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『未完了域 第1号』頒布結果リザルト【生々しい話と反省 の巻】

 さて、『未完了域 第1号』の頒布結果リザルトの時間だよー! いいんかね? こんな話を赤裸々にしてしまって……。
 正直、銭金の話はあんまり好きじゃあないんですよね。でも、これから「アタイも批評同人誌やりてぇ!」って人が出てきたときにさ、具体的でリアルな数字があったほうが参考になるじゃない?
 で、私は自分の話をするのが大好きだしw 知ってる範囲だと他誌の主宰者に聞いても「いや~、何部刷ったとか、その、ごにょごにょ、アハハ」とか言って誤魔化されてしまうので、どっかで恥知らずが無修正で話すべきかなと思ったわけです。


・で、いきなり印刷代の話ね。

 お願いしたのは「株式会社 栄光」様( https://www.eikou.com/ )の「FEVER!!サンバセット」という、よくわかんないけど「よくある」タイプっぽいやつ(「同人誌の定番で一番人気の高いセットです」って書いたあったから「じゃあそれで」と深く考えずに選んだ)で、いわゆる早割っていうんですか? ちょっとお安いヤツです。
 さて、『未完了域 第1号』は総ページ数(表紙/裏表紙含む)366ページ。こちらを今回は「150部」刷りました。あれよね、初めて出す同人誌で「150部」というのは「止めとけ死ぬぞ!」という数字だと思うんですが、まぁ追々説明していきます。
 
 早割り366ページ150部での印刷代は 142,190円(税・送料含む) でした!
 なかなか震える金額だな。計算めんどいからザックリ14万円で考えればいいかな? これが今回の経費で一番デカいやつですね。

・どのくらい頒布できたの?

 今回は大勢の方にご寄稿いただきました。当然、寄稿者には献本をお渡しするわけです。色々と事情が重なって、今回は寄稿者献本として合計「32部」をお渡ししました。国会図書館に1冊送り、文フリの試し読みコーナーのもアレして。現在、手元には「20部」が残っておりますので
 150-32-2-20=96冊
こういった印刷物には「余部」といって、実際に依頼した刷数よりも多く送られてくるそうです。そんなん確認してる余裕なんてゼロだったので正直わかんないけど……面倒だし+4でいいでしょ。
 ということで 96+4=100部 を頒布した、ということですね。え、すっご……自分でやってて「すごい」とか言うの、だいぶ痛い感じあるけど、私は自画自賛に躊躇が無いタイプなので言います。
 初主宰同人誌で100部だって!!! すっげぇー!!
 
 さて、『未完了域 第1号』は頒布価格を1500円に設定しておりました。ということは 1500×100=150,000円 が売上となります。単純計算なら 売上15万-印刷代14万=プラス1万円。わぁい、今夜は良い酒だしちゃおうかな! ってなるかボケぇ。

・吐くほど売れなかった電子版

 今回、『未完了域』は電子版も同時頒布していて。通常の電子版が1000円、書籍とセットで2000円(つまり書籍版1500+500円)、12/1限定ダウンロード版が500円という価格でした。
 それがどのくらい頒布できたかというと、通常版4件/セット2件/限定版2件合計8冊/総額6000円でございました。
 
 これは後の反省編で詳しく述べますが、完全にマイナス方向で予想外でした!

・結局なんぼ儲かってんねん

 最終的に収支はいかほどか?
 こういうのは何だかんだで「実弾」を数えた方が早かったりするんですよね。して今回の文フリでは頒布に関わるお金は独立して管理しておりました。
 その中身には現在 196,000円 入っております。
 
 つまり 196,000-印刷代140,000=56,000円 わぁい、おいしいお肉が食べれるよ!! ってなるかボケぇ。アホボケカスぅ。

・56,000円からマイナスマイナスマイナス

 そもそも56,000円には、最初からお釣りとして用意していた分が入ってるわけですよね。その内訳は1000円札30枚+500円玉20枚で合計40,000円。 56,000-40,000=粗利は16,000円 ……お、頒布数計算で出た書籍版+10,000円&電子版+6,000円と揃いましたね。これはほぼ間違い無いでしょう。
 
 さてさて。電子版は今回、小さなカードにQRコードでダウンロードURLを記載するという方式を取りました。小さなカードっていうか「名刺印刷」が安くて早かったので、それを流用する形。
 てことは当然その印刷代がかかるわけですね。通常版と限定版はURLが違うので2種類を、そ、それぞれ200枚づつ作りました……両方合わせ8件しか売れてねーぞ!!

手元に残った400枚近い電子書籍版

 いやでも名刺印刷はめちゃくちゃお値打ちで、合計400枚で 5062円(税・送料込み) でした。まぁ5000円計算でいいでしょ。
 16,000-5,000=11,000
 
 掲示用ポスターA2サイズ2枚印刷代 5,700円 残5,300
 
 あぁもう考えたくねぇなぁw 
 交通費+宿泊費で15,000円で マイナス9,300
 献本郵送費5,000円 マイナス14,300
 ディスプレイ用品(主にポスタースタンドとテーブルクロス、あとは100均の諸々)5,000円 マイナス19,300
 文フリ出店料 7,300円 マイナス27,000
 
 
 そしてこれはほとんど「次号も書けよ」という圧をかけるためなんですが
 寄稿者への個人的なお礼 全部で33,000 合計:マイナス60,000円
 
 まぁ他にもなんかあるだろうけど、ちょっともう思い出せねぇや。
 
 ということでトータルリザルト マイナス6万円でした!
 ボーナス出る月だから「たはは……」って笑えるけど、そうじゃなかったらちょっと誰にもナイショで50万の世界でしたわね!!
 
