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中古パソコンをリナックスで実務に活かす(4)家にある古いパソコンをよみがえらせる

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 年末年始特別記事
 小冊子『中古パソコンをリナックスで実務に活かす』
 を抜粋して1週間に渡り掲載します。
 (2024/12/30~2025/01/5)
*本書はアマゾンで販売を始めてかなりの期間が経過していますが、まだご興味を持っていただけています。本書で出てくるノートパソコンはさすがに古い物になり、リナックス自体も新しいヴァージョンが増えていますが、入口としてはご利用いただけると思います。
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(6)家にある古いパソコンをよみがえらせる


ジャンクパソコンを生き返らせて商売をするつもりでもなければ、普通はたくさんのパソコンの中から一台を選ぶことになるでしょう。いくら安いと⾔っても、不安を抱えて中古(ジャンク)パソコンを購入する事を考えると、安心出来るパソコンとなるのが、『正常に動作するけど、ウィンドウズのサポートは切れているし、インターネットのブラウザは古いという表示が出る、ウィンドウズだけを最新版を購入しようとしても高いし、十分動くとは思えないだから、今はほとんど使っていない。』というような自宅で眠っているノートパソコンではないでしょうか。

あるいは、リカバリーCDを紛失し、再セットアップしたいけど出来ないというケースもあるでしょう。『捨てるのはもったいない、大事にしてきた思い入れのあるパソコンをただ同然の値段でリサイクルショップに売り、知らない人が大事にしてくれないのもいやだ。』そういう思いなどがあり、⼿元に使っていないパソコンが残っているなら、安心してリナックスを試すことが出来ます。

こんな場合のお勧めは、前述のように、ウィンドウズも残しながら、リナックスを使うというやり⽅です。これをデュアルブートと⾔いますが、ハードディスク容量を、半々程度にしながら、どちらでも起動できるようにしておけば、ウィンドウズの懐かしいソフトを遺して楽しみつつ、リナックスで最新ソフト(ワープロソフト、表計算ソフトなど)を利用することが出来ます。しかし、仮にセットアップがうまくいかず、ハードディスクのデータを全部消去し初期化しなければならなくなる可能性もあるので、この対策としては、データのバックアップと再セットアップ用CD/DVDの作成をしておくべきでしょう。

(7)失敗による影響

新しいことに取り組む場合、失敗による影響や成功に至るまでの出費について考えておくべきなのは当然でしょう。ここで紹介している古いパソコンをリナックスで動かすという⾏動の場合、入り⼝としてのケースを分けて考えることとします。

①全く使っていない自分のパソコンを使いたい。


ウィンドウズが入っていて、動作はするがもう実用的でないというパソコンを使う場合。

<失敗による影響>
・ウィンドウズが使えなくなる
・ハードディスクの全消去、再セットアップが必要になる

<対策>
元にもどせるようにしておきたい場合は、再セットアップ用のCD/DVDを用意します。無い場合は、リカバリーCD/DVDを作るという機能からリカバリーCD/DVDを作ります。(通常CDが4〜 5枚程度必要)これがあれば、最悪、ハードディスクを初期化することになっても、パソコンを購入した時の状態に戻すことが出来ます。

②勉強用に中古パソコンを購入する

リナックスを極めようとするなら別ですが、本書のように、初心者になる程度であるなら出来るだけお⾦を掛けたくないでしょう。
親戚や知人から古いパソコンを譲ってもらえれば安くて済みますし、ジャンク品扱いのパソコンなら、2,500 円から 3,500 円もあれば、結構⾒た目も良く、リナックスで動く実用レベルのパソコンが⼿に入るでしょう。

次に必要となるのがセットアップ用のCDかUSBですが、USBは 8G又は 16Gの空のものを使います。⼿元にあるものを使っても良いし、無ければ購入しても 800 円もあれば準備できるでしょう。CDも1枚なら 100 円程度でしょう。つまり 5,000円もあれば、新しい知識を得ることが出来、実用にもなるのです。

この場合のリスクは、この費用が無駄になるかもしれないということだけです。もし無駄になると、当然うれしくはありませんが、それほど大事には至らないでしょう。

③無駄︖有意義︖な時間


最後に、費やすものといえば、自分の時間です。誰かに頼めば、それも必要はありません、けれど、それでは自分の知識として身につく範囲は狭くなります。

パソコンのセットアップを経験された⽅も少なくないかも知れませんが、セットアップは非常に時間がかかるものです。個人の性格にもよるでしょうが、やりかけたらなかなか終われず、就寝時刻が大幅に遅くなることも良くあります。私も、翌日早朝から予定が入っている前夜にかぎって、思いついたことを試してみたくなり再セットアップをはじめ、どんどん就寝が遅くなるということを何度も経験しました。

(8)試したリナックスデストリビューション

本書では、実務で使うため 10 年程度前のパソコンを安く、快適に使用することを前提に話を進めています。そのため、リナックスディストリビューションも 32 ビット版を使用します。
以下のようなリナックスディストリビューションを使用し、セットアップの分かりやすさ、セットアップ後のカスタマイズ(好みにメニューや画面を変更すること)や扱いやすさと、実務という面からお薦めを3本選びました。

