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傲慢と善良

友人に紹介されて読み始めた1冊。

もうやめてくれ。これ以上直視させないでくれ、そんな思いを抱くもページを捲る手が止まらなかった。

婚活での値踏みが存分に言語化された本書。
出会う人になかなかピンとこない、の正体は自分を高く見積りすぎていると主人公の真実(まみ)を通して突きつけられる。とはいえ、彼氏は今までいたことはあるし、それなりに仕事は誇れるし、どこかで30超えるまで親に言われるがままに流されてきてまともに恋愛をしていない真実ほどではないと思ってしまう自分に傲慢さを感じてしまう。

マッチングアプリは会えば会うほどに沼に嵌っていく。はじめは話ができるかな、好みのタイプかなといった単純な目の前の人への興味なのに、徐々にここがこうあってくれたらいいのに、あの人のこことあの人のここが合わさったらいいのにと理想が集積され、そのチェック項目が増えていく。そうしてつけていくチェックで満たさない部分を見始めたらもうダメなのである。

また、自然に出会い、惹かれ合うことができなかったという劣等感は、会う人数が増えるほど機会をものにできない自分への苛立ちと、かけた時間の分だけ最高の出会いがある、もっといい人がいるからという保身に変わっていく。そうして堂々巡りを繰り返すのが婚活沼と呼ばれるものだ。

独身アラサー。今は独身貴族を謳歌しているからとバリアを張りながらも、早く将来の安心が欲しい現在の自分に重なる部分も多く、抉られる気持ちであった。
謙虚と自虐は違う。謙虚でいようと心がけていたもののその謙虚こそ自分を上に上げる傲慢なのかもしれない。

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