小金持ちのための惑わされない金融資産形成講座 01 小金持ちとは(20241020修正あり)
最初に、この講座の対象となる「小金持ち」について具体的にしていきたいと思います。
小金持ちを目指す方や小金持ちへのスタートを準備している方(すでに小金持ちの方を含めます)は、関心をもっていただければと幸いです。
「日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模」について、野村総合研究所が2年毎に推計資料を作成しており、金融機関のマーケティングでは、金融資産から富裕層を捉えるにはこの資料の利用が一般的です。(以下、2023年3月1日 株式会社野村総合研究所 ニュースリリースより引用)
野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)
この資料では「純金融資産保有額」を基に、総世帯を5つの階層に分類しています。「純金融資産保有額」は「預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いた」ものです。
ご注意いただきたいのは、個人資産ではなく世帯資産であることです。個人的には居住用不動産対する負債(ローンや家賃)から解放されていることを付け加えたい。住むことに関する負担がなくなるとリスク許容度は極端に上がっていきます。
この資料における5つの階層を資産上位より列挙します。
実際の計数は上の表に記載があります。
5億円以上 超富裕層 (超金持ち)
1億円以上5億円未満 富裕層 (金持ち)
5,000万円以上1億円未満 準富裕層 (準金持ち)
3,000万円以上5,000万円未満 アッパーマス層 (金持ち予備軍)
3,000万円未満 マス層 (その他大勢)
※()内は、筆者による下世話な言い換えです。
準富裕層より上位の純金融資産が5,000万円以上の層を合計すると、世帯構成比で8.8% 資産構成比で38.1%になります。10%に満たない世帯層が40%弱の金融資産を保有しており、金融資産の寡占状況が認識できると思います。
閾値や階層の呼び方に異論を感じるかもしれませんが、これをベースとするのが標準的とお考え下さい。私自身、過去にキャップジェミニ等の資料も参考にしたことはありますが、継続的に公表されていることもあり、この資料をベースにします。準富裕層をマス富裕層と呼ぶケースもあります。
この講座で対象とする「小金持ち」は
世帯の「純金融資産保有額」を5,000万円以上2億円(ないし3億円)
とします。「小金持ち」を「ぷち富裕層」との言い換えもいいと思います。
この金額帯に設定するのは次の理由からです。
○地域金融機関等では、預入れ資産5,000万円以上の顧客であれば、
かなり大口の優良顧客(Sランク)としての取扱いとなる。
しかし、地域金融機関等での対応力に限界はある。
○メガバンクや大手証券では、2~3億円以上の顧客に対しては、
ウェルスマネジメント専担者やプライベート・バンカーが担当として
配置されるが、水準残高に満たない場合は一般担当の扱いとなりやすい。
相応の資産形成が進み、金融機関取引において相応のプライオリティを受けることを期待したいのに、金融機関サイドからは良質の担当者の配備が追い付かない資産層といえます。
顧客側の意識では自分は既に「優良顧客」と思い始めても、金融機関の対応が一般客扱いのままであり、不安・不満が高まりやすい顧客層です。この層のケアを丁寧に実施できれば、金融機関にとって上質な顧客に成長する素養は十分にあると考えます。
「小金持ち」は真の「金持ち」「大金持ち」へ成長していくための一つのステップ(通過点)です。まずは「小金持ち」を目指しましょう。
この資産層を目指す方々に対して、プライオリティを感じながら資産形成の楽しさを味わっていただきたいと考え、講座を進めていきます。
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