1・光と影のはなし
永い永い年月、われわれ人類が歩んできた道のりは、その折々において天災と飢饉、争い・戦争、そして疫病(伝染病)によって、大きく変化をしいられ、その度に人類は大きく一歩、進化してきた。
21世紀の今、われわれ人類の目の前に立ちふさがる疫病・感染症は、これまでに現れた黒死病やペストなどの役割と大きく違うわけではないだろう。
今われわれを畏怖させる目に見えない脅威は、新型コロナウィルスと呼ばれ、それは明らかに次世界の人類のために出題された、進化のための問題定義に他ならない。
「コロナ」とは太陽が放つ外側の光の層のことであり、皆既日食の時に、われわれは肉眼で見ることが出来るものだ。地球から見た月と太陽が軌道上で重なる瞬間、われわれの眼が捉えることのできる極めて希少な時間にのみ可能なもの。光と影が合わさる時・・・つまり陰と陽が合わさった瞬間にできる貴重な自然現象のことである。
その時、真昼であった大地には、夕暮れか明け方のように暗闇が訪れる。そして次の瞬間、月の地表の谷間から太陽光球の光が漏れ、そこだけが明るく輝く。太陽を取り巻くコロナと合わさり、まるでダイヤモンドの指輪から発せられる一筋の光のように、それは皆既日食のダイアモンドリングと呼ばれている。
21世紀に発生した新しいコロナも、永い地球と人類の歴史の中では、わずかな時間の出来事だ。それは46億年という地球時間での数秒であり、人間の時間感覚では果てしなく永い時間と感じるかもしれない。
しかしまた、灯りが閉ざしたわれわれの上空には、遅かれ早かれダイヤモンドリングが出現するだろう。その時、大地にも、われわれ人類にも、一筋の光が照らされることは間違いない。
清藤 誠 (Seiji Kiyofuji) アート文化総合ディレクター/陰陽師 2020.3.31
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