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daira(インプロ愛好者/ハラスメントガイドライン共同作成者)へインタビュー
今回はインプロアカデミーで知り合った方にインタビュー!
私の周りのインプロ界では呼んでほしい名前を聞く文化があり、依頼者の呼ばれている名前は「だいら」
連絡先を交換してから本名を知った、なんてことがよくあるんです。
もしくはずっと本名を知らない、というパターンも。
どこから生まれたんでしょうね、この文化。珍しいかもしれないですね。
ちなみに私は「なかしー」「さき」と2つあるのですが、この話はまた今度。
【インプロとの関わりやハラスメントについて】
_____インプロアカデミーとの関わりについて教えてください。
2016年から「劇団しおむすび」にてインプロを始め、劇団卒業後は2年くらい空いて2021年くらいからインプロアカデミー(以下、アカデミー)のクラスを受講していました。
_____2年空いてしまったのはなぜでしょう?
転職をしたんだけどコロナで苦労した部分もあって。落ち着いてからまたインプロを始めた感じかな。
_____内海さんや忍翔さんと親しいのかなと思っているのだけれど、アカデミーではどんな立ち位置でしょう?
現在はアンチハラスメントガイドラインを作っていて、相談窓口の担当者になる予定。第三者だけどアカデミーと提携していく立場になるかな。
_____それはアカデミーからお願いされたの?
他団体のガイドラインを読む企画をやった時に実際に作ろうか、となったんだよね。
相談窓口を作るとなった時に興味あると伝えたら、そんな流れになっていったかな。
_____ハラスメントに対していつから意識を持ちましたか?
…たぶん、当時はハラスメントっていう言葉で自覚はしていなかったけど
2017年にインプロショーに出演した時の出来事が大きいかな。
他の出演者が同性愛者を揶揄するようなシーンを見てしまって。当事者からは受け入れ難い笑いが観客に起きてしまった。
観客の中には友人のセクシャルマイノリティの人がいて、終演後に話を聞いたんだよね。
友人は言葉を選びながら「多様な性が尊重される演劇が作れたらいいよね」と伝えてくれた。
その言葉から傷ついた様子が伝わってきたから、打ち上げでその出来事を数人に話したけど「即興だからそういうこともあるよね」と流れてしまった。
問題だと私が強く言えなかったこともあって、流れてしまったと思う。同じことを繰り返したくないと思った。
この出来事がハラスメントについて考えるきっかけになったかな。
あとは、インプロとは関係ないけど、大学でジェンダーの授業や、卒論で性的同意について書いた出来事も影響しているかな。書いていく途中で性暴力について考えることもあって、周囲の人にも話を聞いたら嫌な思いをした人もいて。
それもきっかけではあるかな。
_____ハラスメントについて、ショーのフォーマットに問題はあったのでしょうか?
フォーマットに問題があったとは思っていないかな。
2017年当時、今よりもLGBTQに関して軽い気持ちでいじりがあったような気がしていて。性のテーマを扱うと軽蔑的な笑いが起きてしまう自覚がないままシーンの中で扱ってしまって、軽蔑的な笑いが起きたと思う。フォーマットではなくその結果を受け止めず、流れてしまったのが問題かな。
_____流れてしまった、というのは「インプロ(即興)だから仕方ないよね」ということでしょうか?
そうだね・・・。インプロは即興だし、そういうこともあるよね、となった気がする。
シーンの中で差別的な言葉が出てしまった時に流してしまう人は多いイメージがある。
確かに即興だから出てしまうけど、話を止めたら思考停止になってしまうし、自分もそうなることがあるから気をつけていきたい。
_____差別的な言葉を言ってしまったな、とインプロ中に思ったことはありますか?
(しばらく考えて) 多分あると思うけど、フィードバックをもらったことがないからわからない。
内心傷ついた人はいたかもしれないけど、終演後に聞いたことはないかな。
振り返った時に、あらゆる人に対してインクルーシブではないシーンにしてしまったと思うことはあった。
_____アカデミーでは自分が経験すると嫌なことをシェアする場所はあるのでしょうか?
ストテラWS(ワークショップ)を2021年の年末〜3月に受けた際は、シーン中にやりたくないこと、やりたいことがあるよね、という話が出た時に「それシェアしてみようか」という流れにはなった。