 100冊頒布しても、こうなる。これがリアルだ、覚えとけ!!

・反省編

 一番の読み違いは「もっと電子版が売れると思ってた」ことです。私はもう買う本の9割が電子書籍だし、世間的にも「書籍と電子版が同時に出る」なんて当たり前に近い状況になってるわけで……むしろ「電子版ばっか売れて、書籍の方が残ると困るなぁ」ぐらいのことを、マジのマジで心配してたんですよね。
 
 そんな状態だから、書籍1500円よりも「書籍+電子版セット 2000円」をメインに考えてました。書籍買う人の8割ぐらいはセットでいくだろ、って。そうやって考えると、セットとの差額500円×100冊=50,000円 これを足せばマイナス1万円って結果になるんだから、概ね想定してたのはこの状況なんですよね。
 結果はさっき書いたように2セットだけ! 2%ですよ、2%! ていうかね、最初のうちは買っていく人に「書籍版が1500円ですけど、2000円で電子版とセットになりますけど、どちらにしましょう?」ってセールスしてたんだけど、いやセールスっていうか本当に「ほら、お得でしょ?」って気持ちで案内してたんだけど。ことごとく「いや、本だけでいいです」って苦笑いを発生させるだけになっていて、途中から心折れて案内やめてたもんね(それでも半分以上は声かけてたけど)。
 
 そっかー、文フリに来るひとは、やっぱり「本」が欲しいんだなぁ……まぁね、いまとなっちゃあそっちが正しいってわかる。これは私の完全な間違いだった。今回の頒布で最大のミスはここだったね。
 
 じゃあ電子版やめる? っていうと、次号でも止めないと思う。もちろん売り方とか値段の付け方は変えるけど……止めないのは理由があって。
 第一にいま自分がほぼ電子書籍で買ってるのに、自分では作らないというのが理屈にあわない
 第二に私はこういったイベントに行きたくても行けない時期が長かったから、通販頼りだったのね。だからそういった人のためにも「会場頒布と同日に、同じ内容のものが手に入る」って状況を作っていきたい
 あっ、まだまだ電子書籍版は買えますので、よろしくお願いいたします!!

 第三に文フリは「18歳未満は入場無料」なのね。ということは会場に中高生がいる”かもしれない”。『未完了域』は「批評の裾野を広げる」ことを最大の目的としている以上、そういった若い人に手に取ってもらいたいわけですよ。最初は「年齢確認して18歳未満なら電子版をタダであげる」とかも考えてたんだけど、めちゃくちゃ面倒だし「相手が若いことを確認する」ってたぶん何らかのハラスメントとかに繋がりそうじゃんw だからお金のない若い人でも買えるよう、ワンコイン(500円)で手に入るものを絶対に用意したかった。そのためには原価の低い電子書籍ってスタイルは必要なんですよね。
 ここらへんは「自分で主宰するぞ」って決めたときからやろうと思っていたことで、売り上げとしては失敗だったけど、思想としては成功してると感じてます。方法は変えるけど、そこはブレずにやっていきたいな。
 
 あと「100冊頒布できた!」というのも、ほとんど奇跡みたいな数字だとは実感していて。
 まずめちゃくちゃ良い寄稿者がたくさん協力してくれたこと、これが売れた理由の9割ですよ。文フリって環境だから当たり前なんだけど「〇〇さんの載ってるの、これですよね?」って会話20回以上したもの。つまり「私の力で売れた」わけでは全然無い。そこを勘違いすると死ぬ
 あと「第1号」だからというご祝儀買いもたくさんあったはず。場所も良かったよね「F-02」っていう通路の入口だし、横につよつよ批評サークルが出店してたっていうバフ効果はかなりあったと思う。完全に時の運が味方してくれたけど、次はどうなるか全然わかんない
 
 それに加えて「見本誌を読んで、買ってくれた人」がかなり少ない。まぁこれも当たり前ちゃあ当たり前のことではあるんだけど……そこを加味しても「パッと開いて”面白そう”って思えない誌面」だったということを意味していて、これは圧倒的に私の編集能力が足りてない。技術面のレベルアップは必須だね。
 ただちょっとヒントもあって、見本誌立ち読みで一番お客さんの手が止まったのは「酢水さんのテキスト」なんですよ。手元に『未完了域』がある人は、ちょっとパラパラと流し見して欲しいんだけど、酢水さんのところだけ明らか様子が違うんですよね。ここで「あっ何か面白いことやってるぞ」って感じが出せてる。この事実を次の糧にしていきたい。
 
 そんなところかな。とにかく次号こそは少しでも今回の課題を解消できればな、と思ってます。そのためには皆さんのご寄稿が全てです! よろしくお願いいたします!!  

『未完了域 第2号 特集:フルーツのある生活/サブテーマ:セルフケアの功罪』寄稿募集はこちら。


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