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【映画に出てきたモンを食う】第66回「ラザニア」(『きみの色』より)

 その週に見た映画。そこに出てきたメニューを食べる。
 そういう趣味の報告。
 今週は『きみの色』より、「ラザーニャ」でした。

 個人的には「ラザニア」よりも「ラザーニャ」と呼ぶ方がしっくりくるんですよね。なんかラザニアって「ラザ」と「ニア」で音として分割されちゃうじゃない? ラザーニャって言った方がひとつの料理としてまとまりが良い感じする。
 で、私ぐらいの年齢だと「ラザニア」には憧れがあって、昔『宇宙船サジタリウス』ってアニメがあってね。放送が1986~7年だったんですけど、主人公のひとりであるラナの好物が「妻の作ったラザニア」だったんですよ。
 当時はイタリアンなんて一般的じゃなくて、家で食べるスパゲッティはミートソースかナポリタン、あとは宅配ピザがようやくちらほら出てきた頃。
 だから「ラザニア」なんて見たことも聞いたことも無い、「妻の作った」っていうぐらいだから家庭料理で、恐らく実在する料理なんだろうなぁ……程度ぐらいしかわかんない。でもとりあえず美味いことだけはハッキリしてる。そりゃあ憧れちゃうよね、今ではこうやって家で簡単に作れるキットもあったりしてカジュアルな食べ物になったけど、それでも憧れと追憶のバフがかかってやたら美味しく感じるんです。

 それで『きみの色』だけど、ブルーのおばあちゃんが作ってたのはラザーニャだけじゃなくて、別の日には大皿いっぱいのお煮しめかな? 筑前煮かな? とにかくたっぷりの煮物を作っていたんですよ。
 ラザーニャも大きめのグラタン皿で作っていて、これ明らかにブルーとおばあちゃんの二人暮らしではオーバーポーションなわけ。ここにね、私はちょっと感動したりしたんです。
 たぶんラザーニャもお煮しめも残るじゃない。それで次の日のお昼に余ったラザーニャはレンチンしたり、煮物も朝ごはんのおかずとか、季節によってはお弁当に入れたりとかしてると思うんですよ。
 つまりこの食卓からは「今日だけ」のものじゃなくて「明日から」の生活も染み出してきている。明日も明後日も日々は続いていくことと、同じような日々でも食べるものは毎日「変化する」ことを同時にあらわしていて。
 それがねぇ、私の『きみの色』評と重なって思えて、すごく良かったです。
 
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