文科省の資料がやっと公開されました


今年は結構遅かった

だいたい8月頃に公表される文科省の医歯薬学部に関する資料ですが、今年はつい先日公表されました。毎年書いている有料noteの資料の一部はこのデータを参照しています。受験シーズンに間に合わせるために、今年の有料noteは一部データをブランクとして公開せざるを得ませんでした。

ただし、このデータはどこかが間違っていることもあり、私の指摘で修正されたこともあります。そのため、今回も自分が気付く範囲でデータに大きなミスがないかを確認する事にしました。

歯学部入試に関するデータ

以下に入試に関するデータを引用します。

国公立については、一部の地方大学で競争倍率の上昇が認められます。鹿児島大学が最も高い5.41倍となっています。定員の充足率については全ての大学で100%となっています。

深刻なのが私立大学です。定員の80%も充足していない大学が17校中8校となっています。特に岩手医科大学、奥羽大学、鶴見大学の定員割れは深刻なレベルです。

東京都内の全ての大学は、定員数の厳守を文科省から言い渡されているという認識だったのですが、日本歯科大学は定員128名で140名も入学しています。これはありなんでしょうか?新潟校が学費を大幅に下げても定員が全然埋まらないのを東京校の学費で穴埋めしているんでしょうか?

令和6年度入試

以下に過去3年間の入学状況を示します。表が細かいので見えづらいですが、奥羽大学と鶴見大学は編入学を除いた入学と編入を含む入学で%がかなり異なります。奥羽の令和6年に至っては、編入を除いた%は32.5%なのに、編入を含むと63.8%となります。

奥羽、鶴見、松本の3校は他の歯学部を中退した学生を編入で受け入れています。特に奥羽はそれがないと経営が成り立たないレベルと聞いています。中退した学生が編入してまともに卒業できた、という話を聞かないので、留年してさらにお金を落としていってくれるんでしょう。

令和4~6年度 入学、国試結果、6年ストレート合格率

歯学部の過去3年間の入試競争倍率の図を示します。

国公立1位は徳島大学となっていますが、国家試験があんなに成績が悪いのに、なぜこんなに人気なのか正直わかりません。

私立1位の大阪歯科大学は、令和6年度の入試から、1人の人が重複して何個も入学試験を受けられるようにしたせいで、受験者数が前年比から倍になっています。実質の受験者数を計算すると前年から微増ぐらいであり、この競争倍率はかなり盛られた数値なので注意してください。この大学は本当数字を偽装するのが大好きなので、データの解釈にはご注意を。

入試倍率3年間

入学後の進級に関するデータ

以下に令和6年度の留年・休学者率を示します。このデータは1回でも留年、休学するとその後在籍する限りずっとカウントされる数字ですので、各学年の留年率ではないことにご注意ください。

国公立のトータルの留年・休学者率は去年とほぼ変化がないです。一時期少しずつ上昇していましたが、最近ではむしろ低下してきている大学もあります。
その中で九州大学だけが異次元の留年・休学者率を叩き出しています。1、2、3年生あたりでかなり落ちているのですが、正直いたぶってるようにしか見えないです。

私立大学のトータルの留年・休学者率は去年最高の28.8%となりましたが、今年は28.0%と少し下がっています。40%を越えていた鶴見が35%になったり、日本歯科新潟も少し下がっています。まあそれでもかなり高いといえば高いですが・・・。

各私立大学の6年生の所を見て頂けますと、クラス全員の50%以上が留年・休学経験者という所も少なくないのがおわかり頂けるかと思います。歯科医師になって20年以上経ち、子供がそろそろ大学受験という先生もいらっしゃるでしょうが、自分達の時と時代が違うことを理解しましょう。

留年・休学者率

留年・休学者率には、退学者は含まれていません。そのため、退学率に関するデータが公表されています。

去年のデータでは9.7%で断トツトップだった日本歯科新潟が7.4%と退学率が低下しました。3年間の平均で2%以上下がるということは意図的に相当下げたとしか思えません。代わりに8.9%の鶴見がトップになりました。地方の私立大学は退学率が高い傾向にあります。

退学率(3年間)

