【キャンプ場インタビュー♯7】おじろじろキャンプ場
スペースキーの小野(@tsugumi_o_camp)です。今回のキャンプ場インタビューは、兵庫県にある「おじろじろキャンプ場」さんです。ご家族で、山林を開拓するところからスタートした当キャンプ場。開拓の楽しさ、大変さを、管理人である上山さんご夫妻に聞きました。
管理人・夫(てでぃさん)
https://twitter.com/teddy_ueyama
https://www.instagram.com/teddy.ueyama/
管理人・妻(上山さん)
https://twitter.com/ueyamadam
https://www.instagram.com/ueya.madam/
キャンプ場をつくるまで
-よろしくお願いいたします!まずはキャンプ場をつくるまでについて聞かせてください。
(上山さん)はい、よろしくお願いいたします。おじろじろキャンプ場は、2021年春からプレプレオープンを開始しました。現在に至るまでの流れはざっと以下のような感じです。
2017年7月:キャンプにハマる
2018年夏頃:キャンプ場経営に興味を持ち、山を探し出す
2018年12月:兵庫県香美町小代(かみちょうおじろ)の山を購入
2019年~:とにかく開拓
2021年4月:プレプレオープン
-えっ……!いろいろ早すぎる……!
(上山さん)そうなんですよ。キャンプ歴4年くらいなんで、まだまだ初心者です(笑)。キャンプにハマってからの加速度がすごいですね。まずキャンプにハマった2017年7月からは、毎週のようにキャンプに行っていました。関西の様々なキャンプ場を訪れてキャンプに取りつかれていって。何回も行くようになると、だんだんと趣向やスタイルが定まってきました。キャンプの帰り道に、お互いの理想のキャンプを話しているうちに、「キャンプ場やってみたいね!」となって、そこがきっかけになっています。
-お二人の理想のキャンプ場とはどのようなものですか?
(てでぃ)標高が高くて、景色がいいキャンプ場が好きですね。絶景が望める露天風呂があれば最高。あと、意外と欠かせないのがトイレがキレイなこと。ただ、現実には標高が高くなるほど施設の維持管理も大変になるので、この条件が揃うキャンプ場はそんなに多くないように思います。絶景露天風呂、キレイなトイレ、自然も満喫できるキャンプ場。
(上山さん)理想を話していたら、どんどん夢が膨らんで意欲も高まってきてしまって。キャンプ場経営は儲からないなんて意見もあるので、本当かどうか調べてみたんです。オートキャンプ協会のサイトなどの情報を参考に、よく行くキャンプ場の価格設定で試算してみたところ、なんとか暮らしていけそうだと。(これだけキャンプブームと言われていても、キャンプ場の稼働率は17%程度なんですよ。)そこから、本格的に山を探そうとなりました。
-キャンプ場に適した山探しって、なかなかむずかしいと思いますが……。
(てでぃ)そうですね、僕らももちろんはじめてのことだったので、まずは思いつく限り条件を洗い出してみました。平坦な場所があることや、携帯の電波が入ることなど。ただ、実際に山を見に行ってみて、条件が具体的になっていきましたね。例えば、山へ行くまでのアクセスであったり、敷地の広さであったり。山探しをしながら同時並行で事業試算をしていたので、経営するにはある程度の広さも必要であることがわかりました。
-意外だった視点や条件はありますか?
(てでぃ)1つは接道の問題です。山によっては接道していないため、直接車で行けない山もあるんです。また、接道していても崖であったりして、実際に見に行かないとわからないこともたくさんありました。あとは、電気が通せるかどうかとか。電気が通せるかどうかは所有名義を変更しないと確認ができないため、この小代の山もイチかバチかで購入したという経緯があります。
-なるほど。そういった経験を通じて小代の山に出会ったのですね。
(てでぃ)最終的に10か所ほど視察しましたが、この山は一目でキャンプ場ができるイメージがもてました。決め手になったのは、平坦なエリアがあることと、収益も目指せる規模感。何より、小代を見渡せるこの景色が気に入り、「ここがいい!」と強く思いました。
(上山さん)ただ、当初の予算からは大幅にオーバーしていました。でも私も主人もこの山がとても気に入り、絶対にここでキャンプ場をやりたい。他の誰かに渡したくないと思い、その場で母に連絡をしました。母は即答で「手伝うよ!」と言ってくれて。その言葉が背中を押して、見に行ったその日に購入を決めました。
-すごい、運命の出会い。ご家族の協力的な姿勢もありがたいですね。
おじろじろキャンプ場とは
-では次に、おじろじろキャンプ場について聞かせてください!コンセプトはありますか?
