=1200)
そして1枚の再録カードによって、ギャラクシールドがまた、環境に帰ってきた。
![](https://assets.st-note.com/img/1650040909292-ddOtnEq1qS.jpg?width=1200)
<Dの機関オール・フォー・ワン>。
一見するとなんのシナジーもないこのD2フィールドは、ギャラクシールドに新たなコンボの可能性を開拓した。
そしてその相方となったディスペクターが
![](https://assets.st-note.com/img/1650041078612-PKlZHHfout.jpg?width=1200)
<偽槍縫合 ヴィルジャベリン>。
4ターン目の<絶対の楯騎士>から5ターン目に<Dの機関オール・フォー・ワン>を設置すると、ターン終了時にコストからコスト10へとアドバンス召喚。そのままDスイッチまで起動すると、相手の場と手札とマナがそれぞれ2枚ずつ消し飛ぶ。相手のリソースをこれほどまでに削ぐこのコンボは初見のプレイヤーを尽く破壊していった。
![](https://assets.st-note.com/img/1650041795663-Q1u6WikkFF.jpg?width=1200)
そして環境に影響を及ぼしたカードとしてこのカードを挙げないわけにはいかないだろう。
![](https://assets.st-note.com/img/1648515587697-h1yNyAJHlP.jpg?width=1200)
王来編でも一二を争うパワーカード、<切札勝太&カツキングー熱血の物語ー>。
もとのカードデザインとしての運用である革命チェンジの補佐だけでなく、シータカラーの受け札としてどんなデッキにも入りうるその性能は、殿堂環境だけでなく、2ブロック戦でも大活躍を果たした。
そしてこのカツキングをデッキの安定剤として取り込んだデッキが百覇チェンジ。
![](https://assets.st-note.com/img/1648516562360-iZz1iYovh6.jpg?width=1200)
シータカラーで構成されたこのデッキの動き方としては、
何かしらのクリーチャーで相手のシールドをブレイク。
キリフダッシュにより<勝熱百覇 モモキングReVo>を着地。必要で有ればマナ回収及びブースト。
再度<勝熱百覇 モモキングReVo>でプレイヤーを攻撃する時に革命チェンジ持ちと革命チェンジ。シールドをブレイクした場合は1に戻る。
この動作を繰り返すことで相手のSトリガーから<終末の時計ザ・クロック>、<ルシファー>、ブロッカー付きのクリーチャーが使われないかぎり無限に攻撃を行うことができる。
この百覇チェンジは十王・王来2ブロック戦で初めて相手のトリガーに左右されずにフィニッシュまで持っていけるデッキとして暫くの間環境で戦った。
![](https://assets.st-note.com/img/1648516891381-t2gyTLUjoO.jpg?width=1200)
環境としては以前トップを張る5cディロムバースに対してラッカカラーのデッキと赤黒邪王門、百覇チェンジが争う形となった環境だった。
そして環境に影響を与えたカードとしてこちらも最後に紹介しておきたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1650040044007-8pXqt8qIVJ.jpg?width=1200)
<無双と竜機の伝説>。
このカードの登場により、これまで不毛なミラーマッチを行うことを強要された5c系統のデッキがEXターンによる詰めを獲得した。<S・S・S>もこれさえあれば意味をなさない。
このように名場面ベストによるカードプール追加は2ブロック戦に大きな盛り上がりをもたらした。
だがここまではまだ昨年度の2ブロック戦とあまりカードパワーに差がない、王来編の序章に過ぎない。
なにせ我々は、まだ名前にあの擬音3文字を冠する、火文明のマスターの名を叫んでいないのだから。
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今年も暴れる、火文明のキングマスター
2021年6月26日、王来篇拡張パック第2弾 禁時王の凶来が発売。
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殿堂環境でも、2ブロック戦でもプレイヤーがまず目につけたのは、キングマスターかの人。
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<我我我ガイアール・ブランド>。バッド、ゴゴゴ、マジゴッド、クライマックスときて、今年はガガガである。
正直言って、我々はもう彼の名前に対して畏敬の念を覚えているだけなのかもしれない。しかしカードテキストに書かれていることは毎度頭がおかしいレベルに強いことは折り紙付きだ。
この<我我我ガイアール・ブランド>の登場によって、オリジナル環境のように<罰怒ブランド>や<BAKUOOON・ミッツァイル>などの<我我我ガイアール・ブランド>の5枚目以降になるカードがないとはいえ、今年度の2ブロック戦にも赤単というデッキが誕生した。
しかし2ブロック戦における<我我我ガイアール・ブランド>の就職先は赤黒邪王門。<赤い稲妻テスタロッサ>や、のちに登場する<カンゴク入道>などの2コストのクリーチャーから計4マナで進化することで盤面の打点を膨大なものにすることが可能になった。
そして注目されたキングマスターがもう一つ。
