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中国人が見た日本:小倉で飲む(追記)~店主の優れた職人技がリピーターを呼ぶ店

乃木さんの俵屋はここに開店して7、8年前になるが、入店前に店の外観を見ると、古い感じはしない。店主は以前、あるホテルで三十年以上にわたりコックをしており、料理は繊細かつ鮮やかで、リピーターが多い。TTさんも40年以上にわたって通う、常連の一人である。

TT氏はかつてトヨタ自動車に勤務し、営業担当として3,000台以上の実績を上げ、同社から2度の表彰を受けるなど、業界では伝説的な存在であった。

しかし、この1年間、TTさんは俵屋に足を運んでいない。 1年前、5、6歳年下の奥さんが原因不明の病気で急逝し、TTさんは大変なショックを受けた。「聡明で、おしとやかで、頭の回転が速い妻がいたからこそ、自分は成功できた」と涙ながらに語った。 4、5日の闘病生活で亡くなられたというのも、奥様の一貫したスタイルが反映されていると思った。

人生とはかくも無常だが、それでも酒を飲み続ける。TTさんと話しているとき、ときどき顔を上げると、トイレの戸柱に「本醸造酒 辛丹波 使用店」と書かれた木の看板があるのに気づいた。 中国語の草書体で書かれた 「辛丹波」という文字があり、「辛丹波」はお店の共同ブランドなのかと尋ねようとしたら、知らない近所のお客さんが熱心に「辛丹波」について教えてくれた。 「辛丹波」は最高峰とはいえず、日本酒なら「長兵衛」(大吟醸)が最高だという。

確かにラベルを見ると、新丹波が950円なのに対し、長兵衛は1,750円と、ほぼ倍の値段になっている。 しかし、人それぞれであり、価格が必ずしもセンスの良し悪しを示すものではない。 少し酔っていた隣の席の男性が、そんな説明をしてくれた。

11時近くになって、飲食も十分になった。客は散り散りになり、私とTT氏、そして店主の夫婦だけになった。 ある大学で勉強しているアルバイトの学生2人も、ずいぶん前にあがっていた。 この夜の小倉空は、雨が上がり、雲が月を追いかけ、流れ星が通り過ぎた。 モノレールも終電だ。 良い夢は、眠りにつくまでもなく、その車内ですでに始まっていた…(了)

【出典】https://www.toutiao.com/article/7109370327305650688/?log_from=a2ead39739a2c8_1661405194283
【翻訳】松本忠之

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