(上山さん)開拓の真っ最中なので将来的には変わっているかもしれませんが。現状でお伝えすると、“自然と一体になれるキャンプ場”です。まだ開拓しきれていない部分も多いので、まさに手付かずの自然が楽しめるフェーズ。施設も不十分で不便なことも多いのですが、来てくれたお客様はとても喜んでいただけています。
(てでぃ)将来的にも変えたくないコンセプトで言うと、アットホームな雰囲気。僕らは家族で開拓しているので、手作り感や暖かさというところは今後もそうでありたいなと考えています。親戚の家に遊びに来たみたいな、そんな気軽さでキャンプを楽しみに来ていただけたら嬉しいなと思っています。
-たしかに、上山さんちに遊びに来た感じありますね!
(てでぃ)あと、ここ香美町小代(かみちょうおじろ)は「日本で最も美しい村」連合に加盟が認められるなど、とにかく自然が素晴らしいんです!多種多様な生き物が生息していて、昼間はカエルやキツツキ、夜になるとフクロウが鳴いています。鹿もよく出ますね。都会では絶対に味わえない自然を全身で味わうことができて、心から癒されることができます。
また、但馬牛をはじめすっぽん、カニ、お米など、小代には美味しい名物もたくさんあります。素晴らしい景色を眺めながら美味しい食材でキャンプできることも魅力のひとつではないかなと。
-魅力がたくさんありますね!
(上山さん)やっとプレプレオープンしたところで実はまだトイレも完成していないんですが、おかげ様でたくさんのお客様に来ていただけています。まだ手入れができていないエリアが結構あって、お客様に開拓を手伝ってもらうことも。今は本当に、開拓中で試行錯誤中。なんでもできる自由な楽しさを、お客様も求めているように感じます。
キャンプ場を経営すること
-キャンプ好きが高じて管理人になられましたが、実際に管理してみて気づいたことはありますか?
(てでぃ)あれだけ好きだったキャンプをしなくなりましたね(笑)。今は開拓で十分満たされるので(あと、疲れ果てて)。キャンプをする楽しさよりも、開拓しながら来てくれた人の設営を見て「あのテントの張り方いいなぁー」とか、そういう楽しみ方に変わりました。
実際に管理人をやってみて感じたのは、管理人の仕事ってお客様を受付して終わりではなくて、交流もすごくあるなと。お客様が声をかけてくれたり、「これ食べる?」っておすそ分けしてくれたり。僕はこれまで、キャンプ場で管理人さんと雑談したことがなかったので、こんなにフランクに声をかけてくれることが驚きでありとても嬉しかったです。
(上山さん)オープン前からSNSでやりとりしていた方も多いので、皆さん初めて合った気がしないですね。「上山さんが開拓していたキャンプ場」として来てくれるので、すでに距離感が近いというか。
-大変な部分はありますか?
(てでぃ)今はキャンプ場開拓のため、やらなくてはいけないことが多いのが少し大変ですね。やりたいことがありすぎて、時間や体力がたりないくらいです。あとは天候ですね。天候によって左右されるので、ここはやってみて痛感したところです。
-逆に楽しさや、魅力はなんでしょうか。
(上山さん)楽しいことだらけですね。こんなにも楽しい仕事があったのかと、毎日開拓を楽しんでいます。私は特に、直感のままに何かを作るのが楽しいですね。それで失敗したり反省したりすることも多いですが、そんなこと気にせずどんどんできるのがいい。チェーンソーでガンガン木を切って、騒音も気にせず自由にできる。ストレスも感じませんよ!
(てでぃ)僕は先ほども言った通り、来てくれたお客様のサイトを見て楽しんだり、お客様との交流が何より楽しいですね。開拓ももちろん楽しいのですが、お客様との会話が楽しい。それは管理人だからこその楽しみであり、醍醐味なんじゃないかな。
-みなさん、上山さんのファンなんでしょうね!ちなみに、最近山を購入したい人が増えていますが、アドバイスなどありますか?
(てでぃ)実はそういう相談を結構いただくのですが、もしアドバイスさせていただくなら、“行動あるのみ”ですね。僕たちが山を探していた2018年当時から比べれば、情報量が十分。それらを元に、まずは足を運んでみることが大事かと。実際に山を探した経験から、現地に行かないと得られない情報もたくさんあります。本当に山を購入したいと思うなら、行動する。これをお勧めします。
(上山さん)また、山を購入するのなら、覚悟も必要だと考えます。よくノリで「安いから買っちゃった」という話も聞くのですが、安い物件は売却もむずかしい場合が多いです。あと、山を管理するということは、やってみて痛感しましたが結構大変。害獣も出るし、ご近所付き合いも必要です。そういったデメリットも理解して購入するべきかなと思います。
-経験者だからこそのご意見。参考になります!
