依存症
右手の人差し指を下から上にスーッスーッとiPhoneの画面に滑らせInstagramを流し見ていたら、アパレル関係の仕事をしている同級生の女がまた自分にそこのブランドの服を着せて全身が写るようにしている写真を投稿しているのが目に止まった。
あ、
彼がこの投稿にいいねつけてる。
胸の奥の辺りがざわつく。
わたしは彼が自分の投稿を見ているのかも知らないし、わたしも出来るだけ彼の投稿は見ないようにしている。そこには二人の暗黙の了解のようなものがあって、互いに束縛を絶対にしてはいけない。
ちっちゃく芽生えたこの嫉妬は微量ながら間違いなくそこにあるのを感じてハァっと乱暴に息を口から吐いてiPhoneを閉じた。
苦し紛れのようなこの関係は一体どうするべきなのだろう。
愛しはじめたら止まらないわたしは利他的で、相手のニーズに勝手に合わせて行動するのに対し、手に入らない女を追ってどこまでも行けるのに手に入ったら釣った魚に餌をやらないタイプの彼。
わたし達は相性が悪いのだ。
いつからか彼はわたしを愛してくれなくなってしまった。
愛した人には愛されたいし、愛されてなければ愛する意味がないと思うわたしは何かを間違えてしまっているのだろうか。
たまにはわたしをどこかに連れてってあげたいとか、何かで喜ばせてあげたいとか思って欲しいと言うわたしにそれは求めすぎだよと言う彼。
嫌だったんならその時に言わないとわからないと言う彼と、一々感情的になってどうせ起きるであろう言い争いを面倒くさがるわたし。
一緒に幸せになりたいのに、一緒にいると幸せになれない二人。
究極に手に入れられないもどかしさがわたしの負けず嫌い精神を刺激して、でも、だって、だけど、と彼を手放せないでいる。
ポツンと置き去りにされて世界一独りぼっちになってしまったわたしの魂が誰からも愛してもらえないと泣きわめいている気がする。
LINE
今から会える?
わたしは今夜もまた自分を大事に出来なかった。