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【IRの裏側】スパイダープラスが受けたIRコンサルティングの内容を大公開!(後編)
みなさんこんにちは!スパイダープラスIRチームの石田です!
(コンサルティングの後半からCFOも加わったため、サムネイル画像にしれっとCFO藤原の画像を追加しています)
まずは、本noteについて簡単にご紹介。
スパイダープラスIRのナレッジシェアnote【IRの裏側】、2024年初投稿として「自分たちが実際に受けたコンサルティングの内容を公開しちゃおう!」という企画です。
(コンサルティングは、IR界では知らない人はいないはず?の市川氏にお願いしました!)
プロフィール
楽天、NECグループなどで約15年間IRを担当。
楽天では12年間にわたりIRの責任者を務め、資金調達や東証一部指定替えも担当。
「伊藤レポート(2.0)」委員(2016-2017年) 現在は企業向けにIRコンサルティングを行うほか、複数企業の社外役員を務める。
著書に『楽天IR戦記「株を買ってもらえる会社」のつくり方』、『ESG投資で激変!2030年会社員の未来』。
一橋財務リーダーシッププログラム(HFLP)非常勤講師。
そんな本企画は、「前編」「後編」の2部構成、前編は先週(1月11日)に公開しました。(稚拙な表現ですが、「前編」めちゃくちゃ好評でした!)
そしていよいよ「後編」です!
私個人的には、この「後編」の方がタメになる内容でしたので、その学びをしっかりとお伝えできるよう、頑張って書きました。
それではいきましょう!
「(スパイダープラスの)2024年のIR戦略」と「どんな人をIRチームにアサインするべきか(求められるIRチームメンバー像)」です!どうぞ!
2024年のIR戦略について
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スパイダープラスIR 石田
(前編に)続いて、来年の(2024年)のIR戦略について悩んでいる部分を相談させてください。
2024年は、2022年及び2023年と比較してグロース銘柄に資金が戻ってくるとの予測が多くのメディアや証券会社レポートにて言及されています。
「グロース市場の追い風を、しっかり掴めるかどうか」は重要で、これらも踏まえ「適切な投資家の開拓」をテーマの1つにしています。
現状の時価総額においては個人投資家開拓の優先度が高いものの、グロース市場の追い風シナリオを踏まえるとこのタイミングでしっかりと機関投資家開拓を進めていきたいところです。
まず、個人投資家の開拓は、まだやったことのない「全国でのIRセミナー」を考えていて、全国の投資家に経営陣の熱量を直接感じていただける機会を作ろうと思っています。
一方で、機関投資家の開拓については「正攻法はなんだろう?」と悩んでいます。
2024年に向けては、各証券会社に「会ったことがある」投資家リストを共有して、今後目指す姿も補足した上で「適切な投資家に会えているか、リスト外で会うべき投資家がいれば一緒に開拓して欲しい」とお願いしています。
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マーケットリバー 市川氏
機関投資家の開拓はそれが一番王道で、成功率も高い方法だと思います。
証券会社によってもアクセスできる投資家に若干の違いがあるので、大手以外の証券会社にお願いするというのも良いと思います。
また、「会うべき投資家を見つける方法」として、「ビジネスモデルや事業領域が似ていて、スパイダープラスより時価総額の大きな企業の株主である機関投資家を調べる」という方法もあります。
スパイダープラスさんだったら、上場建設会社を軸に調べてみても良いかもしれませんね!
他には、「みんせつ」の「アプローチ機能」などIRツールを活用するというやり方もあります。
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スパイダープラスIR 石田
確かに大手以外の証券会社の場合、サイズ的に大手がカバーしていないんだろうなというファンドや、設立間もない新進気鋭のファンドとのミーティングを組んでいただいた実績が当社にもありますね。
当社に取材いただく機関投資家やセルサイドの方々は建設会社をカバーしている方も多いです。なので、「SaaS系に投資している機関投資家」だけでなく「建設会社に投資している機関投資家」という軸でのソーシングも一層強化していきたいです!
開拓する機関投資家の属性ついて、いわゆるロングオンリー、ヘッジファンドどちらに比重を置くのか、開拓のバランスについて市川さんの見解を教えてください。
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マーケットリバー 市川氏
まず、スパイダープラスが事業機会として捉えている「建設業2024年問題」が始まって、それが「どんな風に業績に表れるのか」と考えます。
私は、ロケットスタートのような非連続的な伸び方よりも、中期的に成長の傾きが大きくなってくるんだろうなという印象をもっています。
とはいえ、個々の投資家の期待する成長速度は様々でしょうから、そこにギャップが生まれる可能性はあります。そのギャップは取引機会になりますよね。
スパイダープラスの大株主を調べると、日本、米国、欧州の機関投資家、どこも我慢強くて中長期の目線を持って長期投資をするファンドが名を連ねているので、こういう人達は「来年(2024年)直ちに結果を出して下さい」というわけでは無いと思います。
一方で、「2024年に投資して、2025年に刈り取る」ぐらいの、投資期間1〜2年、あるいはもっと短期の投資家が入りやすいタイミングでもあると思うので、今の株主をリテイン(保持)しながらも、投資期間が短い投資家をターゲティングする、接点を増やしていくことも重要になってくると思います。
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スパイダープラスIR 石田
機関投資家との面談でも、「2024年問題が業績に表れるのはいつごろか?」という質問をいただく場面が増えています。
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マーケットリバー 市川氏
なので、ミスコミュニケーションにならないように注意も必要です!