![](https://assets.st-note.com/img/1648623247778-wdnrOvf1YE.jpg?width=1200)
<アルカディアス・モモキング>。
発売当初の評価こそ割れていたが、モモキングRXから進化できる、強力なロック効果を持つ進化先としてシータカラーのデッキに搭載されるようになる。
そしてこの<アルカディアス・モモキング>と合わせて使われたのが新弾で登場した<アアルカイト <ペガサ.Star>>。
![](https://assets.st-note.com/img/1648647958405-3t07NCl3bN.jpg?width=1200)
シータRXとして本格的に環境で活躍するようになるのはまだ先の話ではあるが、この段階でもアアルカイトから<カダブランブー>のアンタップ効果を使うことによる無限攻撃のギミックは存在しており、カツキング&ドギラゴン剣のパッケージと合わせて2ブロックにおける強力なデッキとして研究が進む。
ちなみに王来編3弾が発売されると、<勝災電融王ギュカウツ・マグル>を取り込み、完成形となる。
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この他にもこちらのディスペクターが登場したことで、ビッグマナが強化されたが、このカードが暴れ始めるのはもう少し先の話。当時は<地封龍ギャイア>とどちらを採用すべきか意見が分かれていたころだった。
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環境の勢力図としては 5cディロムバースと赤黒邪王門、ラッカザーディクリカが争っているところにシータRXや赤単が殴り込みを果たした格好に。
だが、王来編が2弾まで来たところで、新たなEXパックが発売。多くの新規カードと再録カードが2ブロック環境にやってきた。
その中には天災をもたらし、デッキの最強の基盤となる、あのコマンドの姿があった....。
![](https://assets.st-note.com/img/1648977782947-4ZNAfVxarM.png)
2ブロックにやって来た天災、奏でられる大地崩壊の旋律
2021年7月17日、20周年超感謝メモリアルパック 技の章 英雄戦略パーフェクト20が発売。
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パックの内容としては、固定パックで20のテーマにそって多くの汎用カードと新規カードを収録。王来マークの付いているEXパックとしては2つ目となり、2ブロック構築におけるデッキ作成の幅が広がった。
目玉のカードは新規カード、と言いたいところではあるが、こちらのカードが2ブロックに参戦することは大きな話題となった。
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<天災デドダム>。
青緑黒の3色を持つカードの中でも最強のカードとして、登場してから常に最強の初動として君臨するカードがついに2ブロックに参戦。
同じ弾に収録されている、墓地メタ、山回復まで兼ねる<闘争類喧嘩目ステゴロ・カイザー/お清めシャラップ>と共に5cの初動として多色環境にもすんなりと順応し、多くのデッキに採用されることになる。
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そしてこちらのカードの2ブロック参戦も、環境に大きな影響を与えた。
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<残虐覇王デスカール / ロスト・ソウル>。
正直なところ、<ロスト・ソウル>は2度と2ブロックには現れないカードだと勝手に思っていた部分もあり、まさかここに来て再録されるとは夢にも思わなかったのである。
そう思っていた理由は2つある。
1つ目は、2ブロック環境でロスト・ソウルが使える期間があまりなかったことがある。
<ロスト・ソウル>を最後に使うことのできたシーズンは双極・超天編にまで遡る。そしてその後は1度も再録されることがなかった。そして入れ替わるように超天編で<悪魔龍ダークマスターズ>が2ブロック環境に参戦した。
2つ目は2ブロック環境には大量ハンデスを行うカードが少ない傾向があること。長らく2ブロックにおける大量ハンデスは<悪魔龍ダークマスターズ>がいたが、<悪魔龍ダークマスターズ>は、超天編、十王編でそれぞれ再録が行われており、3年以上も使うことができた、2ブロックにおける大量ハンデスができる唯一のカードであった。
この二つの理由から、「2ブロック環境では<ロスト・ソウル>のような手札を大量に破壊するカードは強すぎるため、大量ハンデスはダークマスターズ程度の性能に留める必要がある。」と公式に判断されているものだと思ってしまっていた。
実際に2ブロック環境はアドバンスとは違い、デッキトップ1枚からゲームを捲るカードはほとんど存在しないし、トップデック1枚で試合展開をひっくり返しにくいゲームにおいて<ロスト・ソウル>は2ブロックではゲームを決めかねない性能になっていた。
だから意外だったのだ。ここに来て<残虐覇王デスカール / ロスト・ソウル>が使えるようになることが。
しかも今年の2ブロックには<龍風混成ザーディクリカ>と<ドラゴンズ・サイン>まで解禁されている。勘のいい読者なら、筆者が何を言いたいのか分かるだろう。
これにて2ブロック環境でもドラサイザーディロストという、4ターンフルハンデスコンボが解禁された。
