PremiereRush
noteの投稿企画でプレミア・ラッシュのレビューというのがあったので、ちょっと参加してみます。
ちなみにちょっと長いですよ。
先日、声優事務所からの依頼で講義をしてきました。
主な内容は収録現場における心構えであったり、技術的なものでしたが、
なぜか編集の仕方を教えて欲しいとも言われていました。
自分の本業はWEB用の広告映像を制作することですので、もちろん編集のことはよく知っています。
声優さんがなぜ?と思ったので聞いてみると、
「mysta」というアプリを使って動画を投稿し、ランキングを競うそうで、
声優タレントとして成功する(もしくは成功を目指す)為に欠かせないツールとのことでした。
mystaのことはよく知りませんが、編集のことであればと引き受けましたが、皆はスマホで編集をしているとのこと。
自分は正直言ってスマホで編集は、ほぼ、したことがありません。
以前アプリを手に入れて使ってみましたが、正直言って使える代物ではありませんでした。カット編集して音楽つける程度のものでも使い勝手が悪く、機能も全く足りていません。これは実は以前のスマホアプリ版のプレミアの話なのですが、ほんと申し訳ないけど、編集する気も失せてしまってそれからスマホで編集はやりたくないなと思ってました。
プレミア自体は20年ほど前から使っています。
当時MacのG3というマシンでノンリニア編集を始めたばかりで、テープから直接映像をHDDに取り込んだり、タイムラインにクリップを配置したりカットしたり、グレーディングやテロッパーまで備えている夢のような環境を手に入れて、とにかく編集をしまくったことを覚えています。それまでのリニア編集はデッキを直接操作するので非常に時間はかかるし、テロッパーなども専用の機械を用意していました。
途中、プレミアがMacから撤退してしまった時期があってファイナルカットプロへ移行したこともありましたが、2011年にファイナルカットが7からXにアップデートしたのを機に再びプレミアへと戻ってきました。インターフェースや機能が大幅に変更になってしまって戸惑ってしまった結果です。
プレミアへ戻ってきて、数年のブランクからファイナルカットとの使い方の違いなどでストレスに感じることもありましたが、今では使いにくさを感じることはありません。むしろ他のアドビ製品との連携という点では、以前よりはるかに使いやすい環境になったと感じています。
ディレクションをして編集や映像加工も自前でやっていますので、現在はアドビCCで主にプレミアやアフターエフェクト、イラレやフォトショがメインツールとなっています。
今回の依頼が「スマホで編集」をテーマにしていたので、早速、プレミア・ラッシュをダウンロードしてみました。
率直な感想を言うと、、
すんっげー使いやすい!!
まずタイムラインですが、プレミアプロと同様にビデオトラックもオーディオトラックも配置されていて、レイヤーも自由に増やせるようです。ビデオクリップも音楽や画像を簡単に読み込んで配置できるし、タイムラインの拡大やクリップの移動、カットやトリミングも指先を使って直感的にこなせます。
しかも各クリップのエフェクトコントロールもちゃんと格納されていて、拡大縮小も位置や不透明度も簡単に変更できます。ここでクロップも調整できるので、例えばピクチャーインピクチャーも簡単に作れるでしょう。
それにグレーディング機能も充実していて、いくつかのプリセットも用意されているし、色温度や色かぶりの補正、フィルム感の再現やビネット、ブラーも細かく調整できます。
それと映像作りで見落としがちな要素として、音声問題があります。
映像作りにおいて音声というのは非常に重要で、音声収録の出来次第で作品がチープに感じたり、また音声ノイズなどで編集時に泣かされた経験がある方がほとんどでしょう。映像制作あるあるです。しかし、プレミア・ラッシュでは音声クリップの調整も簡単にできます。自動ボリュームはもちろん、ノイズの除去や人間の声を強調させたりすることも簡単にできました。
もちろん、プレミアプロのようにエフェクトがたくさん入っている訳ではないので、同等にというわけにはいきません。でも最低限のトランジションもタイトラーもあるし、正直言って、普段の作業でもトランジションやテロップのデザインなんて使うものは決まってくるので、機能としては十分だなと思います。ほんとに凝ったデザインは普段はフォトショやアフターエフェクトで作りますしね。
そして今回声優さんたちが喜んでいたのは、ボイスオーバーが収録できることです。プレミアプロでは当然マシンのマイクなどでボイスオーバー機能を使って仮ナレーションを録りますけど、それを自分のスマホで完結できるというのはナイスです。特に声優さんたちには必須と言える機能でしょう。
とにかくこのプレミア・ラッシュは操作が直感的でストレスフリー。じゃあ機能は足りないか?と言われれば、必要なものを最低限に、痒いところに手が届いているものばかりと言えます。
それにスマホならではの機能としては、編集中にスマホのカメラを使って撮影して取り込めるという、これならもう、ビギナーからプロまで、簡単にスマホで映像制作が完結できそうですし、編集スピードが格段に上がるでしょう!
普段学生たちにプレミアやアフターエフェクトの使い方や応用について講義していますが、来期からは、今時の編集手法としてこのプレミア・ラッシュを授業に取り入れようと思いましたよ。ほんと。
編集アプリは進化していました。
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