中国人が見た日本:日本の警官が語るエピソード(四)~二度人を救い、二度𠮟責される~
人質現場での上司の無知さが心に刻まれたYDさんだが、今となっては笑い話になっている、人命を救った後の同僚2人の扱いがあるという。
ある時、若い同僚が担当する北九州の門司港をパトロールしていると、偶然にも海に落ちて命が危ないという人に出くわした。 若い警察官は海に飛び込み、男性を救出した。 警察署に戻ると、警棒、拳銃、制服が警察官と一緒に「水の中に入ってしまった」ため、交換が必要であり、その損失は小さくなかったため、上司から叱責され、次は頭を使えと言われたそうだ。
その「次」は、すぐにやってきた。偶然にも、数日後、前回救出した同じ場所で、別の人が落水した。 前回とは違い、今回は別の同僚と一緒にパトロールをしていた。 事態は切迫しており、2人はすぐに警察官の装備を外し、制服を脱いでシャツを着たまま海に飛び込み、その人を救出した。 岸に上がると、体を乾かし、制服と警察官の装備を身につけ、互いに笑顔で満足げに署に帰っていった。
その報告を聞いた上司は激怒し、「君たち2人は人を助けるために水の中に入り、警棒と銃を置いていった。もし装備が紛失したら、全国ニュースになってしまうだろう」と厳しく叱責をした。言い終わると、上司は若い警察官をさらに激しく叱った。 このとき、かわいそうに、その若い警察官は二度目の𠮟責があるとは考えていなかったであろう。
話の最後に、YDさんは笑いをこらえきれずに、「理不尽でしょう」と語った。私は興味深く聞き、上司の立場で考えてみた。2人の警官のうち1人は他の人を助けるために海に入り、もう1人は岸辺で警察機材を監視していれば、上司が批判することはなかったのだから、彼の「怒り」は無理からぬことだろうと考えた。もちろん、これは「後付け」であり、救助の現場で「冷静に」考えることはできない。
2度人命を救い、2度叱られた経験が、若い警察官にしっかりと考える機会を与えたから、10数年後、彼が警察署長になったのかもしれない。YDさんがいうには、彼の昇格はとても速かったそうだ。
【出典】https://www.toutiao.com/article/7115397590304342563/?log_from=6bba42e505423_1665046976174
【翻訳】松本忠之