【神里優希】ミュージカル「弥生、三月 -君を愛した30年-」 SPインタビュー
ドラマ「となりのチカラ」「家政婦のミタ」「過保護のカホコ」など数々の大ヒット作品を手掛ける脚本家・遊川和彦が脚本・監督を務め、2020年3月に公開された映画「弥生、三月 –君を愛した30年-」。二人の男女の30年間を、各年の3月の31日間だけで描き出す名作が、この春ミュージカルとして蘇る。
主人公・山田太郎の息子・あゆむ役、そして作品全体のストーリーテラーを担う神里優希に、本作にかける意気込みを伺った。
【interview】
台本を拝読しましたが、神里さんはあゆむ役だけでなく、主人公たちの時間の流れを見守り観客に伝えるような役回りも担っているんですね。
神里:原作の映画を観る限り、僕はあゆむ役として最後の方だけの登場なのかなと思っていたんですが、ストーリーテラーという重要な役割もあるんです。しかも僕が歌う歌でお話を進めていくような形になるので、太郎と弥生、サクラが紡いでゆくそれぞれの〝3月〟という時を、お客様にしっかりと伝えていければなと思っております。
神里さんの歌から物語が始まるような印象もありますね。
神里:そうなんです。30年もの年月を、僕がストーリーテラーとして進めていかなければならないので、すごくプレッシャーも感じています。
物語を俯瞰で見ているようなポジションなのかと思うのですが、台本を読んでまずどのようなことを感じられましたか?
神里:このストーリーが、歌とダンスとどのような形で融合し、表現されていくんだろう?って、本当に楽しみになりました。それに、30年という時間を一つの作品で描くことってなかなかないじゃないですか。1年1年の月日を、お客様と一緒に進めていきながら、しっかりとこの物語に引き込められたらいいなと思いました。
今作はピアノの生演奏で歌われるオリジナルミュージカルです。神里さんはこれまで数々のミュージカル作品に出演されてきましたが、このような形式は初めてですか?
神里:そうですね。昨年出演させていただいたミュージカル『グリース』も生演奏だったんですが、生演奏でのミュージカル作品自体まだあまり経験が無くて。しかも今回はピアノ一本ということで、また新しい挑戦をさせていただけるのはすごくありがたいことですし、もっと自分を高めて稽古も本番も挑んでいければと思っています。
生演奏だと、回ごとにテンポや強弱、お互いの呼吸なども変わっていきそうですね。
神里:ベースみたいなものは多分稽古で作っていくと思うのですが、やっぱり日々進化していくでしょうし、それが舞台の良さだったりもすると思うので、その変化を楽しんでいきたいですね。
本作ではキャラクターの繊細な感情を表現する上で、ダンスも重要な要素の一つになりそうです。
神里:そうなんです。コンテンポラリー的な要素もどんどん入ってきていて、なかなか経験したことない振付なので新鮮です。気持ちを表現するようなダンスがたくさんありますね。『グリース』みたいにアップテンポなダンスとはまた違った感じです。
『グリース』全49公演の完走、改めておめでとうございます。神里さんにとっても挑戦の多い作品だったのではと思うのですが、公演を通してご自身の変化などはありましたか?
神里:『グリース』はミュージカルの猛者がいっぱいいたので(笑)、最初は本当に身が縮む思いだったんですけど、やっぱり途中で「リスペクトしすぎると逆に良くないな」と、どんどん自分らしくやっていこうという風に思いました。今回も素敵な演者の方が揃っていますし、出演者の人数も少ないので負けないように心を強く持って演じていきたいです。
『グリース』でご一緒だった田村芽実さんも今作に結城弥生役で出演。再共演となりますね。
神里:めいめい(田村)は『グリース』の稽古で会った時からすごくプロフェッショナルな女優さんだなと思っていました。役を演じる、作り上げることに妥協が無いんです。本番が始まってからも、稽古で作ったベースはもちろんありつつ、公演を通じて更に役を高めていく。そんな姿勢はすごくリスペクトしています。また共演できて、しかも前回より絡みも増えると思うので、本当に楽しみです。
ちなみに『グリース』では、回を重ねるごとにどんどんアドリブが増えていったというお話も耳にしました。
神里:そうなんです。ドゥーディーを演じていた内海啓貴くんが日々アドリブを入れてきて(笑)。日替わりアドリブも面白かったですし、本当にエネルギー溢れる舞台でした。
不良グループ〝T-Birds〟の5人も含め、同年代の皆さんが揃うと特別なエネルギーがありますよね。
神里:『テニミュ』などでもそうでしたが、ああいう感覚は久々でした。しかも前から知っている人もたくさんいたので〝ゼロからのスタート〟といった感じでもなく、稽古場や楽屋で話している雰囲気のまま舞台上でもできたので、すごくやりやすかったです。
それでいて(三浦)宏規とか、『テニミュ』の頃なんてまだ10代で幼いイメージだったのが、今回共演して「すごく大人になったな」って。なんか上から目線になっちゃうかもしれないですけど、真ん中に立つにふさわしい素敵な男性になってきているなって感じました。
近年の神里さんはハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」、舞台「錆色のアーマ」、舞台『モブサイコ100』など2.5次元作品への出演も相次ぐ印象です。2.5次元作品のような、すでにイメージの出来上がっているキャラクターを演じるのと、今回のあゆむのようなオリジナルの役を演じるのでは何か違いはありますか?
神里:やっぱり2.5次元だと、先にお客様に知られている情報がたくさんあるじゃないですか。「この役はこうでなければいけない」とかあったりすると思うんですけど、でもそれを僕ら生身の人間が演じる〝良さ〟みたいなものを2.5次元では探しながらやっています。難しいですけど、色々な制約がある中で、その役の中でできる〝ギリギリはみ出ないライン〟を狙うというか。それが2.5次元で自分たちが演じる〝意味〟なのかなと思います。
神里さんが演じることで、神里さんならではのキャラクター像を作ってゆく。
神里:そうですね。もしかしたら「このキャラクターはこういうことはしないでしょ?」みたいなことを言われてしまうかもしれないんですけど、でもその役を演じている僕らは人間で。一人の人間として考えたら「しないこと」って多分そんなに無いんじゃないかと思うんです。役のイメージにとらわれすぎて縮こまってしまうのは違うと思うので、2.5を演じるときは攻める姿勢を忘れずにやっています。
ありがとうございます。最後に、ミュージカル「弥生、三月 -君を愛した30年-」の公演を楽しみにしている皆様に一言頂けますか?
神里:今回、太郎の息子という役と共に、ストーリーテラーとしてセリフと歌で物語を進めていかなければならないのですが、しっかりと皆様に届くように、歌、お芝居をできればと思っております。ダンスも気持ちを込めて踊りたいですし、そんな姿をぜひ劇場で観ていただけると嬉しいです。
ありがたいことに最近、自分のやりたかったミュージカルの世界に関わらせていただける機会が本当に増えてきて。周りの方々に感謝を忘れずに、舞台に立てる感謝を忘れずに、歌もダンスもお芝居も、もっともっと磨いていきたいです。
【information】
ミュージカル「弥生、三月 -君を愛した30年-」
【present】
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※当選者にはTwitterのDMにてご連絡を差し上げます
※応募締切:2022年5月7日(土)23:59まで
テキスト・撮影:田代大樹
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