「お花」で日常に余白を。ちょっと頑張りすぎるあなたのために /スペースマーケットGuest Story
チャレンジする人を応援する、スペースマーケットGuest Story。今回のゲストはフロリストマイスターの前田研史さんです。「季節のお花、巣ごもり応援便」など、コロナ禍で増えるお家時間に、お花で彩りを添える活動もされています。
日本で、特に男性はまだまだ取得者が少ないドイツ国家認定フロリストマイスターとは一体どんなお仕事なのか?どんなチャレンジをされているのか?お話を伺いました。
縁が縁をつないで、お花を仕事に
ーーフロリストとはどういうお仕事なのでしょうか?
フロリスト、とかフローリストと言われますが、いわゆるお花の仕事をしている人のことです。人によっても様々ですが、例えば、イベントやお店の装花、プレゼント用のブーケ造り、撮影のスタイリングなど幅広くやっています。
学生時代、人が喜ぶ仕事がしたいと考え、パッと思い浮かんだのがお花でした。エントリーした日比谷花壇に入社することができ、ホテルや店舗で働いて。またご縁からドイツで働き先が見つかり、ドイツ国家認定フロリストマイスターを取得して。(この辺りは別途 note に書いているのでご参考ください)帰国後には青山フラワーマーケットで、フロリストマイスターとして社内の教育や、レッスンなども行なっていました。
昨年の春に独立し、「yohaku」を屋号に掲げ、あらためてお花の仕事をはじめました。
大量生産・大量消費ではなく、一つ一つがわかるような仕事を大切にしたいと思っています。また、ドイツの学校で経験したことを日本でも広げていきたいですね。会社ではなかなかできなかったことを、試行錯誤しながらやっていこうと思います。
独立してまず始めに、自分がドイツでやってきたことや、花屋には並ばないような作品達をプロのフォトグラファーさんにきっちり撮影してもらおうと思って。撮影場所を探していたら、たまたま検索で出て来たのがスペースマーケットだったんですよね。
利用したのは、自然光の入る素敵な雰囲気のスペースで、上から吊るしての撮影などもできたので便利でした。( イセッタスタジオ @板橋区蓮根駅 )
また、クリスマスのリースづくりなど、主催しているワークショップの会場としてもお世話になっています。
ワークショップは「空間」も、来てくれるお客様に対する一つのサービスだと思っていて。テーマにあったオシャレな場所を探して使っています。
周りの環境が面白そうな場所では、「会場の近くにこういうカフェがありますよ」とか「レッスンの帰りにこういう所に寄ってみるといいのでは」と、周辺情報もネットで調べてご案内しています。
いろんなエリアで借りてみると、各エリアの空気感などを知れるのも良いですね。
いつかはアトリエを持ちたいと思っているんですけど、どのエリアが良さそうかお試しできる機会になっています。
自然と共に、お花の個性を五感で感じてもらいたい
ーー前田さんのワークショップはよくあるフラワーアレンジメント教室などとは一味違うと聞きました!
僕のワークショップは、材料の揃った会場でいきなり制作をするのではなくて、まずは自然との触れ合いから始まります。
フロリストマイスターの資格取得のためにドイツで2年間学んだのですが、ドイツのマイスター学校では、まずは周りの環境に植物がどのように生えているのかを観察し、いいなと思ったものを採取して来て制作する、というのが日常でした。そのお花の個性を知るには、育っている環境へ足を運ぶのが一番という考えが根底にあるためです。
この体験を日本でも共有したくて、ワークショップを始めました。
川辺などでのんびり散歩をしながら、生えているものを観察し、切ってみて、それを会場に持ち帰り、市場で仕入れたお花とも合わせて制作します。(もちろん採取の許可は取っています)
自分で植物を刈るってなかなかしないと思いますが、実際にその場で切ってみると、お花の雰囲気がわかりますし、世界観というか空気感が感じられます。切る時の音や香りがしたり、川辺で石ころや葉っぱの上を歩いてみて、いい空気を吸ってみることで、目だけでなく五感で感じるということを大事にしています。
初めは参加者のみなさまも緊張して躊躇されるんですが、慣れてくると、「こんなところにも生えてますよー!」とか、楽しんでくださるのが嬉しいですね。
「特別な日に」ではなく、「あたりまえにあるもの」に
日本にいると、お花は結婚式とか、母の日とか、スペシャルな日に登場することが多いと思いますが、ドイツにいた時は、「週末だからお花を買って帰ろう」という人が普通に沢山いたんです。ドイツ語の語学学校の教科書には、例文で「お呼ばれしたからワインを持って行く?それともお花を持って行く?」なんて文章が出てくるぐらい、日常にあってあたりまえのものでした。
そんな風に、気軽にお花を愉しんで欲しいなと思っています。
最近日本でも、自宅にお花を飾る方が増えてきています。家で過ごす時間が増えた時に、癒しを求めて、お花を飾ろうという気持ちになった方も多いのかもしれません。
1月に二度目の緊急事態宣言が出て、何かyohakuにできることはないかと考え、一都三県に送料無料でお花を届ける「季節のお花、巣ごもり応援便」すというサービスを始めました。結構みんな興味を持ってくださって、自分用に買ってくださる方も少なくありません。
バラの花を何十本も飾る、などではなくて、一輪の花とか、ブロッコリーとかをグリーンの代わりにちょっと飾って、などでいいんです。
お部屋にお花を迎えてみると、何か変わるかもしれませんよ。
明けない夜は無いではなく、一息つける夜が来る
僕の屋号「yohaku」には「余白」と「夜は来(る)」の二つの意味を込めています。
花屋の店頭に立っていた時、お客様が花を見てなんだかホッとした顔をするのが気になっていました。ワークショップでも「すごく癒される」と言ってくださる方が多いんですが、逆に言うと、みんなそんなにストレスの中で生きてるんだな、と感じていて。
「どんな辛いことがあっても必ず朝はくる!」など前向きな言葉もいいのですが、
頑張りすぎなくてもいいよ、昼間どんなに大変でも、夜は来るんだよ。家に帰ってのんびりお酒を飲んだり、家族と団欒したりといった余白の時間・空間に、お花を置いてみませんか?と。
日々のくらしにちょっと余裕ができて、豊かにおだやかに過ごせる、そんなお手伝いがこれからもできたらいいなと思っています。
ーー前田さん、ありがとうございました!店舗を持たないオーダー制のお花屋さん。気になった方はぜひコンタクトしてみてくださいね。
Guest Profile 前田研史
鹿児島県出身。APU(立命館アジア太平洋大学)卒業後、株式会社日比谷花壇に入社。ショップやウェディングなどを経験し、2012年「ドイツ国家認定フロリストマイスター」を目指すべくドイツへ。マイスター学校を卒業し、国家試験を経てマイスターを取得し、2016年帰国。株式会社パーク・コーポレーション(青山フラワーマーケット)でドイツでの経験を活かし、2020年「yohaku」を立ち上げた。
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