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2020年12月の記事一覧

透明カメレオン。

透明カメレオン。

冴えない見た目だけど声だけは魅力的な人気ラジオパーソナリティーの恭太郎は、行きつけのバーでびしょ濡れの美女と出会い、怪しげな計画を手伝う事になってしまう。深夜のバーだけで繋がる特殊な絆と些細な嘘、ラジオ番組の中で語られる虚構、ネガティブな現実を嘘で彩り続ける先にあるものとは、という話。

道尾秀介っぽくないなと思った。
ラジオとバーを題材にしたオシャレな連作ミステリーを期待したけど全然違った。硬派

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福家警部補の挨拶。

福家警部補の挨拶。

本格倒叙形式ミステリー。綿密な計画で完全犯罪を目論む犯人を追い詰めるのは、およそ捜査担当者には見えない小柄でおっとりとした縁なし眼鏡の女刑事だった、という話。シリーズ一作目、全四編を収録。

倒叙ミステリーの生命線は探偵役のキャラクターに掛かってると思うけど、本作の福家警部補のクスりとさせる設定は、コロンボ好きの著者ならではの絶妙な匙加減で描かれている。コミカルだけどどこか掴み所がないので、むしろ

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鍵のかかった部屋-5つの密室-。

鍵のかかった部屋-5つの密室-。

トリックは「部屋の外から糸を使って鍵をかけて作られた密室」というユニークな縛りのアンソロジー。前代未聞の実験的な企画挑むのは若手作家四人とあの島田荘司が名探偵・御手洗潔を携えて参戦。

最初から種明かしされてるしトリック自体もチープなので逆にそれでもストーリーを成立させる為のあれこれに作者の手腕が掛かってくる。五者五様のテクニック。ありそうでなかったでは片付けられない実はこれ凄いエポックメイキング

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