【映画に出てきたモンを食う】第72回「タバコ」(『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』より)

 その週に見た映画。そこに出てきたメニューを食べる。
 そういう趣味の報告。
 今週は『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』より、「タバコ」でした(アーサー、なんか食えよ)。

 えー、標準語ってぇのと東京の言葉ってのは別物でございまして。こうやって落語ですと、いわゆる江戸弁という方言で語るもんでございます。
例えば蕎麦は食べるではなく、たぐる。弁当は、つかう。タバコは呑む。ゴミはうっちゃる。真っ直ぐ行って突き当りを左は「まっつぐへぇってどんつきをしだり」となります。
 吸うではなく呑むタバコではございますが、庶民に一般的だったのはキセルというものでございました。先っぽで葉を燻しまして、それをつぅーっと管を通して嗜むわけでございます。
 最近じゃあSuicaの登場でめっきり聞かなくなりましたが、昔の電車ではキセルと呼ばれる、まぁ言ってしまえば少額詐欺とでもいいましょうか。一番安い切符で改札を通り、定期券で出ればすこぉしばかり運賃を誤魔化せるってわけですな。
 頭と吸い口以外、間を空っぽだってことで「キセル」なんて俗称がついておりました。
 人間にもまぁ、そういう中がからっぽになるときというのがございまして(ここで羽織を脱ぐ)

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