各々、いじめや性的なシーンはやるのは嫌だ、反対に見るのはいい、という話はしたかな。
また、ベーシッククラスではショー当日にメンバーで話した時間もあった。
ショー前に個人的にメンバーと話してて「自分が嫌に感じるシーンについて事前の確認は(今までやってなかったけど)必要だよね」という話になって。
「今から言ったら間に合うんじゃない?」と相談して主宰に言ったら、実現した。ありがたかったな。インプロ界のいいところだと思う。
_____すごくわかります!インプロ界の人たちってすぐ決めてくれますよね。考えさせて、(と流れてしまう)ことがないからありがたいですよね。
______話は戻りますが、ハラスメントガイドラインの参考はあったのでしょうか?
京都ロームシアターのガイドラインを参考に。みんなに伝わりやすい、イメージしやすい言葉。
ビジョンも書いてあったからいいよね、という話になって。
(ガイドラインを作った理由について)何がハラスメントかの指針が必要だと思った。このラインは大丈夫だな、と具体的に想像できる。そういう指針がないとびくびくしてしまいそう。
作った私たちの意図として、安心してインプロしてほしい気持ちがある。
もちろん、ガイドラインを作るにあたって犯罪レベルの行為はダメだ、と言わないといけない。今後インプロが広まってくるとしたら絶対ないとは言えないし、注意喚起は必要だと思う。
グレーゾーンな部分、判断が難しいことはまた別に対応していく必要はあるね。
_____グレーゾーンは難しそうですね。探していくのは難しそうですが、誰かと一緒に作っているのでしょうか?
内海さんと作ってる。他の人に見せてフィードバックをもらったり。演劇界の中でハラスメント講習やってる人に見てもらったりした。
ただ、わたしたちの限界は、法律や心理の専門家ではないこと。それでも何もしないよりはしたほうがいいよね、という考えで取り組みをしているよ。
_____周りでガイドラインが必要という人はいますか?
作った後にいう人が現れてきたかな。演劇界で告発が相次いだときに対策が必要だよね、という人が現れてきた。
(作ってくれたから言いやすくなったのか
も・・・)
【だいらってどんな人?】
_____では、今度は方向性を変えて今までの人生について教えてください!
千葉県出身で、演劇経験は高校の時演劇部、大学は演劇サークルに入ってた。インプロを劇団しおむすびで始めたよ。
_____インプロを始めたきっかけは?
大学の演劇サークルの新人公演で演技が下手だって言われて。演技が上手くなりたいと思い、先輩に相談した。
インプロは演技の本質だと言われ、大学2年の時に忍翔さんのWSへ。面白くてインプロをやるようになった。劇団しおむすびを知って入団。
_____インプロを始めて台本芝居での演技は変わりましたか?
自然になったねって。普通に会話できるようになったって。
新人公演の時は演出家のいうことを聞くのに必死だった。
人に言われて気づいたけど、表現を主体的に楽しめるようになったかな。
卒業後、2年ほど空いてアカデミーに通うことになるんだよね。
_____台本芝居でなくインプロを続けているのはなぜでしょう?
うまく言えないなぁ。言語化したいと思ってはいるんだけど。自分がやりたいことを試す場所がある。それが大きいかな。
_____今は仕事と両立しながらインプロをやっているんでしょうか?
IT系の事務職で働いてて、インプロは仕事と両立しながらやっていく感じかな。
_____インプロをやることで、他のところへ相乗効果はありますか?
まだ辿り着けてない領域だなぁ(笑)
仕事に生かしたりはできてないけど、そうできたら楽しいよね。
でもキャリアのこともあって職場では慎重になるかな。ワクワクする瞬間はインプロの方が多いから、仕事でも主体性持ててできたら楽しいだろうな、とは思う。
_____インプロ始めた頃と比べて変化はある?
始めた頃は忍翔さんのインプロから入ったけど、色んな人のWSに行っていろんな方向性があると知ったんだよね。
誰かの教えを絶対と思わなくなったのは大きいな。
劇団しおむすび時代は、一つの方法が絶対だと思ってた時期があった。同時にそこから出たい自分もいて。
他のWSでやってみると今までやってきたインプロとの違いに違和感があったな。
すぐ変化できなかった時期だった。
____今後はプレイヤーとして活動していくのでしょうか?
プレイヤーもやっていきたいしディレクションにも興味あるな。
どんな演技をしたか、よりどんなシーンを作ったか、に興味がある。
どんな考え方に基づいているのか、を知りたい。
インプロのフォーマットの一つにベクデルテストというものがあって、興味がある。
ドラマ観ていても「このシーンにどんな感情や社会規範が表れているのか?」を分析してる自分がいたりする。
あとは、間、言葉、部屋の様子とかを観察する時もある。
インプロでも同じことがあって、価値観や考え方の発見があるのが好き。予想外の答えが返ってくる。
_____雑談で見えてこない部分がありますよね。
うん、インプロだとフィクションかつキャラだからより本心に近いことを言うよね。
そんな瞬間、好きだなぁ。
_____キャラにすぐなれますか?
苦手かも。役になるとか。台本やってた時に経験がある役ならすぐになれるけど。
資料を読んだりした経験があるから、そういう役ならインプロでも出しやすい。
逆に知らない役、スポーツ系の設定とか全くわからないからそれは苦手かな。
(知見広げておくの大事かも・・・)
____今後、インプロでやってみたいことはありますか?
チームかユニットを組んでそれぞれが好きなことを一緒に探求できたらいいなと思ってる!