ちなみに2ブロック構築にも関わらず、この段階でオリジナルやアドバンスの5cザーディクリカとほぼ同様のリストを組み上げることができるようになり、年間を通して常に最前線で戦うデッキとなった。はっきり言って今年の2ブロック環境はこれを使っておけば、とりあえずCSで予選を抜けることができるレベルには最強だった。
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そして環境に大きな影響を与え、多くのプレイヤーがこのカードの2ブロックフォーマット参戦に歓喜した。
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<ヘブンズ・ゲート>。
昔から今に至るまで、多くの奇跡を起こしてきた光文明最強のSトリガーも2ブロックで解禁された。
ヘブンズ・ゲートがブロック構築戦で使用可能だった最後の年であったのは、遡ること4年の革命ファイナル期であり、約4年ぶりのブロック構築参戦となった。4年間も危険であると判断されたカードでこそあれ、デュエマ20周年をテーマにした戦いで参戦しないわけにはいけなかったのだろう。
そして狙っているかのように、同じ弾で「ヘブンズ・ゲートと合わせて使ってくれ」とでも言わんばかりの強力なディスペクターがいるではないか。
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そして3色のカードに強力なドローソースまで登場している。
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ここまできたらあとはやることをやるだけだろう。デッキを組むだけだ。
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このラッカ天門は<アルカディアス・モモキング>下でも機能不全にならず、5c系統にも<ファイナル・ストップ>などで対抗できる受けデッキとして、環境の一角に登場する。
人によっては<音感の精霊龍エメラルーダ>と<ミラクル・ストップ>型にするなどの派閥に分かれるほどだった。
しかし2ブロック環境の中心となったのが、突如現れたこの闇の王。
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<闇王ゼーロ>。
2ブロックは毎年、ビートダウンに該当するデッキと受けデッキに該当するデッキ、ループ・ソリティアに該当するデッキが必ず登場する。過去の2ブロックのループデッキとしては、ムカデループやドラガンザークループ、ミッツァイルループなどがこれに該当する。
そしてそのループデッキのポジションに該当するデッキは今年は現れないか、と思っていた矢先にこのデッキは突如現れた。
今となっては有名なデッキタイプだが、そのループデッキの立役者となったのが<闇王ゼーロ>なのだ。
昨年度にデアリ邪王門やユスティーツァ型の蒼龍コントロールを送り出したビルダーの最新作が環境を定義し、そしてこの闇の王が従えていたのがこのディスペクター。
![](https://assets.st-note.com/img/1650042057327-JTyN9SMllo.jpg?width=1200)
<砕慄接続グレイトフル・ベン>。
<闇王ゼーロ>発動のためのコストとなる手札3枚+盤面のクリーチャー3体とデッキの上から4枚の墓地に落ちたカードを全てマナゾーンにしまうことができるこのディスペクターは2ブロックにおける代表的なソリティアとして暴れた。
具体的な動きについて説明する前に、以下のリストを見て頂きたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1650089773735-m3jEC0Avj6.jpg?width=1200)
盤面に闇のクリーチャーを3体並べてゼーロを発動。
<砕慄接続グレイトフル・ベン>か<偽槍縫合ヴィルジャベリン>を着地させる。これが大まかな動きである。
初期リストはここから再度盤面展開を行い、<夢幻の無>と<神の試練>を絡めて1〜2回EXターンを取り、殴ってフィニッシュする形だったが、最終的なリストは<砕慄接続グレイトフル・ベン>を2体、<魂晶リゲル-2>を2体、<わかりミーア♡><神の試練>、<夢幻の無>による無限追加ターンを獲得し、<偽槍縫合ヴィルジャベリン>によるターン終了時の効果で相手をLOさせる形へと変化した。
このゼーロベンはシータRX、ドラサイ5cと並んで環境を1年に渡って定義し、シータRXの「<アルカディアス・モモキング>を横にし続ければ除去がない<闇王ゼーロ>を使わせない」という定石に対して<じゅくしてないゾンビバナナ>を踏ませて捲るようにする構築にするなど、EXWINデッキの代表としてメタの中心として活躍し続けることになる。
レクスターズとディスペクター、それぞれの陣営に強力なリストが形成されていったが、次の弾でその形成は大きくディスペクター側に傾いていく。
超獣王来列伝の裏側から現れた、殿堂の力を纏った禁断竜王とササゲールの概念をブチ壊したパンドラボックスによって。
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![](https://assets.st-note.com/img/1650672844089-dR4LobuWmH.jpg?width=1200)
本気を出したササゲール、暴れまわるプレミアムの力
2021年9月11日、キングマスタースタートデッキ ハイドのディスペクターN・EXT、
![](https://assets.st-note.com/img/1650091502889-rYFPS2p5iU.png)
