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行け、勇んで
9月某日 @渋谷ユーロライブ
・小松海佑
・破壊ありがとう
・ミカミ
・豆鉄砲
・コダマペンギン
・喫茶ムーン
・プノまろ
・涼風
渋谷へ行くのはだるい。
どの道もまっすぐ歩けないほどの人混みに、人と話す時に大声になるくらいの騒音。交差点は360℃どこを見てもデジタルサイネージで目がチカチカする。さっさと会場へ向かおうと道玄坂を歩き出したら、その少し先が、暗闇だった。東急百貨店本店が建物ごとなくなっていたのだ。
解体されたことも知らなかったくらい、渋谷に来ていなかった。
左右にはビカビカに光るネオンと、黒く塗りつぶされたような闇。
対比がおもしろい景色だったが、レコードショップとラブホテルの乱立があるのも、その先の嘘みたいに静かな松濤も、奥渋の東電OL殺人事件の現場もあるのが渋谷だ。歴史的にさぐるとおもしろい街なのだと思う。
東急本店跡地には数年後、高層階の複合施設ができるそうだ。
漫談をする小松海佑さんが、呼びたい後輩芸人と行うライブへ行った。
コンビだった銀兵衛をライブで一度見たことがある。その時から、ネタがかなり独特で逸脱していたし、今後はライブシーンで活躍するのだろうなと思っていた矢先の解散は衝撃的だった。しばらく姿を見かけなかったが漫談家?としてまたあらわれて、奇妙だったネタはそれがさらに凝縮しているように思えた。
1本ずつネタをした後、小松さんと各々1組ずつが登場して話す。
小松さんとの関係性や、過去にこのライブで一緒になったなど、パーソナルな話しを聞けるので良い進行だと思った。
・破壊ありがとう
卒業式の帰り、男2、女1で歩いているが、女が転がしている自転車が見えない、傘をさしたのに俺だけ見えてない、と困惑する男1、そんな内容だった。
芸人1年目だというが、やけにこなれ感がある。最近は、年数が若いのにこのレベルのコント!と驚かされるコンビが多い。太めの男の人は元々お笑いライブのスタッフをやってて、小松さんとはステージの手伝いで知り合ったらしい。
・ミカミ
漫才よかった!俺の見たことのないもの見せて欲しい、俺の知らないとこに連れて行ってほしい!の叫び。2人とものってて良いコンディションに見えた。
小松さんとごきぶりが仲良くて、別々のコンビではあったが、マセキのオーディションとかに一緒に出ていたりしていたそうだ。
小松さんより先輩のごきぶりは、芸歴でいうと10年以上あり、ハイスクールマンザイで優勝経験もある。その後コンビを組んでは解散、をくり返し、インターネットの掲示板で魔人と出会い、ミカミを組んで今にいたる。
小松さんはミカミの漫才を、リリカルでポエミーと言う。
魔人が当日ユーロライブへ向かう際、いつもはスーツをバッグへ入れて持ち運ぶそうだが、この日は、芸人のスーツ=刀のようなものだ、としてバッグに入れずそのまま勇んで会場へ来たという。ところがハコの雰囲気があたたかすぎて、まるでめぐりズムのアイマスクを当てられた気分になった、といったようなことを言っていた。
先日クビになったタイタンの作家からは、もったいないからカムバックしたほうが、的なことを言われているそうなので、今後の動向も気になる。
・涼風
誰だったか他の芸人も推しており、YouTubeで見て気になっていた男女コンビ。「至極のオムライス」オムライス食べてたのにいつのまにかチャーハンになっている話。こういう普遍的なネタは、何年たっても楽しめるし、涼風の名刺代わりにもなるような漫才だった。これから楽しみ。
・プノまろ
初めて見た男女コンビの漫才で、くじゃくの顔はめパネルの話しをしていた。独特の雰囲気があって、とても良かったし、また見たいと思った。
小松さんとのトークの際、2人とも髪びしょ濡れで傘をさしてステージに現あらわれた。こういうボケがとても良く、好きだな!と思った。
小松さんがあのネタすきなんだよと言ったら2人が近づいてひそひそ話し出し、やってくれるの?うれしいと喜んでいるのに結局やらなかった。
こういうの良いなと思った。
・豆鉄砲
クイズを出してもいいか、という問いに、俺とお前ってそんな仲だったっけ?何の時間かせぎなの?と始まる漫才。お前のその雑な感じはどうしてそうなったの?メシ?のくだりからさらに盛り上がり、イチウケだったし笑った。
東さんはトークの時も元気に話す。小松さんとは三茶のオリジン弁当で一緒に深夜のバイトをしていた仲だそうだ。
ホセは「日本語でも意味分かんないのに、イギリスじゃ伝わりませんって!」というようなことを言っていた。きっと離れるのがさみしいのだろう。
小松さんは11月ころ、イギリスへ行くのだ。
・喫茶ムーン
初めて見た男女コンビのコント。
野菜直売所で万引きをした女性、生産者に目撃されて「何でもしますから」と謝る。「では僕にエクスタシーを与えて下さい」と言い、丹念に育て上げた野菜が人に盗まれる瞬間を見ると凄く興奮するから、その姿をもっと見せろと言う。
トマトを袋に入れようとすると
「トマトだけは、勘弁してください!」と土下座をし、女性があっすみませんと棚に戻すと
「そこはだめでしょう!ちゃんと盗んでくれないと!」とキレる。演技が上手いのもあり、あまり見かけない設定から話しが広がり、おもしろかった。
・コダマペンギン
引っ越した先の新しい部屋に蚊がいたけど、そのままにしといたんだよ
→そこは殺してから寝ろ!
ごきぶりもでたけど、疲れたから寝ちゃったよ
→殺してから寝ろ!
夜中に起きたら目の前に長い黒髪の女性が出た
→殺してから寝ろ!
声もリアクションも大きく、聞きやすくとっかかりやすい漫才だった。
チャラついた感じの芸人はいなくて、少し恥ずかしそうに小松さんと話す
後輩たちが、ここに呼ばれたことをとても喜んでいて、全員が心底うれしそうだった。
hさんがこんなライブあるよと知らせをくれて、これはそうとう行きたい、即売り切れたらどうしようと心配していたが、会場は満席にはなっていなかったので、これが現実かと驚いた。
行け、勇んでというタイトルは有島武郎の「小さきものへ」から取ったそうで、こういうとこが硬派でかっこいいと思った。
小説を読んで印象深い一行があった。小松さんは東京で活動するには窮屈なのかもしれない。
「前途は遠い。そして暗い。然し恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。」
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最後は時間が押してしまい、さっと終了した。
その後予定していたライブ「笑いの現象学」を見るため新宿へ向かったが、会場へ着いたらちょうど終わってしまったところだった。