あとは、海外のショーを見に行ってみたいし、インプロをしてみたい。定まってはいないけど、表現の方法をフィードバックできるチームでできたらいいな。
_____夢がありますね。
インタビュー中に出てきた、アンチハラスメントガイドラインができました!
【だいらから、筆者へインタビュー】
_____なかしーの夢も聞きたくなっちゃった。何かあるの?
取材は仕事にしていきたい。
演劇の世界に恩返ししたいなと思ってる。同時に、今の自分が全く考えてないところにいたい。
プレイヤーとして活動していくかは決めてないんだけど、実は10年後プレイヤーで活動してるかもしれない(笑)
_____確かに。私も1年前にはアンチハラスメントガイドラインを作るなんて思ってなかったよ。
そうそう。常に脳が考えてない世界にいたいね。取材が仕事になることが未知だから、まずはそこに行ってみたいな。
常に未知にいたいね。それが夢。
_____なかしーのインタビューみたいになってきたね。これも楽しい!!
(笑)そういえば、だいらが依頼してくれたきっかけになった記事、実はヒヤヒヤしながら書いてたんだよね。
_____そうなの!?
事前インタビューで録音を忘れて、事後インタビューで電波悪くてズーム使えない状況になっていて。
ラインでレコーディングしてくれてたんだけど音声入ってなくて。偶然とってたメモと記憶を頼りに書いてたんだよね。
_____え〜!!よく書けたね。
なんとか書けたね。心配してたけど、他人からはそう見えないこともあるんだなって。今回も失敗したな〜って思ってる。
テーマを絞ったことがないからそれにとらわれてしまったな。人生の話になって、そこから軌道修正されていった感じ。
_____質問は用意してなかった?
考えれば考えるほどわからなくなったから、考えるのをやめたんだよね。
まだ模索中だね。
_____テーマがあったら、話題がそれた時に戻ってきやすいからいくつかあってもいいかもね。
交流を楽しみたい時はなくてもいいのかも。
ありがとう!
_____インタビューって楽しいね。
楽しいよー! 自分の価値観にないものが入ってくる。インプロでは会うけど、ここまで深く話せる時間ってないからね。
実はある企画を考えていて、数人でやっていこうかなって考えてる。
_____面白そう!!!!
構成考えなきゃね〜。
_____演劇と違う世界の人とも繋げたいんだね。
うん、演劇の敷居って高いからね。2020年にエブリ・ブリリアント・シングを観て、「いつかやってみたい!」と妄想していた。だから今年、
ムケイチョウコクを知った時に「私が作りたいものをやってる人たちがいるんだ!!」って思った。
演劇をほとんど観た事がないインタビュアー仲間に話したらすごく面白そう!って言われたんだよね。演劇に興味があるけど、劇場ってハードル
高いからね。
_____既存の枠に囚われないの、面白いね。
私はフォーラムシアターが好きなんだけど、社会問題やテーマのシーンをやって私だったらこうする、とかを話すフォーマットで観客にも主体性がある。
私は過去に後悔があって、後悔したくないって思ってる。演劇の世界だと試せるからいいよね。
劇場行く価値って体験なのかなって思う。インプロやるたびに、どんどん妄想が溢れてきてる。
_____出てくるよねー!
モノを使ったインプロもいいなと思ってたら忍翔さんがやるって言ったからね。
_____先に言われた!みたいな?
そうそう!そのアイデア、私も持ってたんだよね。初めましてのお客さんとインプロする企画があったから、私の場合モノを使うことできるんじゃない?って思ってた。
(具体的な企画話)似てるけど忍翔さんとは少し違うアイデアも持ってますよ、私!!って。
_____かわいいところあるね〜
(笑) 私、実は忍翔さんと自分を比べてた時期があって。ちょっと辛くなってきたなっていう時に忍翔さんが療養期間を取って離れたのがよかったかな。
忍翔さんのアシスタントをやってますって言いながら記事書いてるだけだったし。
アシスタントとして何やってるんですか?って聞かれた時に「私、好きなことだけやってていいのかな?」って思ってたんだよね。
_____なるほどね。
_____あっという間に時間が過ぎたね。お互いにインタビューし合えて楽しかったね! 今後の活動も楽しみにしてるよ!
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