short story series『知らない』 person 31

作・渡邉大

・見かけた人
20代前後の男性

・見かけた場所
道路沿いの自動販売機の前

・時間帯
3:00頃

___________________________

○名前
岡田 啓介

○年齢
21歳

○好きなもの
掃除、整理

○嫌いなもの
酔っぱらい

___________________________

「ピッ」とボタンを押すと、「ガタンッ」と選んだ飲み物が落ちてくる。

中でどんな動きをして落ちてきたのか。

作業員の人が商品の補充をしている所を何となく思い出すが、やっぱりどうなっているのか分からない。

中身が知りたいなら自分で商品補充の仕事をすれば良いだけだけど、面倒くさい。

それに、こういうのは考える事が楽しい。

実際にあるのは一つの形だけど、想像だといろんな可能性があってワクワクする。

その可能性の中には自分の理想の形があって、自販機の中にはその形があるかもしれない。

こういうのは自販機の中だけじゃない。人もそうだ。

皆、何を考えてるか分からない。だからこそ、ついつい想像してしまうんだ。

家のお隣さんはどんな事を考えるのか。

さっき思い出した商品補充をしていた作業員の人がどんな性格なのか。

東京の名門大学の教授は何を思っているのか。

先週アルバムを発売していたアーティストが何を感じているのか。

もしかしたら自分にとって理想の形の人がいるかもしれない。

まあ、流石にそこまでうまく行くとは思ってないけど。

…でも、もしかしたらあるのかな。

…商品補充の仕事、探そうかな…。

2018年12月4日

いいなと思ったら応援しよう!