アウトドア業界に思うこと
-アウトドア業界に思うことはありますか?
(上山さん)キャンプがブームと言われていますが、文化として定着するように、そのあたりを関わるみんなでやっていけたらいいのではと思います。キャンプは自然を楽しめる、素晴らしいツール。一過性でおわらせることなく、長く楽しめるようになっていたらいいなと。
ただ、キャンプをする人が増えて、マナー違反も問題になっています。マナー違反のために、閉鎖したキャンプ場も多いと聞いています。せっかくキャンプが盛り上がっているのだから、マナーを守って楽しんでほしいですね。マナー問題は、キャンプ場の管理人が中心となって向上していくべきなのではと。ルールを守って楽しんでいる真面目なキャンパーさんが泣き寝入りすることがないよう、私たちがしっかりして守っていくべきと考えています。そういった活動が、「またキャンプに行きたいね」にきっとつながる。キャンプを管理する者として、みんながハッピーになれるような取組をしていきたいと思います。
-上山さんのような管理人さんがいると安心できますね。1事業者であるスペースキーに期待することなどはありますか?
(てでぃ)『なっぷ』も『CAMP HACK』もよく見ています!キャンプで困ったことがあれば『CAMP HACK』で探して、いつも参考にしています。期待というよりは、いつかうちのキャンプ場も『なっぷ』や『CAMP HACK』に載ったらいいなという要望はあります。露天風呂もつくりたいので、つくったときは「露天風呂特集」でぜひ特集してもらえたらと!
-そのときはぜひ!
上山夫妻とおじろじろキャンプ場の目標
-おじろじろキャンプ場の目標をおしえてください!
(上山さん)直近の目標としては、上述の通り露天風呂をつくりたいです。和歌山県の「ACN南紀串本リゾート大島」さんが大好きで憧れの存在なので、うちも絶景露天風呂を実現したいですね!あと、おじろじろキャンプ場は湧き水を引いているので、湧き水を利用したプールもいいかなとか。
一緒に開拓を手伝ってくれるメンバーに私の叔母がいるのですが、叔母はパンづくりが上手。キャンプ場で、叔母の手作りパンも販売したいです。キャンプの朝に焼きたてパンとか最高じゃないですか!
この山は広大なので、区画での山林レンタルなどもおもしろいかなと考えています。エリアを好きなように使えるのはもちろん(ブッシュクラフトし放題!)、山を買いたい人にとってのお試し的な使い方もできるかなと。買いたいけどなかなか購入できない人にとって、ハードルを下げる存在になれればいいかなと考えています。
(てでぃ)このキャンプ場のコンセプトにも通ずるのですが、できる限り自分たちの手でつくり上げていきたいです。家族で楽しく、長く継続していきたいですね。開拓も“仕事”と思ってしまうとしんどくなってしまう。楽しみながら続けることが僕の目標です。
また、このキャンプ場を中心に、小代をもっと盛り上げていくことができたらいいなと思います。小代は知る人ぞ知る秘境のような存在で、僕たちも最初は「小代ってどこ?」というレベルでした。ただ、関わってみたら自然は最高だし、地元の皆さんもとても温かい。僕らのキャンプ場が話題になって新聞に掲載されたときも、すごく喜んでくれて。こんな魅力がたくさんの小代をみんなに知ってもらいたい。おじろじろキャンプ場がその一翼を担えたら嬉しいなと思っています。
(上山さん)小代にはキャンプ場があと2か所あって、彼らと一緒に連携しながら「もっと小代を盛り上げていこう!」とがんばっています。地元の方もとても喜んでくださるので、ぜひキャンプ場に遊びに来て、小代の魅力を体感してもらえたら嬉しいです。交流大好き、フランクな村なので、移住もしやすいですよ。小代に関わる人が増えて、小代がもっと注目され盛り上がるような活動がしていけたら本当にステキだなと思います!
-キャンプが地域をつなぐハブになれるっていいですね。おじろじろキャンプ場と小代の今後に期待しています。本日はありがとうございました!
■ お知らせ ■
おじろじろキャンプ場では、2021年4月から6月末までの"プレプレオープン"期間は500円でキャンプをお楽しみいただけます。今後の施設等の改善や料金等を検討した上で、7月以降の予約の受付を開始いたします。
予約受付の開始は、決まり次第HPまたはSNS等で告知をさせていただきます。
◆アクセス案内
GoogleMapでは「ハチ北スキー場」を通るルートを案内される場合がありますが、落石や道幅が狭く通りにくいと思います。
国道9号線から国道482号線を通るルートでお越しください。
◆HP
最新の情報・詳細はHPをご確認ください。
おじろじろキャンプ場
http://ojirojiro.com/
◆Youtubeもやってます!