【独学】気象予報士試験合格までの過程を全公開。
こんにちは!ちーがくんと申します。
先日行われた第60回の気象予報士試験に合格することができました。
初めましての方も多いと思いますので、簡単に自己紹介をさせていただきます。
大学で地球科学を専攻する大学生です。地学教育の空洞化を食い止めるために、モルモット達と図解で地学を学ぶブログ「ちーがくんと地学の未来を考える」やX(旧Twitter)等のSNSで情報発信をしています。
今回の記事では、気象予報士合格までの全過程を振り返って書いていこうと思います。
私自身スクール等には通わずに独学で合格できたものの、振り返ると「こうすればよかったのに…!」と反省するところが多くあります。
これから気象予報士試験を受験される方の参考になればと思い、合格までの道筋や反省点などを記事に残そうと思います。
気象予報士試験を受験したきっかけ
気象予報士試験を受験したのは、大きくわけて2つの理由があります。
理由の1つ目はシンプルに天気が好き、ということです。ちーがくんとして活動していることからも分かるように、地学全般が好きなのですが、その中でも最近特にハマっているのが気象分野です。
「同じ空は二度と訪れない」というように、空は毎日違った模様を見せてくれます。知れば知るほどもっと知りたくなる、空を見るだけで楽しくなっちゃう気象がすごく好きです。
理由の2つ目は、ちーがくんの活動を通じて自分の目標を達成するうえで、気象予報士の資格が必要不可欠であると感じているからです。
私自身、ちーがくんとして活動している理由として「災害で悲しむ人を1人でも多く減らしたい」という思いがあります。
中でも近年、毎年のように被害が深刻化しているのが、線状降水帯をはじめとする気象災害です。これらの気象災害は地球温暖化の影響を受けて発生数が増加、今後もその被害がますます増加していくと考えられています。
こういった被害を情報発信等の活動で減らしていくためにも、責任感のある情報発信が必要不可欠です。こういった私の目標を達成するために、気象予報士という資格が必要不可欠であると考えていました。
気象予報士試験の受験内容
気象予報士試験についてよく知らない!という方もいらっしゃると思うので、ざっと試験内容を説明します。(既にご存知の方は読み飛ばしていただいて構いません。)
気象予報士は「一般知識(学科一般)」「専門知識(学科専門)」「実技」3つの試験から構成されています。
このうち一般知識と専門知識はマークシート形式、実技は記述式の試験です。一般知識と専門知識は、1度合格すれば1年間(2回分の試験)は免除となります。
一般と専門、どちらも合格しないと実技が採点されないので「実技だけ先に合格」のようなことは起こりません。
これまでの受験歴
私は5回目の受験で合格を手にすることができました。合格までの道のりを以下に示します。
全体を通して使用した参考書
気象予報士試験全体を通して使用したものは「気象予報士かんたん合格テキスト(一般・専門・実技)」と「めざてんサイト」のみです。
気象予報士「気象予報士かんたん合格テキスト」は定番の「一般気象学」等と比べて初学者にも分かりやすく解説されています。スクールのように質問環境が整っていない独学では、かんたん合格テキストのように初学者向けの参考書をうまく活用するのが大切だと思います。
章ごとに付属している問題集を何度も繰り返し解き、分からないところは本文を読み返す、といった流れで繰り返すことで、基礎を固めることができました。
めざてんサイトは独学をする上では必須です。おすすめポイントは山ほどあるのですが、なんといっても過去問が揃った「めざてんメンバーズルーム」とめざメール(めざてんメール講座)です。
めざてんサイトの帯にもあるように「気象予報士を受験するなら過去問研究が一番!」
めざてんメンバーズルームには、一般・専門・実技全て10年分以上の過去問が解説付きで揃っています。また、めざメール(めざてんメール講座)では気象予報士に必要な知識や過去問の解説が動画講座などで学ぶことができます。
どの科目もめざてんサイトを通した過去問解説なしには合格できませんでした。サイトを運営されている北上さんには感謝してもし切れません。
具体的な勉強の流れ
ここからは各回で具体的にどのような勉強をしていたかということをざっと振り返ります。振り返った時に反省点も多いので、その点も含めて書いていきます。
第56回試験(一般✕ 専門✕)
初受験となったのは大学2年生の夏でした。この頃は大学の授業が詰まっていた上に所属していた運動部の練習もあり、思うように時間が取れないことは分かっていました。
しかし大学でちょうど気象関係の授業が始まった時期であったこと、朝ドラで「おかえりモネ」がやっていて気象予報士ブームであったことなどがあり、とりあえずやってみようという気持ちで初受験を迎えました。
「気象予報士かんたん合格テキスト」の一般知識と専門知識を読み、練習問題を繰り返し解き、過去問演習という流れで進めていました。
なお、この試験の直前に悪あがきで実技試験の知識なども入れていました。悪あがきでも勉強するに超したことはなかったと思うのですが、とりあえず一般知識と専門知識のみに集中してもよかったかなと感じました。
第56回の結果は一般知識、専門知識ともに合格レベルまで持っていくことはできませんでしたが、早いうちに少しでも勉強を始められたというのが大きな収穫でした。
第57回試験(一般✕ 専門〇)
大学2年生の1月に実施された第57回試験でも、引き続き授業や部活の練習の合間を縫って勉強する時期が続きました。部活では9月から主将となり、部活にも熱を入れていた時期です。
それでも授業や練習のない年末年始などは初詣以外は自宅に籠り、ひたすら一般専門、実技の過去問を繰り返していました。
