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一週遅れの映画評:『AI崩壊』甘く優しい介護とイルカ

 なるべく毎週月曜日に映画を観て、一週間寝かしてツイキャスで喋る。
 その内容をテキスト化する再利用式note、「一週遅れの映画評」。

 今回は『AI崩壊』です。

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 いやまぁ正直、久々に「金をドブに捨てるようなものって表現あるけど、たぶん本当にお金をドブに捨てたら背徳感とか込みで結構楽しいと思う。少なくともこの映画よりは」って悪態が出てくる感じだったねぇ……。
 
 いやなんかさ「医療をAIに任せたら、AIが命の選別をはじめる!」って、あれでしょ昔の児童雑誌にあった「イルカが攻めてくるぞ!」みたいなヤツで。AIが社会を乗っ取ってしまう系でもさ、こう「いかに気づかれずにその支配が進行しているか、人は何故それを受け入れてしまうのか」みたいな、例えば『BEATLESS』とか『ハーモニー』とか、まぁそれですら「ちょっと昔の話ネ」みたいな感覚するじゃん?
 だからもうこの作品って「AIっていうのはよくわからないけど、新しいものっていうのは怖いし悪いに決まっている!」って価値観の人にはピッタリというか、有体に言ってしまえば老害向けコンテンツとしては完成度高いんじゃあないかな。Yahooニュースのコメント欄とかまとめサイトとかと本質的には同じですよ、こんなん。
 
 マジでこれならゼロワンの5番勝負でも見返してたほう(まだ終わってないけど)が楽しい。
 
 ただ一か所だけ、うーん、上手いのかズルいのか微妙なんだけど
 最後にね、あるニュースの記者が「AIは人間を幸せにできますか?」って聞いて、それに主人公が「それは親が子供を幸せにできるのか?というのと同じだと思います」って答える。
 
 これを『AI崩壊』向きの人は「親が子供を幸せに?出来るに決まってる!」って発想するんでしょ?知らんけど。だからここで最後に「おじいちゃん、AIは怖いばかりでないんでちゅよ~」って甘やかすわけですよ。AI怖い!って部分には寄り添いつつ、でもこれから機能的にはどんどん生活に関わってくるだろうから「大丈夫」って言ってあげるみたいな。もうすごい甘やかし介護みたいなことをかましていて、まぁなんだ、プロの仕事って言うんですか?
 
 で、一方こうやってグチグチ言ってる手合いにとっては「親がどうであろうと、ある程度の関係はあったとしても本質的には子供の幸福と親は無関係である」みたいな社会学的回答を持ってるわけで、それと「いやAIと人間の幸福は無関係だろ」っていう部分と合致してしまう、だからある種このやりとりは正解に近い……まぁ質問も返答も「どっちもほぼ虚無」という近さですけど。
 
 これを「ああ作ってる方はわかっていて、最後にそうやってしめたのね」って上手さととるか、「そうやって曖昧にすることで視聴者が勝手に納得すれば丸く収まると思ってやがるな!」ってズルさと取るかは……私は6:4で「ここだけは上手いな」と、まぁ「ここだけは」なんですけど、思いました。
 
 もうあれだね、いっそAIが「人類 ハ 1000パーセント 不要 デス」とかやってくれた方が楽しめたかもなぁ。そんな感じ、終わり終わり!

 ああ、最後に劇場で本気で吹き出しそうになったんだけど、大オチの

「ガラスに映っている姿を解析したら、真犯人がわかったのさ!」

 ってとこ、あれ前に実際あった

「眼球に反射した部屋を解析して、女性声優の住所を割り出した」

 ってやつと一緒じゃねーか!

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 今回は諸事情によりツイキャスの録音はございません。

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