2021年9月25日、王来篇拡張パック第3弾 禁断龍VS禁断竜がそれぞれ発売。
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王来編3弾の特徴としては、<禁断英雄モモキングダムX>や<禁断竜王 Vol-Val-8>などの殿堂カード及びプレミアム殿堂カードが元になったデザインのカードが多く収録され、レクスターズ側には侵略システムがリメイクされた。
ある日、王来編第3弾発売前の段階で判明していたカードリストを眺めていた筆者は、とあるカードに目が止まる。
カード名は<霊宝ヒャクメ-4>。
名前を読んだ筆者はSRでもVRでもないこのカードを「どうせササゲールなんて使わないしな、2ブロックでもあまり使った記憶がないし。」と判断しようとしたが、少し前に聞いた話が頭をよぎり、もう一度テキストを読み直していた。
筆者のnoteでこのくだりを何度やったのかもはや覚えていないが、筆者が普段お世話になっているショップには、たまに開発元であるウィザーズの仙人がふらりと遊びにやってくることがある。
昨年度は鬼札王国のカードについてであったが、今年はディスペクターについての話を聞いた気がしたのだ。その出来事が起きた時期は王来編2弾にまで遡る。
初めて<砕慄接続グレイトフル・ベン>の情報がネット上で公開された時、筆者と普段デュエマをやっている友人と大騒ぎした記憶があるのだ。
そりゃあそうだろう。今となっては誰もが強いと判断するカードではあるが、EXライフ持ちで継続的にマナゾーンのカードを触るSRのディスペクター。そんなものが登場するとあってはコントロールデッキが好きな筆者は大興奮である。
そんな筆者達を横目で見ていた仙人は何やら微笑ましい顔でこちらを見ながら、「今後をお楽しみに」とだけ言って去っていったのだ。
そんな出来事を思い出し、筆者はこの光りもしないノーマルカードの効果をもう一度読み直すことにした。
![](https://assets.st-note.com/img/1650709424070-OflO8niZQg.jpg?width=1200)
するとよくよく見てみるととんでもないことが書いてある。
・ササゲール4
ササゲール4。この1文だけなのに恐ろしいことが書いてある。今まではササゲール2がコスト軽減の最高値であったのに。しかも登場時と選ばれた時に1ブースト&ランダムハンデスにSトリガーとブロッカーまで付いている。
言い換えると、ただ6マナで出しても、トリガーで出てきても1マナ増やしながらハンデスで手札を刈り取り、ディスペクターに限っては<爆進イントゥ・ザ・ワイルド>もびっくりな4ブースト同然になり得る。
意味が分からなかった。明らかに強めに設定されているスペックに3色のマナ基盤。
そして全てが繋がった。このカラーリングのディスペクターで壊れカードがあるではないか。
![](https://assets.st-note.com/img/1650703224915-LIaNk7ISoU.jpg?width=1200)
あの時仙人が言おうとしていたのはこういうことだったのだと。
そしてあとあと裏事情を聞いてみると、仙人は<砕慄接続グレイトフル・ベン>が発表されたタイミングで騒いでいた我々を見ながら「これからもっとヤバいのが出てくるのに、なんでみんなグレイトフルベン如きで騒いでいるんだ?」とその時は思っていたらしい。
ふざけんな。当たり前だけど一般人が分かるわけないだろそんなこと。
まぁ我々ユーザーは見事にウィザーズの掌の上で踊らされていたわけだ。
そして狙ったかのように同弾で強力なキングマスターが収録される。
![](https://assets.st-note.com/img/1650703575289-MH8xYSEMNh.jpg?width=1200)
<零獄接続王 ロマノグリラ0世>だ。
そんな経緯がある<霊宝ヒャクメ-4>は、ゼーロベンに<ヘブンズ・ゲート>を採用した型に派生させたり、ディスペクターをメインにしたコントロールに当たり前のように採用されるなど、多くのデッキに使われた。
![](https://assets.st-note.com/img/1650706099533-LegoJiIKFq.jpg?width=1200)
そして禁断スター進化という、歪な効果を持つ<禁断英雄モモキングダムX>もここで初登場。<禁断英雄モモキングダムX>なんかは多くのプレイヤーが初見で見た時に違和感を覚えたことだろう。
![](https://assets.st-note.com/img/1650117683616-FM9IRAM3qh.jpg?width=1200)
そしてそのモモキングダムXと相性の良いレクスターズがもちろん同じ弾に収録されていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1650117821874-IP3UDzSBJM.jpg?width=1200)
彼の名は<キャンベロ <レッゾ.Star>>。
今となってはオリジナル・アドバンス環境で大活躍しているJO退化のメインウエポンとして名を馳せているカードではあるが、この段階の評価はそこそこの強さを持つロック用カード、といった評価であった。
そしてこの<禁断英雄モモキングダムX>とレクスターズを合わせた赤黒のビートダウンが王来編3弾発売直後に研究されていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1650179398286-sWCvqXp7Jp.jpg?width=1200)
だがしかし、このキャンベロが一番フィットした就職先はシータRXだった。