今のところ、決算時には各KPIが「上手くいっているのか/いっていないのか」を「◯」や「△」で表されていますが、あれは継続した方が良いと思います。
例えば、FY2023.Q1の決算説明会では結果に対する伊藤社長の清々しい顔が見られました。
毎回そうとはいかないかもしれませんが、上手く行った時は「上手く行った」、ダメだった時は「ごめんなさい」というのを、変わらずにやっていくのが良いと思います。
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スパイダープラスIR 石田
ありがとうございます。
話は変わりますが、機関投資家ミーティングは国内投資家でもオンライン開催が中心です。もちろん対面でお会いする機会も少しずつ増えてはいますが、「対面コミュニケーション」「顔が見えること」の重要性をどう評価するか悩んでいます。
コロナ禍の2021年3月上場時から「オンラインでのIR」が当たり前だったこともあり、「会いに行く」重要性がどれほど高いのか、判断しかねています。このあたり、市川さんの見解を教えてほしいです。
また、海外機関投資家は渡航制限が解けてから来日される投資家が増えているので、待っていれば来ていただける状況です。
逆に「こちらから行く」というのも重要でしょうか?
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マーケットリバー 市川氏
対面の重要性は高いと思います。コロナ禍前のIRでも電話会議で済ます場合やビデオミーティングの場合もありましたが、「対面1回分」は「オンライン3回分」の価値はあるのと、定性的ですが信頼感みたいなものは全然違います。
また、投資家のオフィスに行くと普段は会わない別のチームの人も出てきてくれます。
楽天時代、現在スパイダープラスの大株主に名を連ねている欧州投資家のオフィスに行った時なんかは、日本株担当の他にもアジア株担当、グローバル担当、リサーチ担当、あとはその投資家のアセットオーナー向けのセールス担当の方なんかも出てきたことかがありました。
なので年に一度、米国や欧州にも行けばいいんじゃないでしょうか?
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スパイダープラスIR 石田
当社も(2023年)11月に香港とシンガポールでIRツアーを行い、相性が良さそうと感じましたが、どのくらいの頻度で行けば良いんだろうという悩みもありました。
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マーケットリバー 市川氏
次は1〜2年後になってくれるかもしれませんが、まずはやってみてはいかがでしょう。イギリスは6月が気候的にもオススメです(笑)
IRチームにどんな人をアサインするべきか
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スパイダープラスCFO 藤原
市川さん、こんにちは!ここから僕も参加させてください!
ここまでIR施策の話を中心に伺ってきたのですが、IRチームの組織拡大、増員について是非市川さんのご意見も伺いたいです。
スパイダープラスのIRは藤原(CFO)と石田(IR担当)がメインミッションとして取り組んでおり、デザインチーム・FP&Aと連携しマテリアル整備・各種イベントを開催しています。
現状、IRミーティング件数は四半期約40件程度なので、この体制で回せるのですが、ここに海外IRツアーや何かしらのコーポレートアクションが入ってきたり、時価総額上昇局面でIR面談増加したりすることも踏まえると、現在の体制ではパンクする可能性があるためFY25までにIR部門の増員を予定しています。
多数の会社のIRチームを見られている市川さんに、どのタイミングで人を増やすのか、増やす場合はどんな人がいるとIRチームの成果がより出やすくなるか、Unique Valueが活きるのかなどについて、ぜひ見解を伺いたいです。
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マーケットリバー 市川氏
IRミーティング件数は1人で四半期〜40件くらいがギリギリかなという印象です。
今、石田さんは投資家に何を聞かれても「全部答えられる状態」だと思うのですが、新しいメンバーにはIRのことやスパイダープラスのこと、法規制など色んな事を教えなければならないので、業務量がパンパンになる前の、1〜2割くらい余裕があるうちに「2人目」を考えた方が良いんじゃないかと思います。
例えば、FAQみたいなものを作ったり、マニュアルを作ったりとか。
石田さんがnoteで「型をつくる」ということを発信されていたんですが、そういう棚卸しを余裕があるうちに取り組むのも良いと思います。
(2023年12月にIR担当石田が投稿したnote)
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マーケットリバー 市川氏
そして「誰が良いか」で言うと「社内からの異動」の方が良いと思います。
色々と教える中で最も難しいのは、スパイダープラスへの思いとか、「この事業が凄く好き!」というのを教えるのは難しいので、これがある人の方が良いと思います。*
財務的なスキルは後からいくらでも身につけられるので、社内でベースのある人が良いのではないでしょうか。
*:IR担当石田の「スパイダープラスに対する思い」について、以前投稿したnoteの一部を紹介します。
【私がスパイダープラスIRで意識していること】
2018年にVCとしてスパイダープラスの未来に共感し、投資をしたからこそ「このIRで、当時の興奮を再現できるか?」ということを意識しています。意識というより、自分自身への「問い」です。
初めてスパイダープラスのピッチを聞いた際は、「投資したい!(早く帰って投資検討したい!)」という熱い思いが興奮と共に湧き上がりました。
あの時からスパイダープラスが目指している世界は変わっておらず、
目指せる世界が格段に大きくなっています。
「あの時と同じ興奮を、全投資家にも味わって欲しい。」そんな思いで、スパイダープラスのIRをつくっています。
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マーケットリバー 市川氏
それでも、「社内では人が足りない」ということで社外で探すという事もあると思うのですが、その場合「IR経験者」か「マーケット経験者」かという議論があり、スパイダープラスを考えると「IR経験者」が良いと思います。
一般的には「マーケット経験者」の方が事業会社に新しいビュー(物の見方)を持ってきてくれると思うのですが、石田さんが元VCで投資家経験者なので、2人目は「IR経験者」の方がいいです。
次はセカンダリーマーケットの経験者、つまり「バイサイドかセルサイドの経験者」かなと。
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スパイダープラスCFO 藤原
IR経験者を採用するときの注意点はありますか?