モチベーション維持のために、今のちーがくんのX(旧Twitter)アカウントでひっそりと試験までのカウントダウン投稿をしていました。
試験を受けることは家族と一部の友人にしか伝えていなかったため、モチベーションの維持のためにはとても有効でした。
この頃は(今考えれば)まだまだ合格点には程遠い段階ではあったのですが、自分の体感では「もうすぐ合格できる!!」というくらいの気持ちでした。そのためここから一発で全て取りきるくらいの気持ちで一般専門実技を全て満遍なく、(なんなら実技の配分を多めくらいに)勉強してしまっていました。
実際にはまだまた一般専門の知識は足りておらず、ボーダー前後をさまようくらいの点数しか取れていませんでした。にも関わらず「本番は大丈夫だろう」という正常性バイアスに陥っていました。
結果は運良く専門知識は合格できたものの一般知識は不合格となりました。
自分の実力を客観的に正確に見られていれば「まずは一般と専門に集中しよう」となっていたはずでした。学科が免除になれば次回は実技にのみ集中できて合格率をぐっと上げることもできたはず。
これから受験する方は同じようなミスをしないよう、十分に知識がつくまでは一般と専門に集中すべきだと思います。
第58回試験(一般〇 専門免除 実技✕)
第58回試験は、大学3年生の8月に実施されました。大学3年生となり、授業の数が少し減りました。一方運動部では主将を務めていたため、9月の代引き継ぎまで練習を続けました。
この頃は第57回の反省を生かし「確実に一般知識を固めること」を最優先に、かんたん合格テキストと過去問を10回分解き切りました。また、その他の使える時間で実技試験の勉強を繰り返し、時間内には解き切れるくらい、といった到達度でした。
淡々と勉強を進めていた中だったのですが、気象予報士試験の申し込み時にある事に気が付きます。何と引退前の大きな大会と第58回気象予報士試験の時期がほとんど被ってしまっていたのです。
気象予報士試験のあった8月21日(日)の前日まで4泊5日で大会がありました。しかも会場までは新幹線で4時間の距離。当日に被らなかったのは不幸中の幸いでしたが、直前期に詰め込めないのは辛いなぁと感じていました。
そんな状況を打破することができたのが、Ankiと呼ばれるフラッシュカードアプリです。
自分で間違えた問題をカードにして保存しておくと、復習に適切なタイミングで出題してくれるアプリです。
PCと同期することができ、PCで問題を作り、スマホで解くという流れで学習を進めていました。
Ankiは以前から使用していたのですが、この時期から本格的に使用を開始しました。大会があり過去問がほとんど解けない直前1週間の前までに、これまで分からなかった問題をAnkiに入れる、大会中のスキマ時間はAnkiを解くという戦略で、使える時間を最大化しました。
その結果、第58回試験で合格はならなかったものの一般知識を突破することができました。試験前に時間が取れなかった中でも一般をきっちり突破できたのは個人的には大きな収穫でした。
また、余談ですがこの大会は大学の部活で一番勝ち上がることができた大会になりました。遠方で、かつ気象予報士試験前のそわそわ感がありながらだったのですが、部活もここまで続けてきて本当によかったです。
第59回試験(一般免除 専門免除 実技✕)
第59回試験があった大学3年生の1月は、もう部活も引退、授業もほとんどなく、研究室に配属された時期でした。時間も以前より取れ、研究内容も気象に関連した研究を始めた時期。「もうこれは受かるしかない!」という心境でした。
前回までで一般と専門を突破、実技だけに集中することができました。過去問をひたすら解き、前述しためざてんサイトの過去問解説動画などを参照し、足りていない知識や考え方をAnkiに入れる、というものの繰り返しでした。
このめざてんサイトの過去問解説動画の個人的な位置づけは「自分と北上さん(めざてんを運営されている方)の思考の差を埋める」ということでした。
学習中の自分と何年分も過去問解説を出されている北上さんとでは、同じ図を見ても着眼点や思考プロセスに差があります。その差こそ自分が本番までに埋めなくてはいけないこと、足りていない部分ということになります。
この差に気が付き、埋めるという作業には過去問解説動画が本当に役に立ちました。たとえ出した回答が北上さんや模範解答と同じでも、着眼点が違ったのにたまたま当たってしまったのか、同じ思考プロセスを踏めているのかの判別に動画解説がとても役に立ちました。
逆に北上さん自身も「これは分からなかったです。本番だったら空欄にして先に行ってます。」などと本音で言って下さっていたのもありがたかったです。解説を出すほどの方でもそういうお手上げな問題がある、できない問題があっても落ち込まなくていいんだと感じることができました。
解いた過去問はこの頃からNotionのテーブルでまとめ、日付や点数、かかった時間や優先度などをまとめていました。
第59回を受験した時点で過去問8回分を2-3周して、ボーダー前後をうろうろするような点数。運がよければ受かるかな、くらいの到達度でした。
試験は実技だけだったので体力的にもこれまでと比べて余裕があり、大きな事故もなく手応えもまずまず、これはいけたかななんて甘い考えもありましたが、現実はそう甘くなく合格を勝ち取ることはできませんでした。
第60回試験(一般免除 専門〇 実技〇)
第60回試験は大学4年生の8月。時間は昨年よりは取れているとはいえ、今回は大学院入試の2週間後。直前期をあてにすると院試と重なり痛い目にあうと考え、早め早めにブーストをかけ始めました。
とはいえこの頃はちーがくんとしての発信が軌道に乗ってきた時期でもあり、ブログ更新100日チャレンジなんかもしていて、今思えば大丈夫か?と思ってしまいます。(落ちてたらどうするんや!)
