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次々と告発される歯学部達

今度は日大松戸

東京新聞に日大松戸の関係者からリークがあったようです。

日本大学松戸歯学部(千葉県松戸市)の関係者から「卒業試験に合格できず、6年生の半分近くが留年になった」と、本紙「ニュースあなた発」に情報が寄せられた。卒業試験に受からなければ、歯科医師の国家試験(国試)を受験できない。大量留年のワケを探ると、歯学部の抱える悩ましい事情が見えてきた。

合格率が評価に直結「生き残りのため」
 日大松戸によると、今春卒業予定だった6年生122人のうち、留年は56人に上ったという。29人だった昨春の倍近く。過去8年間でも留年が50人を超えたことはない。
 「学部の生き残りのためだ」。大学関係者によると、大量留年について大学側は、こう説明したという。
 この関係者は「国試の合格率を上げようと卒業判定を厳しくしたからでは」と勘繰る。というのも昨春の国試で、日大松戸の新卒合格率が、全国の歯学部の中で下から2番目の55.6%に急落していたからだ。
 「学生は1%でも合格率の高い大学に入りたいし、各大学も進学説明会で強調するのは合格率」(大学関係者)と言うほど、歯学部にとって国試の新卒合格率は大学の評価に直結する。
◆半分留年の結果、合格率24.2ポイント増
 昨春の合格率55%に、日大松戸の谷龍樹事務局長も「入学志願者が減らないか危惧していた」と明かす。
 結果的に、6年生の半分近くが受験できなかった今春、新卒合格率は74.2%にまで回復した。
 大学側は「合格率を上げるために卒業判定の基準を変えたことはない」と反論。留年の増加は、「特別再試験」という卒業試験の追試を実施しなかった影響だと推測している。
 追試に受かっても国試は受験できないが、卒業は認められる。昨春は追試で15人が留年を免れていた。追試を取りやめたのは、新型コロナによる学業への影響が薄れたことや留年を免れた学生が国試に合格しづらいからだという。
 留年する学生にすれば、経済的負担はつらい。ある学生は「追試を受けて卒業し、予備校に通ったほうが学費は安くすむのに」とこぼす。日大松戸の学費は年間400万円を超える。日大松戸によると、今回留年となった学生の中には、学費が払えず退学したものもいるという。
◆助成金減らされたくない 合格できる学生「絞り込み」
 日大松戸に限らず、歯学部の留年の多さは際立つ。特に顕著なのは私大だ。
 3年前の文部科学省の調査で、全国29の歯学部のうち11が「留年生が多くなっている」と回答。最近では全国の6年生のうち3分の1が留年・休学者で、私大では半分以上を占める大学も散見される。
既卒も含めた国試全体の合格率は、90%前後から今や60%台にまで落ち込んでいる。私大の場合、新卒合格率が70%に満たないと、助成金の一部が交付されない。日本歯科医師会の柳川忠広副会長は「合格率を下げたくない大学の思惑が、留年の多さにつながっている」と解説する。
 国試対策の予備校関係者によると、秋にある国試の模擬試験で、各大学は何人ぐらい合格できそうか感触をつかむという。「模試の結果から逆算し、合格率が70%ほどになるよう卒業試験で国試の受験生を絞り込むのが、暗黙のルールとなっている」と明かす。
 ただし、留年生が増えるのも大学は嫌がる。国試に受かりにくい学生を抱えることになるからだ。そのため留年を繰り返すと強制退学させる大学も多い。
 文科省は「合格率の低迷や留年の多さは、歯科医師の質の低下を招きかねない」と危機感を抱く。文科省は過去3年間で2年以上、新卒合格率が全国平均未満だった大学には、入学定員の見直しを促している。昨春は29大学のうち9大学が指摘された。
 大学側は、受験生の評判だけでなく、定員削減を迫る文科省の圧力からも合格率を意識せざるを得ない。歯学教育に関する文科省の有識者会議元委員の山口育子氏は「定員削減は収入に響くので大学としては避けたい。合格見込みのない学生を受験させないようにして、合格率を高く見せているのが現状だ」と話す。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/245475

