物事を単純に捉えないで
みなさん、はじめまして!
東北大学理学部2年の筒井皓基です!
一発目のノート投稿ということで、一度他のプラットフォームでも取り上げましたが、ぜひ皆さんにも伝えたいということで
少し理系的だけど、今後様々な物事を見ていくときに気をつけてほしいことを書いていきたいと思います。
皆さんは、ある気になったニュースを調べて、データを見たときにこう感じたことはありませんか?
なんかめっちゃ複雑で因果関係がわからない!
そうなんです、だいたいの物事の因果関係って分かりづらいんです。
しかし、わかりやすさ重視で情報を単純化すると思わぬ危険が潜んでいるのです。
まずは簡単な例から
例えば、感染症の流行による自粛要請が強かった5月ごろ、Twitterである投稿を見つけました。
「外出自粛の中、カラオケの歌われている曲ランキングが昔のばかり!」
この投稿を見た時、あなたはどう考えましたか?
これを単純に捉えると、昔の歌謡曲を歌うのは高齢者が多いから、自粛の中でカラオケに行っているのは高齢者だ。となりますね。
実際、この投稿はせっかく若者が自粛していても、高齢者がこれじゃダメだということで話題になりました。
しかし、その投稿に反応している方の投稿の中で気になるものを見つけました。
「私の勤めている老人ホームでは昔なつかしの歌のカラオケをBGM代わりに流しています。」
こういう話が出てくると原因は他のところにもあって、自粛していない高齢者というイメージは間違っているのではという疑問が出てきますね。
因果関係を単純にすることの恐ろしさを感じた経験でした。
しかし、この話だと実際に数値化されておらず、客観的事実に欠けるので、より具体的なものを紹介します。
実際に数値化できる例を見てみよう!
ここで、世界の原子力発電所の着工機数の推移(出典:JAIF, IAEA PRIS)を見てみましょう。
このグラフを見ると1080年代から1990年代にかけてTMI事故(アメリカで起きた原子力発電事故)やチェルノブイリ事故が影響し、着工機数が減少したように見えます。
つまり、原発事故が起きたから、着工数が減ったという因果関係が見え、単純な関係でわかりやすい!
しかし、このように結論づけていいのでしょうか。
ここで2つのデータを出します。
一つは、国際原油価格の推移(出典:経済産業省)です。1980年代半ばにサウジアラビアが原油の減産を停止したことにより、原油価格が下落しています。この影響で火力発電から原子力発電にシフトする流れが一瞬止まったのではないのでしょうか。
もう一つは、アメリカ長期金利の推移(出典:FRB 横軸:月/年)です。1980年あたりで金利が急激に上がっていることが見られます。建設に莫大な資金のかかる原子力発電はこの時代では避けられたのはないのでしょうか。
このように、一つのデータだけで結論づけようとしていた内容が複数のデータを持ち出すと、因果関係が複雑化しました。
逆に言うと、一つのデータだけでも結論づけることはできてしまうため、真実が埋もれてしまう可能性があるのです。
複雑なものはわかりづらく、面倒なのですが、物事の因果関係は、そんなに単純なものではないと心のなかに持っておくことが重要です。そして、より多くの情報を持って判断することも必要です。
ちなみに理学部で実験の考察を提出するときには、一つの因果関係を書いているだけでは確証できたとはいないと突っぱねられた記憶があります。
こういう理由があるからと考えると納得できるかも??(もう再提出は嫌です、許してください)
<引用文献>
(孫引きしてるし、フォーマットに沿ってないしもうめちゃくちゃです)
https://pris.iaea.org/PRIS/WorldStatistics/OperationalReactorsByCountry.aspx
https://www.federalreserve.gov/datadownload/Choose.aspx?rel=H15
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