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〝とろ〜り〟を楽しむ!
文・撮影/長尾謙一
料理/横田渉
・スノーマン きみぷち
・スノーマン ぷるぷるたまご(半熟風)
(素材のちから第38号より)
たまごのやわらかさを追求し〝生の卵黄風〟と〝半熟卵風〟を限りなくリアルに表現した卵加工品。加熱済み商品のため熱を加えても固まらず、〝とろ~り〟としたたまごのシズル感を幅広いメニューに添える。衛生面でのメリットも大きい。
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〝加熱しても固まらない〟ユニークなシズル感を持つ卵加工品。
卵黄風と半熟卵風のアクセントが簡単にメニューの付加価値を上げる
〝とろ〜り 鶏つくねの親子巾着〟は、しっかりと味が染み込むまで煮た巾着から、〝とろ〜り〟と卵黄が流れ出るという新しいコンセプトのおでん種だが、思い通り試作はうまくいった。巾着の中には鶏ひき肉でつくったつくねと、加熱しても固まらない卵加工品「スノーマン きみぷち」を詰め込んだ。
箸を入れた瞬間に現れる「きみぷち」のパフォーマンスがうまくいくかと心配したが、仕込んだすべての巾着で成功した。卵ソースが鶏つくねに絡まって実においしい。
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しっかりと煮込んだおでん種から、なめらかな卵ソースが流れ出る。
〝ぷるぷる〟〝とろ〜り〟たまごの食感をコントロールするのはとても難しい。加熱温度や時間で状態はすぐに変わってしまう。もし〝ぷるぷる〟〝とろ〜り〟が思いのままに使えたら、楽しいメニューがどんどん現れる。
今回は〝加熱してもたまごが固まらない〟というユニークなシズル感を持つ卵加工品「スノーマン きみぷち」と「スノーマン ぷるぷるたまご(半熟風)」をご紹介したい。ポップでおもしろそうなネーミングを持つ「きみぷち」と「ぷるぷるたまご」だが、あらゆるメニューに卵黄風と半熟卵風をアクセントとして添え、簡単にメニューの付加価値を上げられることを強調しておきたい。
まず、卵黄風の「きみぷち」だが、解凍して丼メニューなどにトッピングするだけで、まるで生の卵黄をのせたような見た目が提供できる。常温(25℃)でも卵黄風の形を保ち、口に入れると溶けるという絶妙の設計だ。さらにレンジアップなどの加熱でとろりとした卵ソースになる。
「ぷるぷるたまご」は半熟風でやわらかな温泉たまごのイメージ。サラダなどの冷たいメニューには解凍しておけばすぐに使える。さらに加熱メニューには解凍することなくワンタッチでメニューに使える。どちらも冷凍なので賞味期限のストレスが少なく使う時に殻を割る手間もない。
テイクアウト使用で衛生面の不安を軽減
さらに「きみぷち」「ぷるぷるたまご」は加熱済みの卵加工品のため、テイクアウトメニューなど生のたまごをトッピングして提供することが難しいお客様の、衛生面での不安が軽減できる。
販売が集中する昼の時間に合わせてメニューを準備する場合には、「きみぷち」「ぷるぷるたまご」を冷凍状態のままメニューにトッピングしておくと、お客様が召し上がる時にはやわらかな〝とろ~り〟の状態に自然解凍されるからとても便利だ。
しかし、いかに加熱済みのたまご商品とはいえ、徹底した衛生管理に努めたい。
【イートインに〝とろ~り〟を】
冷凍のまま調理できる卵加工品のメリットを最大限にいかす。
中からたまごが〝とろ~り〟メニューが続々
それでは「きみぷち」と「ぷるぷるたまご」を使ってさらにメニューをつくってみよう。
まずは〝とろ~り だし巻きたまご〟だ。だし、醤油、みりん、砂糖、水でつくったたまご液をたまご焼き器に広げ、半熟になったら巻きはじめに凍った「きみぷち」をのせ、向こうから手前の方に巻く。巻いたたまごは向こうに移し再びたまご液を広げて巻き、繰り返し焼いた。
冷めた〝とろ~り だし巻きたまご〟を切ると、断面からとろ~りと「きみぷち」が流れ出す。まるで卵黄が中から現れるようだ。
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次は〝とろ~り 焼きおにぎり〟だ。すりごま、鰹節、醤油を加えて混ぜたご飯で「きみぷち」を握り、表面に醤油を塗ってテフロンパンで焼いた。
熱々のおにぎりを割ってみると、中からとろ~りと「きみぷち」が顔を出す。言うなればたまごかけご飯の焼きおにぎりということになる。
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さらに今度は〝とろ~り 中華まん〟。小籠包は溢れる肉汁がたまらないが〝とろ~り 中華まん〟は溢れる卵ソースがたまらない。これは中華まんを仕込む店でしかできないが、凍った「きみぷち」を半分に切って使えば、春巻きや餃子、焼売でも〝とろ〜り〟は簡単に表現できる。卵ソースが流れ出す点心は今までに一度も見たことがないので、どなたかにぜひメニュー化して欲しい。
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続いては「ぷるぷるたまご」を使って〝とろ~り〟としたパンのメニューを試作してみた。フォカッチャにハム、チーズ、凍った「ぷるぷるたまご」を挟んでグリルパンで焼いた〝とろ~り パニーニ〟である。断面からは「ぷるぷるたまご」が〝とろ~り〟と流れ出てシズル感たっぷりだ。本物の半熟たまごでつくれば熱が加わると〝とろ~り〟感はなくなるだろう。何よりも「ぷるぷるたまご」を凍ったままサンドして焼けるため作業がスムーズ。ホットサンドメーカーを使えばさらに簡単だ。
