Pedaltrain Nightlight Distortionはブースターである
突然ですが皆さん、エフェクターは組み合わせて試奏してますか。
今回はPedaltrain Nightlight Distortion "First Edition"のレビューとなります。
2022年10月にペダルボードのメーカーであるPedaltrainから発売された初のエフェクターで、徹底的な検品や、1年の歳月をかけてプレイヤーからのフィードバックを募り改良を重ねるなど"ボードのついで"ではないと言わせる本気度が伺える一台。
しかし世界で100台のみの生産かつ日本国内で30台のみが入荷した"First Edition"がいまも複数売れ残っていることなど、エフェクターメーカーではないことが災いしてか、メーカーの知名度や熱量に対していまいち話題にならなかった印象です。では本国ではどうかというと、First Editionは公式では終売しておりebayやReverbなど観測できる範囲では新品のFirst Editionはやたら高値が付けられている一台を除いて出品されていないようでした。国内ではセール食らってるくらいなので日本よりは多少売れていそうです。
サウンドはどうかと言うと、個人的には現在ボードから外せないものとして一二を争うくらいには重宝しており、謳い文句だけではなく実用性もしっかり高いペダルだと思っています。ではなぜ売れ行きが微妙なのかと言うと、通常の試奏では魅力が分からないからという説を推します。
組み合わせないと分からない魅力
皆さん店頭で試奏する際はどのようにしていますか。
基本的にはOverdriveやDistortionは単体でクリーン~クランチのアンプに挿し、店員さんもそのようにセッティングしてくれると思います。Boosterや空間系でない限り組み合わせて試奏することは少ないのではないでしょうか。
ええ、お察しの通り、Nightlight Distortionは"Distortion"と書いてあるので単体で使えるものだと考えるのが普通でしょう。間違いではありません。実際歪み量で言えば単体でもDistortionまで持っていけるペダルです。しかし単体で試奏してみたプレイヤーはなんかあと一歩歪みきらなくね…?的な感想を抱きます。結果としてあんまり売れてないんですね。ちなみにここまで全部妄想です。
ということでこのペダルの真価を知るには組み合わせが重要。
結論としては、Nightlight Distortionはメイン歪みの後段ブースターとして使う場合に真価を発揮するというのが個人的見解となります。
以下詳細なサウンドについて。
コントロールとサウンド
コントロールはLevel,Tone,Gainとシンプル。
音質がフラットなポイントはLevel10時~11時、Toneが13時~14時くらい。
Gainは最小だと音が細くなりますが8時以降から実用的になり、それ以降はボリュームは変化せず歪み量だけを綺麗に調節できます。
Boosterとして使う場合はLevelを少し上げます。
Toneは14時以降に上げていくとファズ的な毛羽立ちをするようになります。
下の帯域はToneを上げてもあまり減らないので、Trebleに近い挙動です。
Gainは実用的に使える8時の時点で平均的なOverdrive程度はあります。クリーンブースターとしては使えません。8時からMAXまでの変化量は控えめで、MAXにしても一般的なDistortionのMAXほどは歪まず、程よく音の芯とダイナミクスが残ります。
自分の設定はLevel11時半、Toneを14時周辺でギターによって微調整。
Gainは10時~11時くらいで使っています。
音に着せるパワードスーツ
Nightlight Distortionはどの設定でもダイナミクスを殺さないので、前段の音の個性をしっかり生かしたまま歪み量とボトムを追加することができます。入力音をDistortionに進化させるというようなイメージです。
非対称クリッピングによるものなのか、原音とはまた違った音の芯という形で前段の音をスルーしている感覚があります。だからか、クリーンで入力するとGainMAXでもクリーンの周りが毛羽立っていくだけで歪みきっていない感じが出るんですよね。必然的に前で歪ませておく必要があるというか。
国内の商品ページではこのような紹介文が書かれています。
まさにこの内容通り、
前段の音にパワードスーツを着せるペダルという表現が的確でしょう。
これ弾いて最初にこのワードが出てきたやつ天才だろ。
当然パワードスーツを着るなら中身は軍人とかエージェントとかの方がいいわけで、クリーンで入力するっていうのは一般人にパワードスーツを着せてるみたいなもんです。
他にも紹介文には「他のドライブペダルと組み合わせても良い効果が得られます」とか普通にしっかり書いてあるので組み合わせに最適なのはまず間違いないと思います。
これと同時にPedaltrainからOverdriveであるDaylightが発売されていることからも、組み合わせが前提であるのに納得がいきます。
ただし、パワードスーツの中に超人を入れると逆に暴走するかぶっ壊れる可能性があるので、前段は程々の歪みに留めておきましょう。
結論
好きな歪みのキャラクターを保持したままがっつり太くしたい場合、
ローゲインがメインのギタリストかギターボーカルがソロや聴かせたいリフで歪み量を増やしたい場合に最適です。
まぁ歪むのはそこそこ歪むのでBoosterと言っていいのか分かりませんが、少なくともボード内での使い方はBoosterと一緒ですね。
自分はバッキングとリードの一発切り替え装置と呼んでます。
ギターがメインに立つ時に一番気持ちのいいボトム部分が出るよう固定されている感じなので、欲を言えば下の帯域のコントロールができればバッキングのまま歪み量を増やすといった使い方もできたかもとは思います。
ということで今回は「試奏する時は組み合わせるかボードをもってけ!」という話でした。
ちなみに自分は試奏せず購入しました。