とはいえずっと気象予報士試験のことばかりでも息切れしていたと思うので、アウトプットを兼ねた発信はいい息抜きのような感じになっていました。
やることはひたすら実技の過去問演習とAnki、そして前回で免除が終わった専門知識です。専門知識は一部実技と重なる知識があるものの、専門知識でしか問われない知識も多く、抜けていたところを補う作業でした。
この頃にはかなり過去問も繰り返し解いたことがある問題が増え、作問者の意図や答えるべきポイントが手に取るように分かるようになっていました。
前回までは理解していなかった気づきもたくさんあり「前回中途半端に運で合格しなくてよかった」と心から思えました。
最後の試験ではAnkiの使い方を意識して、正答できなかった作図問題などで足りていなかった着眼点をカードにしてまとめました。
こうすることで、次回同じような作図が出たときに「このポイントを見落としていないか?」を試験中に自問自答できるようになりました。
また、過去問の模範解答が多用していて自分が使えていない表現もAnkiに入れていきました。
これは人によっては不要だと考える人もいるかもしれません。
もちろん自己流の表現でも、採点者にその意図が伝われば正解とはなります。しかし、採点基準が公開されていない以上どこまでを正答としてくれるかは分かりません。
加えて自己流の表現で必要以上に文字数を使ってしまえば、本来書かなくてはいけない重要な情報を書きそびれてしまうということにもつながりかねません。こういった可能性を排除するという意味でも、模範解答に近い回答書こうとする努力は少しは必要だと考えます。
そんなこんなで迎えた本番。前日は緊張からかほとんど寝られず、当日は腹痛で試験前後に毎回トイレにダッシュするというハプニングもありつつでしたが、何とか実力を出し切ることができました。
本番では「これ、過去問のままじゃん!」みたいな問題ばかりで、自信をもって答えられた問題が多くありました。気象予報士対策には過去問演習が一番というのは本当だった!というのが確信できた瞬間でもありました。
結果的にこの第60回試験で合格を手にすることができました!🌸
これから気象予報士試験を受ける皆さんへ
ここまで長々と書かれた私の受験歴をお読み頂き、ありがとうございました。
一発で合格したわけでもない、気象予報士試験に合格したばかりの身。これから気象予報士試験を受験される皆さんへ偉そうなアドバイスを送ることはできないのですが、一つだけ私からアドバイスができることがあるとすれば
言い訳をせず、とりあえず申し込む!
ということです。
というのも、私自身が言い訳まみれで気象予報士の受験を先のぼしにしようとしていたからです。
運動部に入っていて時間が取れないのだから、引退してから受けよう。
対策ができていないうちに受験しても受かる気がしないから、準備が出来てから受けよう。
なるべく少ない回数で合格したいから、今はやめておこう。
正直こんなことばかり考えていて、受験は早くても部活引退後でいいかと考えていました。
それに加えて受験料の1万円ちょいはやはり大学生にとって痛い出費。
この1万円を他のものに使いたいという思いも少なからずありました。
それでも意を決して申し込んだこと。いくら時間が取れなくても1万円を無駄にはできないという思いで必死になって勉強したこと。それを繰り返していたら、5回目ということで少し時間はかかりましたが、合格を手にすることがてきました。
もし言い訳の通り部活を引退してから勉強を始めていたら、間違いなく今頃合格は手にしていません。またその時もなにか言い訳を見つけて先のぼしにしているという可能性も十分にあるでしょう。
まだまだ準備が出来ていないと受験を先送りにしたい気持ちはとてもよく分かります。1万円以上する受験費用がもったいないという気持ちも痛いほどよく分かります。
「でも、気象予報士になりたい」
その思いがあるのなら、やろうと思ったその瞬間に申し込みましょう。逃げ道をなくさないと、いつまで経っても始まりません。
この記事を読んでくださった皆さんが気象予報士試験合格を手にされることを心から願っております。
最後に
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
私はブログ「ちーがくんと地学の未来を考える」やX(旧Twitter)等のSNSで、地学教育の空洞化を食い止めるために情報発信を行っています。今後は気象予報士の立場としてもわかりやすく楽しい発信していきます。
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それでは!