墓地前のアパート。ドアの前には盛塩。いったいどんな人物が住んでいるのだろう。 UberEats配達員の独り言。
私はウーバーイーツ配達員。
色んな場所に出没する。
このあいだは、墓地。
墓地への配達ではなく、墓地前のアパートだ。
第一印象は、不気味な場所だと思った。
自分ならこんな場所には安くても住みたくない。
恐る恐る原付きを降り、
錆びついて軋む階段を上がる。
暗い。
何号室かは覚えていないが、
部屋の前に盛り塩が二つあった。
あの部屋だったら嫌だと思っていたのだが、
案の定。
ドアの前から感じる禍々しい雰囲気。
一体どんな人が出てくるんだろう。
インターホンを押す勇気が必要だった。
夜のアパートに響くベルの音。
ガチャ
住人「さむいっすね」
半袖短パンで腕を擦りながら出てきた住人。
青白い肌に、
顔はまるで『王様の剣』に登場した魔女のよう。
自分「ですね」
現金払いだったので、
その後は無言。
お釣り計算やらで、
私はポーチから現金を出すのに苦戦していたのだ。
住人は早くしろと言わんばかりの笑顔で、
こちらを見ていた。
勝手な思い込みだが、
雰囲気も相まって奇妙な体験になってしまった。
墓の前に住む住人は、
いったいどんな気持ちなのだろう。
今回出逢った住人の部屋の前にだけ、
盛り塩があった。
あの部屋でなにかがあったのか。
住人がなにかの信仰者なのか。
また気になる地球人がいたら報告しようと思う。
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