ちゃっかり別の事もバラされてます

日大松戸はここ数年、国試は受験できないが卒業はできる、というシステムでずっと裏から学生をある程度卒業させていました。これは、前回朝日大学が週刊文春に文春砲を食らった内容と一致します。
実は今年、日大松戸は裏から卒業させるのをやめた、という話は聞いていましたので、文春砲の対象外で良かったですね、と前回のnoteの最後に書いたらこんな感じで東京新聞にリークされてしまいました。
まあ、裏から出さないのであれば、その人数を留年か除籍で処理するしかありませんので、留年が増えるのは当然といえば当然です。

殆どの私立歯学部がすねに傷があります

しかし、裏から卒業させても叩かれて、留年させても叩かれるのであれば私立歯学部は八方塞がりの状態です。
実は日大松戸の昨年度の6年生の留年率、留年者数は私立歯学部でトップではありません。つまり、日大松戸よりも深刻な状況の大学はまだほかにあります。
学生の問題で、すねに傷がない歯学部なんて東京歯科と昭和ぐらいでしょう。愛知学院大学は6年生をほぼ全員卒業させていますが、その分合格率が悪くて入学者数を集めるのに苦戦していますし、6年生以外の留年率がかなり高いです。

愛知学院や鶴見大学の入学者数をみていると、やはり、国家試験の合格率は入学者数に影響するのは間違いありません。
まあ日大松戸の場合、こんなに国試の成績が悪いのに定員を115名から128名に増やしたりしてるから、余計に入学者数が気になってしまうのではないでしょうか?正直、学費がもっとほしいから入学者数増やすけど、国試合格は保証できません、と言ってるとしか思えませんからね。

国家試験の合格者数が固定されている以上、この状況は当面変わりません

多くの私立歯学部では受験者数が減少し、定員を確保することさえ難しい大学が全体の半分程度にまで及びます。定員を削減すればよい、と簡単に言う人がいますが、定員を減らせば人件費をある程度削減しないといけなくなります。すでに多くの大学では講座再編という名のもとで教員の数を以前よりもかなり減らしてます。そして、歯学部は附属病院を有しており、教員が診療していますし、衛生士や技工士など多くの人材を雇用していますが、さらなる削減で病院機能にも影響が出ています。これ以上の定員削減は歯学部はもちろん附属病院の大幅なスケールダウンに繋がるでしょう。特に医学部を有しない単科大学は厳しいでしょう。

国家試験の合格者数が2000人前後で固定されている以上、週刊誌で叩かれている状態が改善する事はありません。定員削減によるスケールダウンが受け入れられないのであれば、現実的に改善する可能性があるのは歯学部が数校廃部になることだけでしょう。

文科省や厚労省の話が最後の方で出てきます。歯科医師過剰問題はかなり前から指摘されていました。たいした手を打たなかったわりに、自分達は責任がない的な姿勢が腹立たしいですね。どうせ、大学側が勝手に廃部を決めるのを待ってるだけでしょう。相手が勝手に顔を上げるのを待ちながらジワジワと指導はする、というお役所仕事、お疲れ様です。

次はどこが告発されるんでしょうか?

前述しましたが、殆どの私立歯学部はすねに傷がありますので、どこがやられても不思議ではないです。ただ、こういった告発は本当に有効なんでしょうか?大学をいくら訴えても、国家試験を相対評価にして2000人しか合格させない国がいる以上、状況は変わりません。
また、文春砲や今回のリークは主に元学生(と親)が行っている可能性が高いと思われますが、国家試験が相対評価であり2000人しか合格できない事、留年率がかなり高く、リスクが非常に高い学部であることを理解して入学したはずなのに、ドロップアウトさせられたらリークするのは筋違いではないかと思わざるを得ません。漫然と歯学部に在籍して人生を消耗させたのは、自分自身のせいではないんでしょうか?







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