2ブロック環境におけるインフラであるSトリガー、<S・S・S>をケアすることのできる進化レクスターズとして、シータRXの強力なサブウエポンとして活躍したのだ。
しかしレクスターズよりも環境で暴れ回ったのはこのディスペクター。
![](https://assets.st-note.com/img/1650179665172-EWzBh83bec.jpg?width=1200)
<禁断竜王Vol-Val-8>。
とうとう現れた、EXターン効果を持ったディスペクター。名前を見るだけでも分かる。
初めて情報が解禁された時、名前を見ただけでEXターンに関係するカードだと分かるほどのオーラを纏ったこのカードがコントロールのフィニッシャーの座を掻っ攫っていった。
<龍風混成ザーディクリカ>や<天災デドダム>などをまとめて破壊しながら攻撃するこのブルドーザーは、<大樹王ギガンディダノス>の攻撃制限に引っかからず、ジャストダイバーによってGSやその他トリガーが効かないフィニッシャーとして活躍する。
特に新弾発売直後はYouTuberによってリストが公開されたこともあって爆発的に使用者を伸ばした。
![](https://assets.st-note.com/img/1650698401500-yVDvQ9MdQW.jpg?width=1200)
また、面白いデッキとして環境に突如現れたにはケンジキングダム(ギュンターペガサス)。
![](https://assets.st-note.com/img/1650969808830-LjTsySVXbi.jpg?width=1200)
<とこしえの超人>がいないタイミングを見計らっては環境で見ることがない大型踏み倒しをしていた。<Disカルセドニー>、<正義星帝<鬼羅Star.>>、ケンジと重ねて<地封龍ギャイア>なんかが着地すると大体のデッキは何もできずに沈んでいった。
こうして新弾で収録されたキングマスターが続々と2ブロック環境に参戦。5cザーディクリカを中心に、ゼーロベンとビッグマナ、シータRX、アグロデッキが入り乱れる環境が形成されていった。
そして来たる12月。デュエマ20周年の集大成を飾るに相応しい最悪のラスボスが我々の前に現れる。
デュエマにおける文明の概念を根底から破壊しながら。
![](https://assets.st-note.com/img/1650732887805-FBREqPrZD8.jpg)
デュエマの根源5大龍神、色基盤の概念を破壊したキング・セル
2021年12月18日、王来篇拡張パック第4弾 終末王龍大戦が発売。
![](https://assets.st-note.com/img/1650766955153-IquGCJUdYe.png)
そしてこの弾が2021年度の2ブロックフォーマットで使用可能な、プロモカードを除いた最後のカードプール追加となった。
そしてシリーズの最終弾ということは当然、ラスボスとなるクリーチャーが収録される弾ということである。
エピソード2であれば<「無情」の極シャングリラ>、ドラゴンサーガであれば<龍覇ザ=デッドマン>、革命ファイナル編であれば<終焉の禁断ドルマゲドンX>、超天編であれば<零龍>、十王編であればジャオウガが登場した。
そして今年はデュエマ20周年という記念すべき年だ。新弾の情報が公開される前の筆者は行きつけのショップの店長と話をしながら、何かしらゲーム性に多大な影響を与えるカードになることは間違いないと考えていた。
筆者はせっかく20周年記念なのだから<終焉の禁断ドルマゲドンX>や<零龍>のような派手な外部ゾーンを使った生き物であって欲しいと「そんなわけないだろ」と否定する自分の理性を捻じ伏せながら切に願っていたが、ショップの店長の予想はこのようなものであった。
オリジナルを推進した年だったことから、外部ゾーンはおそらく使わない
オリジナル構築のデッキの中に収まるカード
十王編、王来編と多色プッシュしてきたこと、事前情報で背景ストーリーの五大龍神が登場することがわかっていることから、おそらく文明に関するギミックが入る
といった具合だった。筆者の感情的な願いを真っ向から否定する合理的な理由と根拠が並べられている。思いやりの心とかはないのだろうか。
そんな我々の予想は、ある1本のデュエチューブの動画によって答え合わせが行われる。
なんとびっくり。今年度のラスボスはキング・セルという新しいカードタイプを誕生させた。
パックの目玉となったのは表紙にもあるこのディスペクター。
![](https://assets.st-note.com/img/1650767067394-fmGBgv7o2g.jpg)
Volzeos-Balamord。
キング・セルという、GSによる受け札となりつつ、マナに置いたタイミングでアンタップすることができる3色を持つ色基盤。まるでデュエル・マスターズの祖先にあたるMTGの土地という概念を彷彿させる。
だが伏線はあった。昨年度の十王編の最後に登場した、◯◯の伝説サイクルである。
![](https://assets.st-note.com/img/1650778991906-twLzg6JMVK.jpg?width=1200)
判明当時こそ<獅子王の遺跡>が4ターン目に3ブーストが確定になるカード程度の使い道しかなかったが、1年越しに開発からデザインに関してGOサインが出たということなのだろう。
そんな王来編のラスボスは新弾発売の週から多くの用途で使われるようになる。
![](https://assets.st-note.com/img/1650779123562-73OKRRue65.jpg?width=1200)