6年ストレート合格率

6年ストレート合格率とは、6年で歯科医師になれた確率のことです。今の歯学部、特に私立の多くは国家試験の合格率を留年、裏からの卒業などで偽装しており、毎年3月に発表される国家試験合格率の正確性の評価が難しくなっています。それと異なり、6年ストレート合格率は偽装ができないため、こちらの方を各大学の評価として用いる人が多いです。

今年行われた117回は例年より合格判定が甘く、特に国公立大学の合格率が上昇しました。その影響で、過去最高の6年ストレート合格率が記録されました。鹿児島大学の96.2%です。ちなみに6年ストレート合格率は国公立でも70%を維持すると優秀というものであり、鹿児島大学、岡山大学の90%越えは正直外れ値と言ってもよいレベルです。北海道大学も優秀な結果でした。

私立大学はかなり乱高下する大学が多いのが現状ですが、トップ2校である東京歯科と昭和だけが別格の安定感となっています。
1年生で入学した学生の20%ぐらいしか6年で歯科医師になれない大学も存在しているのは事実です。

6年ストレート合格率(3年間)

まとめ

偏差値を調べていただくとわかりますが、私立歯学部の半数以上が偏差値40以下であり、35という大学も少なくありません。そういった大学は入学は非常に容易ですが、卒業して歯科医師になれるかどうかはわかりません。退学者もそこそこいます。
大学選びは本当に慎重にしてほしいです。安易に私立歯学部に入学しないで下さい。前の歯学部を退学になって編入した歯学部2校目、3校目という人がいます。彼らにとって、歯医者になることが人生の目的ではなく、歯学部に通うことが人生の目的になってしまっています。職歴なしの40代とかですよ?

データの詳細を確認していたら、大学公式サイトとこのデータで差がある部分がいくつか見つかりました。これについては文科省に問い合わせを行っています。なぜ時前のサイトに出しているデータと文科省のデータで違いが出るのでしょうか?意味不明です。
このデータを元に有料ブログのデータを更新いたします。多分今年中には終わると思います。

追記(2024/12/25)

以下の内容について、文科省のお問い合わせフォームから問い合わせを行いました。

先日公開されました令和6年度 各大学歯学部の入学状況及び国家試験結果を確認したところ、大学公式サイトに掲載されているデータとの相違を確認いたしました。以下に列記いたします。

北海道医療大学
志願者、受験者 合格者 入学者数が大学の公式サイトと相違
https://manavi.hoku-iryo-u.ac.jp/koho_wp/wp-content/uploads/2024/07/nyushikekka.pdf

奥羽大学
志願者数が大学の公式サイトと相違
https://www.ohu-u.ac.jp/information/exam_result.html

昭和大学
志願者数、受験者数、合格者数が大学公式サイトと相違
https://adm.showa-u.ac.jp/admission/data/

鶴見大学
志願者数、受験者数、合格者数、入学者数が公式サイトと相違
https://support.tsurumi-u.ac.jp/past_result/

朝日大学
志願者数、受験者数、合格者数が大学公式サイトと相違
https://nyuusi.asahi-u.ac.jp/assets/pdf/b16b411bb62ea2ed7a72f58ad4603b287e9e5696.pdf

鶴見大学については、入学者数が9名も異なっています。大学公式サイトに掲載されている歯学部歯学科における修学状況を確認しても51名であり、60名は誤りではないでしょうか?
入学者数は最低修業年数の国家試験合格率にも影響しますので、正しい数字である必要があるかと考えます。 
https://www.tsurumi-u.ac.jp/uploaded/attachment/3598.pdf

以上ご確認をよろしくお願い申し上げます。

追記2

以下についても文科省に問い合わせを行いました。
1/9現在、文科省の資料は修正されていません。

最低修業年数での歯科医師国家試験合格率

奥羽大学51.0%とありますが、大学公式サイトでは43%となっています。
https://www.ohu-u.ac.jp/information/studyStatus.html

朝日大学29.7%とありますが、大学公式サイトでは32%となっています。
https://www.asahi-u.ac.jp/media/dent_student_status.pdf

入学者数

神奈川歯科大学の入学者数75名とありますが、公式サイトでは77名
https://www.kdu.ac.jp/dental/outline/info/studentcount.html

資料の修正を行ったnote

以下のnoteについて、上記の文科省と大学公式サイトのデータに相違をある部位以外について、文科省のデータを統合いたしました。これにより、note販売時点ではブランクだった部分の殆どが埋まっています。大学の選択にご活用ください。


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