キリンの首

僕は、ずっと不思議に思っていることがある。
それは、キリンの首が伸びた理由だ。小学校の頃、学校の先生は「キリンの首が伸びたのは高いところにある食べ物を食べようと思ったからだよ」とその理由を当然のように、あたかも1+1=2であるかのように述べた。そして、その言葉に僕は納得した。そうなのか、キリンは高いところにある食べ物を食べるために首が伸びたのですね!

冗談じゃない!!!
なんだ、その理由は!!
だって、僕は背が高くなりたい、かっこよくなりたい、空を飛びたいなどなど、いつも思っている。なのに、僕の服のサイズはいっこうに変わらないし、鏡を見ればいつも通りの微妙な顔がこっちを見てくるし、生えてきたものといえばただの脇毛でしかないんだよ!!先生願えば叶うんじゃないんですか!!

あの頃は抑えられていたが、今、そのことを思い出しこの感情を抑えることができなくなっていた。
そこで、僕は友達に聞いた。「何で人間はキリンのようにいかないのか?」と。すると、友達は「それは、年月が違うからだよ。キリンはとても長い間、首が長くなりたいと思い続けたんだよ」と僕のことを馬鹿ににするかのように答えてくれた。
まぁ、僕もそこまで馬鹿じゃないから!!
どうせ、そういう感じの返しをしてくると思っていましたー!!
だって、ずっと昔から人間は身長が高くなりたい、かっこよくなりたいと思っているはずだもん!!長い年月かけたら叶うなら、今この世に低身長は存在しないし、みんなイケメンだし、ハゲなんか存在しない。

こういう感じで友達に言うと、友達はよりいっそう僕のことを馬鹿にしたかのような表情で「そうやね」の一言。ここで僕たちの会話は終わった。
しかし、僕のこの好奇心はもう止まらない。

そこで昔の人間の身長を調べてみると、僕は驚愕した。何と縄文時代の男性平均身長は158cmと書かれていたのだ。今の男性平均身長は171cmであるから身長は確実に伸びていたのだ。さらに、平安時代の美女と呼ばれる人の絵を見ると、僕個人の意見だが美人とは呼べない顔だ。顔も今の方が良くなってる。
つまり、願えば叶うのかもしれない。言霊というのも、もしかしたらその効果がたまたま早く現れたものなのかもしれない。
僕は、完全に納得した。
今、低身長な人、ブサイクな人たちは身長が高くなりたいという願い、イケメンになりたいという願いが小さかった人たちなのである。
そこで、僕は決めた。僕は、願い続ける。
「空を飛ぶ」と。
もちろん、僕の代では飛べないだろう。しかし、僕が結婚して子供ができ、その子にその思いを託し、次にその子がその子供にその思いを託す。これの繰り返しをすればいつか僕の血縁だけが空を飛べる時代が来る。そうなれば、僕たちはヒーローになれるのだ。そして、僕の自画像は大事に大事に飾られるだろう。

僕は自分の子供に「勉強しなさい」とは言わない。「勉強なんかするな、思い続けろ!!」と言う。きっと、いろんな課題が僕たちの前に現れるだろう。もしかしたら、変な奴だと思われて、僕の子供はいじめられてしまうかもしれない。でも、思い続けることが大事だ。だって、思い続けたら願いは叶うのだから。


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