そしてあるディスペクターの登場により、それまで環境を定義してきたドラサイ5cがもう一段階上に行く強化をもらうことになる。
その立役者は<覚醒連結XXDDZ>。
![](https://assets.st-note.com/img/1650840543309-Jp4f2DBdLe.jpg?width=1200)
これまでのドラゴンズサイン型5c唯一の課題であった、「<龍風混成ザーディクリカ>以外に<ドラゴンズ・サイン>から出して強い光のドラゴンがあまりない」という問題と「相手の呪文を封じながらフィニッシュする方法をデッキに組み込むのが難しい」という問題を一気に解決した。
もちろんそれだけでなく、全体SA+スレイヤーの付与を行うことで盤面処理までもこなすことができ、本年度2ブロック最高のデッキとして完成形になった。
![](https://assets.st-note.com/img/1650896955321-m4FOHJrsev.jpg?width=1200)
このまま5cが年間を通して最強の座を獲得する…。
誰もがそう思っていた矢先、とある5cキラーとも呼べるデッキが環境に姿を現す。その名はアナカラーハンデス。
![](https://assets.st-note.com/img/1650897204906-OiY3gwQNbb.jpg?width=1200)
もともとオリジナル環境で成立したデッキであり、2ブロックでもかなり前の段階からリストは組むことが可能ではあった。そのため、筆者もオールフォーワン型のギャラクシールドを作成した、筆者の知人も10月くらいには試していた。
だがどうにも5cや他のデッキに勝ち越す勝率を保てない。2ターン目と4ターン目にハンデス、3ターン目にはリソース回復、という動きをしても、相手のトップで捲られる試合が多かったのだ。
<ドンドン火噴くナウ>や<神の試練><百鬼の邪王門><切札勝太&カツキング-熱血の物語->などが多く使われるフォーマットなだけあって<Q.Q.QX / 終葬 5.S.D.>の刺さり自体は非常に強力だが、どうしても途中で息切れしてしまう。
当たり前である。2ブロックのコントロールデッキのカードは1:1交換、1:3交換が出来るカードが当たり前のように多いため、ひたすらハンデスしても追いつかないのである。<龍風混成ザーディクリカ>が着地したら目も当てられない。
だからその時は筆者と知人もアナカラーハンデスを諦めた。
相手の盤面を壊しながらリソースを大量に回復するカードでも登場しない限りは無理だと。
だが、王来編最終弾でその「もしも」が実現した。
![](https://assets.st-note.com/img/1650897850194-eooCR711QG.jpg?width=1200)
アナカラーハンデスを最強にするための最後のピースである、ザーディクリカを壊しながらハンドとリソースを回復するカードが。
![](https://assets.st-note.com/img/1650898190777-2mo45eqoHD.jpg?width=1200)
こうして最後のピースを獲得したアナカラーハンデスは、環境を牛耳っていた5cに唯一有利がつくデッキとして、だんだんと使用者数を増やしていった。
はっきり言ってしまうと、年が明けてからの2ブロックはドラサイ型5cとアナカラーハンデスの2強環境であった。
こうしてカードプールの追加が終了した2021年度2ブロックフォーマットは終わりを迎え、役2年の間、1ブロック・2ブロック限定構築戦を支えてきた十王編のカードが2ブロック落ちし、王来編と王来MAX編へと切り替わった。
王来MAXへむけて
2月19日土曜日。JR本八幡駅の近くで行われたやわたCSの会場にはいつものようにCS参加者が集まった。
このやわたCSは今となっては定期的に2ブロックによるCSが行われている、数少ない会場である。
2021年4月までの段階では関東だけでなく、中部、関西、九州、ひいてはリモート上などの多くの2ブロックCSが開催されていたが、その状況は6月頃から一変した。
2ブロックCSの参加者が全国的に減少し始めたのだ。
関東では昨年度のCSサポートプロモである<天災デドダム>のパワーもあってか開催数を維持していたが、その他の地域では徐々にCS自体が開催されなくなっていった。
そしてトドメには、年度が切り替わったことによるCSサポートプロモの更新、その他キャンベロ杯や長州力MAXカップなどの特別なショップ大会の開催などが重なり、CSへの参加者自体が減少するいわゆる「ドタキャン問題」までもが降りかかり、2022年2月の段階で開催されている2ブロックCSはこの千葉県のやわたCSだけになってしまったのだ。
そして残念ながら2/19に開催されたやわたCSでも、CSサポートを配布するために必要な最低ラインである25人の参加条件が達成されないまま、非公認CSとして開催された。
主催及びプレイヤーはサポートが降りないことに落胆しながらも、集まった人で試合だけでもできるようにと卓番号を確認して自分の席に座り、ゲームの準備を進める。この日主催は大会を盛り上げるために身銭を切ってプロモの<ドラゴンズ・サイン>や<ブレイン・タッチ>を用意していた。そんな誠意を見た筆者に、参加すらしないで帰宅するなんてことは出来なかった。
そして全卓の準備が終わると、CSの主催の現カードラッシュ所属プロのおんそくジャッジとスガ認定ジャッジからルールや参加上の注意等のアナウンスがなされる。
そしてアナウンスの終わりにはいつもスガ認定ジャッジからの決まり文句がある。
