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#02 長い旅

Introduction

2020年は火星探査がアツいらしい。

2018年7月にJAXAの宇宙探査センターが発足し、人間が現実に行くことができる天体として月と火星の探査を行うプロジェクトが目下進行中!

まずは月面探査を行い、技術開発と資源探索を行って、月を拠点として火星を目指す計画なんだとか。

有人探査ミッションとしては月探査1年間、火星探査3年間途中帰還不可を前提として検討されているため、前例のないこの超長期宇宙滞在で人体に起こりうる問題は一体どのような対策が取られるのでしょうか。

年単位での微小重力環境での生活ともなれば、口腔の生理機能を含むヒトの身体には深刻な影響を及ぼす可能性があります。

さらに月面はともかく、火星ともなると通信に要する時間がかかるので、現地で医療を必要とする事態が起きた場合には地上の航空宇宙医師(フライトサージャン)のリアルタイム支援を受けることは難しくなります

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このnoteの存在意義

航空宇宙技術の進歩は、人間に微小重力という未知の環境に遭遇する機会を与え、このハードルは今世紀ますます下がっていくでしょう。

このnoteを書こうと思った理由は、宇宙における宇宙歯科の必要性を僕と皆さんで共有し、一緒に考えてこの分野における将来の成長を期待しよう!という考えからです。

宇宙での長時間の微小重力下での生活が人体に及ぼす影響を調べ、研究することは来たる未来への準備に不可欠です。

全身の生理学的変化を和らげるために、これまで数多くのTry&Errorが繰り返されてきました。
すべては現役宇宙飛行士、そして未来の宇宙への旅人たちのために行われていることです。

宇宙医療の最大の目的は宇宙環境下においてクルーたちを正常な状態に迅速に戻してあげることです。

それは宇宙歯科医療も当然同じ。

微小重力が口腔に及ぼす影響に関する研究はほとんど発表されていません。
歯周炎、虫歯、顎骨の骨量減少と骨折、歯と口腔組織の痛みとしびれ、唾石、口腔がんのリスクについてはいくつか報告されていますがまだまだ足りないのが現状です。

私たちは新しい分野であるこの宇宙歯科医療を一刻でも早く導入して、宇宙環境での歯科医療の体制の充実と、さらなる発展のための研究を行うことがまさに必要な時期に来ています


宇宙歯科医療のイマ

NASAではクルーの口腔内対して厳格な基準を設定していて、ミッションへの参加が決定した宇宙飛行士には打ち上げの6か月前に全員歯科検診をおこないます。

治療が必要と診断された場合、打ち上げの3か月前までに治療が完了するべく、徹底的に治療されます。

宇宙へ飛び立つクルーはこのような徹底的な検査と予防措置に加え、厳しい医療訓練も行われています。

このような理由から宇宙での歯科緊急事態というのは、たしかにまれです。

ただし、月、火星、およびそれ以降を見据えたロングミッションとなる探査飛行の場合、飛行中の歯科緊急事態の可能性は必然的に高くなります。

長時間の飛行ともなれば、むし歯、歯髄(歯の神経)の炎症または感染、顎関節症、歯周膿瘍(歯周病の悪化したもの)、歯ぎしりによる歯のひび割れが発生してしまう可能性は十分にあります。

また、クルーは微小重力下で生活し働いていますが、周囲に浮遊した物体による外傷、事故は十分に考えられることです。
もちろんぶつかった物の質量や速度にもよりますが、顔面や顎の骨折、歯の破折などその他の重大な損傷を引き起こす可能性は常につきまといます。

宇宙空間という高い放射線にさらされている環境においては、口腔悪性腫瘍(口の中のガン)の検査も定期的にされなくてはなりません。


先を見据えて

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ロングミッションの実現が遠い未来ではなくなった今、宇宙歯科医療は歯科医師を含めた包括的な歯科技術のアップレギュレーションが求められています。

いったん宇宙へ飛び立てば、自由にむし歯を削ったり、滅菌・消毒環境を整えて手術をしたり、レントゲンで診断したり、というアタリマエは存在しません。

宇宙に持ち込まれる備品は、重量と保管スペースの制限によって厳密に制約されているため、微小重力下で最適な器具たちを厳選したとしても、歯科用設備を搭載できるキャパシティーは限られています。

近年は国際宇宙ステーションなど長期的に宇宙で生活できる場所の建設がなされるなどNASAの探査クラスのミッションの計画は進化してきており、クルーへの包括的な歯科治療の提供は可能になるだけでなく実用的になる未来は近いかもしれません。


「Mars Dental Clinic」新規オープン!


なんて日は必ず来るのです。



有人火星探査の開発スピードに、歯科医療業界はきちんと並走できているでしょうか。


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References
1  David L (2001) Space travel ’Inherently Hazardous’ to human health. NASA report.
2 Rai B (2007) Aeronautic dentistry: a new specialized branch and its curriculum guidelines. The Internet Journal of Dental Science 5
3 Balwant Rai, Jasdeep Kaur(2011) The history and importance of aeronautic dentistry. Journal of Oral Science, Vol. 53, No. 2, 143-146
4 ABLab 宇宙空間での医療 https://ablab.space/space-medicine/space-midical/

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