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マーケットリバー 市川氏
「IR経験者」と言っても、会社によってやっていることが全然違います。
小規模で広報と兼務の会社もあれば、大企業では分担が進み「ストーリーは経営企画や財務が作ってくれるので、IRはそれを喋るだけです」という会社もあります。
なので、「IR経験者」でもその人が何をやっていたかはしっかり聞いた方がいいです。
それか、「エース級に営業ができる人」を採用するとかですかね。
また、数字が分かる人でも、過去の数字の「分析」だけが得意な人ではなく、それを「将来の数字と繋げる」のが得意な人がIRには向いています。
会計系の資格保有者は過去の分析にフォーカスしがちな人も一定数いるので、未来の数字に繋げられる人がいいです。
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スパイダープラスCFO 藤原
2人目IRの採用ってやっぱり難しいですね!やりがいあります!
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マーケットリバー 市川氏
難しいんですよ。
あと、社長にどれくらい相性が合うか、というのもあります。
いくら優秀な人で、デキる人でも、IRの人が社長と相性悪いのはダメです。
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スパイダープラスIR 石田
2人目は難しいですね。CFOとの相性もありますしね。
私自身も、2人目探しをしようと思いました。
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マーケットリバー 市川氏
石田さんの配下であれば石田さん、藤原さんとの相性の方が大事ですかね。
とにかく、「相性」を妥協するのはダメです。
コンサルティングの終わりに
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今日はありがとうございました。スパイダープラスのIR戦略は市川さんのご支援もいただいたおかげで次のフェーズに移行できています。
「ディスクロージャー優良企業賞」も受賞したこのタイミングで、スパイダープラスIRのブランディングをさらに強めることで、IRチームの採用強化にもつなげていきます。
「IR体制がボトルネックになってIR施策を打てなくなる」ことはあってはならないので。(採用絶賛募集しますので、皆様、お気軽に藤原までご連絡ください!)
だいぶ言語化が進みましたので、市川さんとの対談記事モリモリになりそうですね!
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スパイダープラスIR 石田
「前編」「後編」に分けて全部書きたいと思いました!
「フィードバック編」と「IR体制編」みたいな!
でも、コンサルティングの内容書き起こしなんてやってしまって大丈夫ですか?
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マーケットリバー 市川氏
オープンにしてもらって大丈夫です!
全部この内容を読んだとしても、実際に「やる人」「やらない人」で分かれて、「やらない人」がほとんどです。
スパイダープラスはそれを全部やるのが凄いと思います。
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スパイダープラスIR 石田
それを自分のものにできるかどうかはまた違いますもんね。
藤原さんと二人三脚で、頑張ります!
今回も貴重なお話ありがとうございました!
おわりに
「後編」を通して、2024年のIR戦略にさらに磨きをかけられたこと、IRチームの増員に向けたスコープが持てたことは非常に有意義でした。
「IR戦略」もさることながら、「IRチームの増員」に思考を巡らせている方も多いと思います。
ここまで御覧頂いたIR担当の皆様の活動に、今回の内容が少しでもお役に立てられていれば幸いです。
そして、今回の企画は市川さんのご協力があってこそ成り立ちましたので、改めて快諾いただいた事にこの場を借りて感謝申し上げます。
あえて書かなかったのですが、市川さんコンサルは良い部分はしっかりと(しかもたくさん)褒めてくれるので、「あの市川さんに褒められた〜」と自信をつけることが出来るのも個人的なおすすめポイントです(笑)
それでは、ここまでご覧いただいた皆様、ありがとうございました!
スパイダープラスのIRではnoteでも新しい企画の記事を投稿していきたいと思いますので、ご期待ください!
*【IRの裏側】に関する注意事項
本記事は、情報提供のみを目的として作成しています。本記事は、日本、米国、その他の地域における有価証券の販売の勧誘や購入の勧誘を目的としたものではありませんのでご留意ください。