「やわたCSでは今後も2ブロックCSを開催していきますので、今年も2ブロックをよろしくお願いします。」
と。
あぁ。自分は果たしてあと何回スガさんのこの決まり文句を聞くことができるのだろうか。
このやわたCSの主催は、現カードラッシュ所属プロであり、DMGP8th2ブロック優勝の経歴を持つおんそく選手とスガ認定ジャッジであり、彼らの尽力によってギリギリ成り立っているのが現状だ。
はっきり言ってデュエル・マスターズにおける2ブロックフォーマットの命運は関西のアイドルと旧2ブロックしたい会のメンバーに託されたと言っても過言ではない。
彼らの心が折れて、関西のアイドルによる2ブロックCSの開催申請が途切れたその瞬間、デュエル・マスターズの文化・フォーマットが一つ消えることになるのだ。
しかしそんな現状であっても、泣きっ面に蜂という言葉があるように、2ブロックフォーマットをとり巻く状況はどんどん悪化している。
3/11日、デュエチューブ公式からいわゆる戦略発表会のような生放送がなされた。
こちらで発表された内容はクリエイターズレターでも確認することができる。
そしてこの中で今年度の商品展開について説明しているスライドがある。
![](https://assets.st-note.com/img/1650792476511-l6BsXX2Bi1.png?width=1200)
注目してほしい点は20thトレジャーに関する内容ではなく、王来MAX編の拡張パックが2つしかない点である。今年度はジョー編があと2つの通常弾でクライマックスを迎え、年度の後半からは新主人公による新シリーズが始まることが決まっている。
通常の年のように一年で一つのエキスパッションを行う従来とは異なる商品展開のスケジュールになっている。
そしてみなさんにはここで一度2ブロックフォーマットのルールについて思い出してほしい。2ブロックは直近2年のブロックで収録されたカードプールで行われる、スタン制のルールである。
一応念のためにデュエル・マスターズ競技イベント運営ルールの、イベント規定の項目の中のフォーマットとレーティング区分という項目のなかではブロック構築であればよいと記載されてはいるので、王来・王来MAX・〇〇の3つでブロック構築戦をすることも可能ではあるが、それは果たして2ブロック構築と言えるか怪しいラインである。
要するに今年の商品展開は、2ブロックフォーマットに適さないのだ。
この現状を筆者の友人に話したところ、「王来編のカードがすぐに落ちてカードパワーが高いカードが勝つゲーム性じゃなくなっていいじゃん!」とポジティブな意見が帰ってきたが、筆者はどうもそのようには思えない。
多分2ブロックフォーマットのことは忘れ去られているのではないかと思うのだ。どんなに現実逃避しようとしても、状況証拠からどうしてもそう思わざるを得ない。
しかも今年は2年ほど延期された全国大会が開催されるとアナウンスがされているが、どうも開催されるフォーマットが従来のアドバンスと2ブロックの組み合わせではなく、オリジナルとアドバンスの組み合わせで行われるという噂まで流れている。
だからここまで長々と書いてきた筆者ではあるが、やはり2ブロックフォーマットはもうじき終わるのだと悟ってしまう。悲しいことに。正直救いがなさすぎる。
でも、デュエル・マスターズには、こんなことを言う主人公がいるのだ。
「俺のデュエマはまだ終わってねぇぇぇぇぇぇ!!」
そしてその主人公の弟もビクトリー1の決勝戦でこんなことを言っていた気がするのだ。
「なぁんだ。諦めなきゃ、いいことあんじゃねーか!」
と。
だからもう少しだけ。もう少しだけ足掻いてみようと思う。幸い、まわりにまだやる気があって諦めてない人もいるのだし。
終わりが告げられるその時までは2ブロックというルールで遊び続けていこうと思うのだ。
王来編の一年でドラゴンの歴史に触れて桃太郎の如き力を手にした主人公の手元には、デュエマ20年の歴史と、これからの未来が携えられている。
20周年を迎えたデュエル・マスターズの歴史はこれからも紡がれてゆくのだから。
fin
あとがき
みなさんこんにちは。今年から横浜に引っ越したFeiです。新社会人になりましたが毎日が辛すぎます。学生って最強だったんだな。
今年も昨年同様に2ブロックに関する記事を執筆しましたが、如何だったでしょうか。面白かっただとか、自分もやってみたい!思って頂けたら書いた甲斐があったというものです。
本来このnoteは没にする予定でした。年末年始は卒業論文とかいうnoteより筆の進みが遅くなるものがあったためです。
しかし今年になってからというもの、2ブロックCSが存続の危機になってきているとうすうす感じ始めていて、これは昨年同様、ユーザー側からの意見を言わなければマズイなとも思ったので、なんとかチマチマ時間を見つけては書いていた感じです。筆者は2010年代のアニメオタク世代であり、青春ブタ野郎シリーズの前作にあたる「さくら荘のペットな彼女」という学園ラブコメ作品に多大な影響を受けているので、「たとえ終わりが見えていたとしても最後まで諦めずに出来るだけのことをやる」みたいな考えが身についてしまっているので、ここまで書きました。
やはりこういった文化や戦いがあったことが分かる記録は誰かが書かければ残りません。
![](https://assets.st-note.com/img/1650965413651-sWNfI4ZbrT.jpg?width=1200)
王来編はどんなデッキも使えるカードパワーを持った汎用カードが多くてよかったですね。ザーディクリカとカツキングとグレイトフルベンは万能の願望機というか魔法のカードでした。ザーディクリカ大好き。
