
【文フリ東京39】批評/文芸同人誌『未完了域 第1号 特集:ホラーのある生活』刊行いたします。
タイトルにある通り12月1日の文学フリーマーケット東京39にて、批評/文芸同人誌『未完了域』の第1号を頒布いたします。

※※※※※※※※※※※※※
『未完了域 第1号 特集:ホラーのある生活』
サークル:すぱんく苑
ブース:F-02

※※※※※※※※※※※※※
今回は「特集:ホラーのある生活」として、主に「ホラー」ジャンルの作品批評を中心として、小説、エッセイ等を広く掲載しております。
なぜ「ホラー」ではなく「ホラーのある生活」なのか?
簡潔に述べると「コロナ流行から5年近くが経ち、”人が死んでしまう伝染病”が当たり前になってしまったことで、ホラーの題材になってもおかしくない状況が私たちの日常になってしまった。そういう中で改めて”恐怖を描く”とはどういうことか? あるいはそれを日常として受け入れる人間の弾力ある強靭さについて考える」という関心に端を発しているからです。
あるいは現実とフィクションの境目を意図的に混乱させるようなフェイクドキュメンタリー/モキュメンタリーの流行や、ワクチン接種が広まることによって可視化されてしまった陰謀論者、そして企画開始時点ではまだ一部で話題になってるだけだった闇バイト。
それは「現実の方が怖い」などという現実と虚構の境目が明白な世界はすでに遠く、私たちはすでに「ホラーの中を生きている」と表現しても違和感がないほど”恐ろしい”ものと隣り合った日々を送っています。
そういった状況でも私たちはそれなりに適応して、どうにかこうにか暮らし、時には喜びや楽しみに心を踊らせている。そういった人間のしぶとさや柔軟性こそが”恐ろしい”ものに立ち向かう、一番の武器と言えるでしょう。
この一冊が、その「ホラーのある生活」を過ごす皆さまの、小さな楽しみにきっとなってくれると思っております。
また『未完了域』は、「広く批評の裾野を広げる」ことを最大の目的として掲げております。私は、それはもう心の底から「全人類は批評を書くべき」だと思っていると同時に、あらゆる人の営みは「批評」として解釈可能だと考えております。なので掲載作品は特に制限を設けず、特集外のものもございます。
それと合わせて本誌の特徴として、特に新しい書き手を積極的に求めると同時に「未完成原稿(書きかけ/途中で頓挫した/プロット/メモ/なぜか手元にあった……等)も躊躇なく掲載する」という方針を取っております。
ぜひそこに眠る新しい可能性を、いまだ未踏の「領域」へと分け入る楽しさを、体感していただければ幸いです。
また、非常に多くの方にご協力いただいたことで
・総寄稿者数35名
・総ページ数364ページ
・トータル文字数、約30万字
という、なかなか真っ当に読み切るには悩ましいボリュームとなっております。なので以下の掲載作品一覧の後に「オススメの読みかた」があるので、参考にしてみてください。
掲載作品一覧
【完了域・特集:ホラーのある生活】
・ハレ(非日常)の恐怖から、ケ(日常)の恐怖へ――『貞子DX』と『ボーはおそれている』で描かれるもの、あるいは巻頭言に代えて
すぱんくtheはにー
・小学校国語科における『ホラー教材』の意義――安房直子、宮沢賢治、あまんきみこと空色のタクシー
マエダ
・内田善美のゴシックホラー漫画『黒の風景』
逆盥水尾
・『真景累ヶ淵』『牡丹灯籠』で触れる「怪談噺」の世界
唯藤くるみ
・怖いの苦手だから観ない人によるリスペクトなきホラー映画考
座椀膳
・怖くて怖くないホラーの話
真塚なつき
・”エンタメ”としてのホラー
なーる
・せっかく初めて評論なるものを書くのだから黒沢清監督の存在してない映画について語らない
しゃなりしゃなり
・黒沢清の映画を見る者に対して発行された警告文
noirse
・『節分お化け』(60分ドラマシナリオ/脚本)
節分お化け
・西園カハルの冒険/synthesis:shoegazing(『感傷的なシンセシス』『エヴリアリの群青』外伝) 第0話「アケンバラ」
籠原スナヲ
・ドキュメンタリーにフェイクという呪詛がついて回る時――フェイクドキュメンタリーとホラーは実は相性が悪いのではないか――という考察
ニッソちゃん
・『この会話もフィクションです。』
結城戸悠(YUKI)
・お化け屋敷というホラーの様式について
さいむ
・本邦初のブードゥー精霊像「ビザンゴ」展が開催
野沢 文哉
・【未完の傑作集】幻のホラー映画監督、墨路アラン作品一週間上映会【垢BAN覚悟】
木古おうみ
・願いと記憶、あるいは記録が持つ希望について――『領怪神犯』という名のファンタージェン
すぱんくtheはにー
・『虚構推理 鋼人七瀬』、『怪異と乙女と神隠し』から考えるホラーの伝播
あんすこむたん
・怪異としての記憶-ネット怪談『巨頭オ』について-
かつて敗れていったツンデレ系サブヒロイン
・呪詛・破滅・外骨格──『仮面ライダーTHE NEXT』とまなざしをめぐって
城輪アズサ
・理想の自分として生き続けるための自殺は成立するか -田辺元の「懺悔道の哲学」が見せてしまったもの-
高崎 和樹
・ホラー、ニヒリズム、共同体――『ひぐらしのなく頃に』をめぐって
志津史比古
【完了域・特集外作品】
・トンツカタン・お抹茶の白昼夢的世界 お抹茶にハマっちゃえ~!
住吉優哉
・アニメと苦と呼吸
おはぎ
・生まれてしまった自我 ―崎山蒼志「ソフト」について―
宮澤なずな
・ごみ山のゴースト ーニコニコ動画映像試論ー
舞風つむじ
【未完了域:未完成原稿集】
・初心者のホラーに関する興味
karimikarimi/046
・詩の断片
宮澤なずな
・日米同盟、不可能なもの、恐怖/horror――鈴木光司『リング』シリーズを読む
壱村健太
・タイトル未定
酢水
・旦那がメンサの会員証を貰ってきた話/昔話
ぎみ
・フリーホラーゲームの制度を解明する:方法の手立てを模索する段階から
東京
・モキュメンタリーなんて、もう終わりだよ。終わり。
スパニッシュオゲレツ
・純粋論理のめまい―小林泰三から読む『ドラえもん』のホラー
橙木ライト
・近代日本語歌詞のエクリチュール
島袋八起
・タイトル未定
橡の花
・表紙/次回予告イラスト
磯貝祐司
【オススメの読みかた】
☆☆☆
最初から全部読む。
☆☆★
各作品ごとに寄稿者のプロフィールがございます。ここに
・好きな作品3つ(ホラー/非ホラー問わず)
・好きなキャラクター3人
・いままでで一番怖いと思った作品
が書かれておりますので、そこから趣味が近そうな方や、気になるものから目を通していく。
(このプロフィールスタイルは『アニバタ』から引き継いだものとなります)
☆★★
積む。現実は非常である。
最後に頒布価格ですが、今回は3種4パターンございます。
・書籍版:1500円
・電子版(無制限):1000円
――こちらは「対面に限り」本誌データのコピー等を贈与可とします。
・書籍版+電子版(無制限)セット:2000円
・電子版(当日限定):500円
――こちらは12月1日限定でダウンロード可能となります。
また後日(12月2日~予定)、AmazonKindleとBoothで電子版を販売します。会場に来るのが難しい方は、是非そちらをお買い求めください。
以上、当日はよろしくお願いいたします。