Puppy
Bean
Mint
Zorin
Ubuntu
Chalet
Android
Tiny Core リナックス
Joli OS
Lbuntu

(9)お薦め3つのディストリビューション比較


前述のように、私が実際に、さまざまなノートパソコンにセットアップしたリナックスディストリビューションのうち、設定が分かりやすく、セットアップもエラーが少なかったお薦めディストリビューションのそれぞれの特徴を記載します。

ディストリビューションについては、Bean、Zorin、Puppyの3種類に決めました、起動の速さ、⾒た目、必要なソフトが簡単に使えるかという3点がポイントです。総合的にはBeanが良いですが、オフィスソフトがLibera3というのが気になります。

Zorinは、起動画面も初期画面も美しい点が優れています。ただ、起動がウィンドウズよりも早いとは思いますが、少し遅いと感じます。オフィスソフトはLibera5が組み込まれていて十分でしょう。
Puppyは、非常に快適ですが、トップメニューが、かつてのパソコン専用機のようなアイコンだらけです。まあアイコンは邪魔なら消してしまえばいいのですが・・。

オフィスソフトは初期設定では、Liberaではありませんが、簡単にLibera最新版がセットアップできる点が優れています。
以下、この3つの特徴を分けて記載します。

■Bean


・メモリーが 256Mでも動く
・メニューバーの位置、内容の設定が簡単
・起動、終了が早い(画面にプログラム文字が流れる)
・オフィスソフト Libre Office Ver3 を追加でセットアップでき

・セットアップ後HD起動
・ハードディスクは 10Gもあれば十分
・目安として 2004 年以降製造で、購入時にウィンドウズXP又はVi
staが入っていたPCならまず動きます。
(総合評価)メニュー設定等⼩回りが利いて使いやすいという点で
は一番気に入っています。

■Zorin


・メモリーが 256Mではセットアップ困難
・洗練された起動画面だが起動は他の2つよりやや遅い
・オフィスソフト Libre Office V5 が最初からセットされる。
・セットアップ後HD起動
・有料になるとの情報あり
・ハードディスクは 10Gもあれば十分
・目安として 2004 年以降製造で、購入時にウィンドウズXP又はVi
staが入っていたPCならまず動きます。
(総合評価)日本語起動がうまくいかないケースが 1 度生じました。
洗練されている本格的な総合ソフトだと感じます。

■Puppy


・メモリーが 125Mでも動く
・画面のアイコンがビジネスっぽくない
・起動、終了が早い(画面にプログラム文字が流れる)
・オフィスソフト Libre Office V5 又はV6 を追加でセットアップ
できる
・ハードディスク無くても「USB起動/保存」ができる。
・ハードディスクは 10Gもあれば十分
・目安として 2004 年以降製造で、購入時にウィンドウズXP又はVi
staが入っていたPCならまず動きます。
(総合評価)セットアップでトラブルが無く、USBにシステムとデ
ータも入れての使用もしやすく、臨時という事であればこのPup
pyが適しているでしょう。(10)低価格でお薦めのパソコンスペック
・CPU Core2
・メモリー 2G(動画やネットを⾒るなら2Gは欲しい)
・HD 160G以上(実は 50Gもあれば良い)
・無線 Wifi 有
・お気に入りのリナックスディストリビューション(複数)
・初期メニューでリナックスとウィンドウズを選択
・ウィンドウズ有(自動更新を⽌める)
・お気に入りのウィンドウズソフト
おすすめベストプラン・・ただしちゃんと動けば
・リナックスディストリビューション(Bean)

■Beanを少し詳しく


私の一番のお気に入り、Beanについて再度記載します。メニューバーが初期設定では、左端にタテに並びます。最近の横⻑画面(ディスプレイ)では、画面を広く使えるメリットがあり、このメニューバーは、好みで上にも、右にも、下にも設定することが出来ます。
インターネットブラウザが、 Chromium にしやすいのもいいです。
(初期設定ではOpera)

その他プログラムの設定、削除が簡単に⾏えエラーはほぼありません。欲を⾔えば、前述のように、オフィスソフトのLibraのヴァージョンが3なので5とか6とかが使える今となってはちょっと物足りません。ただ、Liberaの書籍のヴァージョンと合っているので、きちんと使えるように勉強したい人には向いています。

起動メニュー表示の操作性も、ウィンドウズ以上に優れているように感じ、他のリナックスディストリビューションとの併用の場合のメニューも自分の好みに編集できます。日本語が起動しないというケースも私が試した範囲では、発生していまません、この点も重要です。ただ、Let's Noteへのセットアップでは、⾳が出ないという現象が生じています。(BGMが流せません。)これはインターネット上にもいくつかの記事がある現象で、機器や設定に問題が無いのに⾳が出ません。私の場合は、このパソコンにZorinもセットアップしているので実質的な支障はありません。


注)下記にリンクを貼りますが、売るための記事ではないので、お待ち頂ければ、この一週間でほぼ全部掲載する予定です。


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