また商品展開の仕方も上手だったと思います。
分納に関してだけは文句を言う箇所もありますが、商品の販売戦略は非常によかったと思います。パック剥いてて楽しかったですし。
私自身、去年はほとんど2ブロックのCSにしかでていなかったのですが、非常に楽しい1年だったと思います。とにかく王来編のカードデザインがよかった。
あと、自分は使えるカードに制限がないと、刃鬼を環境に持ち込もうとしてしまうので、2ブロックみたいな方が真面目に強さだけを求めるデッキを組みやすいなどの理由もあります。
というか普通に元ファンデッカーなのでね。最近はデュエプレコラボデッキのカードを使って、こんな感じの赤単武者ワンショットで遊んでました。
5ターン目までのハンド要求が麻雀なみにエグいので、サムライみたいに生きたい人は使ってみてください。
ザンゲキマッハアーマー→武者→バルケリオス武者→G0→ボルシャックバルガ→紫電ドラゴンP‘Sで人が3人死ぬ打点がでます。クソデッキです。
![](https://assets.st-note.com/img/1650961295412-67PRi7Iwhc.jpg?width=1200)
...…。
と、まぁそれっぽい理由を並べてはみましたが、自分が2ブロックをやってた本音に当たる理由はおそらく、新型コロ〇の影響で失われた、全国大会のエリア予選やGPなどの競技シーンを惜しんで、それを取り戻そうとするかのようにやっていた、みたいな感じだと思います。
本来、2ブロック構築戦が行われていたのは全国大会などの店舗・エリア予選などの競技の場です。
ここ数年でデュエマを始めた人は知らなくて当然ではあるんですが、デュエマでは2019年までは全国大会・DMPランキングが行われており、とにかく競技シーンが熱いものになっていました。
特にDMPランキングは熾烈なもので、ランカーとして全国大会を目指していた人の中には年間でCS参加費+交通費+遠征費+カード購入費など、諸々の予算を100万円くらい使って走って、年末は13日連続で各地のCSを回ってポイントを集めるのが正攻法として行われるほどでした。2019年度の全国大会が中止にならない背景には、こういった事情があるのです。全国大会参加権利を持っている人は人生を賭けていると言っても過言ではなかったです。これでも全国大会を何回も延期するくらいなら中止しろ!なんて言えますか?僕は無理です。今のDM YouTuberはマジでスーパーサイヤ人だった面子なんですよ。
そして当時のCS会場の風景はこんな感じでした。
コロナ禍になる前はCSもこれくらいの規模で大々的なイベントとして開かれていたんですよね。
全国大会のエリア予選・店舗予選は2ブロック構築で行われていたので、今よりはるかに2ブロックをやる機会が多かったのです。(競技でやるなら半ば強制的に2ブロックに直面させられたとも言えますが。)2ブロックをやるうえではその年に出た最新のカードに触らざるを得ないことから、販売元としても売り上げに直結するから推進されていたわけです。
個人的にはこの期間に出場権利獲得のために店舗を回ったり、友人と調整する時間が面白くて好きだったし、GP7thとGP8thで2ブロック戦が行われたのも大変盛り上がってよかったと思っています。
だからそれがコロ〇によって失われてしまったのが悔しかったんですよね。
だからもし、ありもしないことだけど十王編と王来編で2ブロック戦が行なわれていたらどうなっていたのか、その答えを求めるためだけに続けてきたのだと思います。
まぁ帰ってこないものは帰ってこないのですが。
そしてここまで書いてきたのもこのためではありますが、文中にも出てきた、やわたCSが2ブロックで今後も行われます。
https://www.dmp-ranking.com/schedule.asp
4/30日、5/14日、5/21日、6/4日、6/18日の土曜日に日程で組まれています。
オリジナルやアドバンスのCSとは違って、それほど過酷な受付競争にはならないので、この記事を見て興味を持った方は是非、やわたCSの会場までお越し下さい。
はっきり言ってオリジナルやアドバンス並みに調整している強い人はほとんどいないので、大会の雰囲気もワイワイとした穏やかな感じです。
まぁフォーマットの存続がかかっていると勝手に思っているのでわざわざ紹介しました。CSでジャッジをしてたカードラッシュ所属プロに「30日は来てね〜」と言われたけど脅されたり宣伝を頼まれた訳ではないのであしからず。
人が足りなくてサポートが降りない・開催されないのを危惧して書いてるので.…。
使用可能プールが切り替わって初のCSになるので、環境がどうなるのかも楽しみです。ドラゴンズサイン型5cや赤黒邪王門、ギャラクシールド、ハンデスなどがスタン落ちで姿を消すと思うので、新環境は赤抜きディスペクターと赤白のライオネルstarが勝つのではないかと踏んでいます。それともまだ見ぬデッキが出来上がっているのか.…。
本記事の作成にあたり、ご協力頂いたスガさん@suganai0731、おんそくさん@onsoku0503には御礼申し上げます。今後ともCSの参加者として応援していますので、何卒よろしくお願いします。
それでは、やわたCSの会場でお会いしましょう。
そしてデュエマが20周年を超えて、今後も末永く続きますよう。
今年こそは2ブロック参戦あるだろ!!!ってずっと思ってたんですけど、結局来なかったね君..…
ダイハード・リュウセイ、2ブロ落ちしちゃったんですけど.…
![](https://assets.st-note.com/img/1650965337006-ugwTir495B.jpg?width=1200)
ほんとにおわり