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これらのメニューは「きみぷち」や「ぷるぷるたまご」が凍っているからこそ〝とろ~り〟とするシズル感を仕込めるのだ。
「ぷるぷるたまご」の特長をいかしたトッピングメニュー
次に、「ぷるぷるたまご」のやわらかな半熟風をトッピングにいかしたメニューをご紹介しよう。
まずは〝とろ~り カツ煮〟である。玉ねぎをだし汁で煮て、切ったカツを加えたまごをまわしかけ、そこに「ぷるぷるたまご」を凍ったままのせ、蓋をして軽く煮た。カツ煮に加わった〝とろ~り〟が実においしそうだ。凍った「ぷるぷるたまご」をのせただけで綺麗に仕上がり、割卵の手間もなくスムーズにどんどんメニューが提供できる。
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グラタンでも「ぷるぷるたまご」は活躍する。半分に切ってアボカドの種を取り、そこにホワイトソース、溶けるチーズをのせ、凍った「ぷるぷるたまご」をのせてオーブンで焼く。熱でさらにやわらかくなったアボカドとすべての〝とろ~り〟が重なって、今までにないクリーミー感を味わわせてくれる。
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「ぷるぷるたまご」はすでにピザにトッピングしてメニュー化されていると聞く。確かに300℃の窯から出てきたピザに、〝とろ~り〟としたたまごがのっているのだから、お客様は驚くに違いない。
さらに、いつものポテトサラダをスキレットに盛り、その上に凍った「ぷるぷるたまご」をのせて焼くだけでポテトサラダのエッググラタンができる。メニューへの応用は思いのままだ。
【テイクアウトに〝とろ~り〟を】
テイクアウトにも〝ぷるぷる〟〝とろ~り〟のシズル感をいかす。
テイクアウトメニューの販売では衛生管理に十分に配慮したい
ここからはテイクアウトメニューを考えてみる。冒頭ご説明したように、「きみぷち」と「ぷるぷるたまご」は加熱済みの卵加工品のため、生のたまごをトッピングしてメニューを提供することに比べれば衛生面での不安を軽減できる。テイクアウトメニューにも〝ぷるぷる〟〝とろ~り〟のユニークなシズル感をいかすことができるのだ。
しかし、調理にも販売にも適切な衛生管理が重要であることは言うまでもない。店で提供するメニューをパッケージに詰めればテイクアウト商品になるわけではない。持ち帰ったお客様がいつ、どのような状態で召し上がるかを想定する必要がある。「温かいお弁当ですからすぐにお召し上がりください。」の一言は不可欠だ。
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試作するたび次々に出てくる「きみぷち」「ぷるぷるたまご」のおもしろさと可能性
最初のメニューは「きみぷち」を使った〝とろ~り キエフ風カツレツご飯〟である。キエフ風カツレツは、キエフチキンと呼ばれるウクライナおよびロシアの料理で、叩いて薄くのばした鶏むね肉に冷やしたバターを包み、パン粉をつけて揚げたもの。
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温かいうちに切るとバターが溶けてバターソースになる。このバターの代わりに凍った「きみぷち」とブロッコリーを包んだ。「きみぷち」が溶け出て〝とろ~り〟と卵ソースになっている。このソースが下に敷かれたご飯とのつなぎ役だ。付け合わせはキエフチキンの定番ポテトフライとスナップエンドウにした。要するにチキンカツ弁当なのだが、ユニークなシズル感がおいしさを変える。
次はサラダだ。ロメインレタス、クルトン、ベーコン、パルメザンチーズといつものシーザーサラダに解凍した「ぷるぷるたまご」を添えた。シーザードレッシングと潰した「ぷるぷるたまご」を混ぜると、濃厚な具材感のあるタルタルソースになって味わいがリッチだ。テイクアウトパッケージを選べば洒落たケータリングメニューにも見える。
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さらにパスタメニューにも〝とろ~り〟を加えてみたい。温泉たまごをトッピングするように、解凍した「ぷるぷるたまご」をパスタボロネーゼにのせる。あらかじめ解凍しておけば、割卵の手間なく提供できるし、殻がメニューに入る心配もない。
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牛カルビ丼には見た目にも「きみぷち」をぜひトッピングしたい。常温の「きみぷち」は焼けて温かな肉の上に置かれ、今にもとろけそうな状態になっている。牛カルビに〝とろ~り〟と絡めたおいしさで商品価値はグッと上がる。
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最後はハンバーグの中に「きみぷち」を仕込んでみた。ハンバーグを成形する時に、凍った「きみぷち」を包み込むだけだ。手間はまったくかからないにもかかわらず、そのシズル感は絶大だ。外からはデミグラスソース、中からは「きみぷち」のソースがハンバーグとしっかりと絡み、肉汁とともに独特のジューシー感を生み出す。
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実は今回、誌面に掲載できないほどたくさんのメニューを思いつくままに試作してしまった。「きみぷち」「ぷるぷるたまご」にはそんなおもしろさと可能性がまだまだある。
〝加熱しても固まらない〟というユニークなシズル感を持つ「きみぷち」「ぷるぷるたまご」は、必ず新しいメニュー開発のお役に立てるはずだ。ぜひ挑戦してみていただきたい。
(2020年8月31日発行「素材のちから」第38号掲載記事)